隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0436.七人の中にいる

2003年09月27日 | 本格
七人の中にいる
読了日 2003/9/27
著 者 今邑彩
   
出版社 中央公論社
形 態 文庫
ページ数 470
発行日 1998/12/18
ISBN 4-12-203305-5

 

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「金雀枝荘の殺人」(338.参照)「卍の殺人」(409.参照)と著者の作品を2冊読んで、ストーリー展開、ミステリーとしての面白さを感じていたので、間違っても落胆するようなハズレは無いだろうと、タイトルの面白さだけで買ってみた。
タイトルから、ある犯罪の容疑者・犯人がわかっている七人の中に居り、それがどのように絞り込まれていくのか、というようなことが想像出来るのだが、考えてみれば、ずいぶん大胆なタイトルである。だが、著者はしたたかであった。
ストーリーの始まる前に、発起人・三枝夫妻(ペンション「春風」の常連による「春風」のオーナー村上晶子とシェフ中条郁夫の結婚を祝う会を、クリスマス・イヴに行おうという呼びかけの案内状、及びペンションの常連らしい三枝夫妻を含めた七人の氏名・年齢・職業等を記したゲスト名簿が提示されており、これがタイトルにある七人だと判る仕組みである。

ストーリーは、8章に分かれており、短めの第1章で、無軌道な男女2人の若者が医師宅に押し入りお手伝いを含む一家五人を惨殺するという事件が語られる。
第2章からは、特に始めに断り書きは無いが、読み進むうち冒頭の事件が20年前だったことがわかってくる。七人のゲストを迎えるクリスマス・イヴの準備に慌しい中、村上晶子の許へ、20年前の事件の復讐を予告する手紙と写真が送られてきた。予告された日付はクリスマス・イヴである。ペンションのオーナー村上晶子は、20年前の事件の主謀者三人の内の一人だった。
そして、復讐者として考えられるのは、事件で幸いにして生き残った当時5歳の男児である。
晶子は、ゲスト七人の中にそのときの子供か、あるいは関係者がいると疑い、ゲストの一人で元刑事の佐竹にゲストの身許調査を頼むのだが・・・。
この身許調べが進むにつれ、ゲストたちのプライバシーが次第に明らかになり、サスペンスを盛り上げていく過程の描写がいい。

こうしたストーリー展開は、前に読んだ館もの2作同様、著者の得意とするところのようだ。第48回日本推理作家協会賞候補作。



 

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