親は大変なのだ！

マリオ君とまりなちゃんが元気にレッスンに来ましたよ。ふたりは他の地域から引っ越ししてきて私の生徒になって５ヶ月目になりました。兄妹です。前の先生が大好きだったのに、親の転勤で先生とお別れしてきたのです。私には最近やっと慣れてきたところです。妹さんが二人分のお月謝を私に渡しながら[高いね、二人分だと]と言った。[そうだね、お父さんとお母さんが頑張って出してくださるんだよね]と私。[あたし、自分がやりたくてピアノ習ってるんじゃないの、ママが言うからなんだ]正直な内情をありがとう。まりなちゃんは続けた。[でもやめないけどね]そうか、私が子供の頃を思い出した。あの時代はピアノを習ってる子は、クラスに一人位なものでした。小学校２年生の時[ピアノ習わせて]と両親に言ったら[ひとりっこだったら習わせてあげれるけど…]といわれた。そうか、うちはお金持ちな訳ないもんね、とすぐに納得する素直な子供だった。父親が、[近所のみんなと一緒にソロバンを習わせることに決めてるからな]と言った。近所に仲良しが５人いたが、親同士の井
戸ばた会議で決めたらしかった。父親は[ソロバンだって、初めは二本の指しか使わないけどそのうちに全部の指を使うんだぞ]とも言った。その頃のピアノの月謝は２千円、ソロバンは４百円ぐらいだったの。苦し紛れの父親のジョークだったと気づいたのは中学生になってから…素朴な子供だったねえ。日本中が貧しい時代だった。私は長女なのに、その後せっせと高円寺の商店街に通い熱意でオルガンを買って貰い近所に習いに行きだした。先生も自分で見つけてきたほど、もう後には引けない決心をしたのだった。ソロバン？勿論続けました。それはとても役に立っています。まりなちゃんが[ママが言ったけどね、千円働くのは大変だって。ママはファミマにパートに行ってるの]偉い！きちんと子供に経済を教えてるんだね。[一生懸命やろうね][うん！]