隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

2030.チャイナ橙の謎

2021年07月11日 | 本格

 

 

チャイナ橙の謎
THE CHINIES ORANGE MYSTERY
読了日 2021/02/26
著 者 エラリイ・クイーン
Ellery Queen
訳 者 井上勇
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 364
発行日 1960/01/01
ISBN 978-04-488-10412-2

 

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い時からの憧れであったエラリイ・クイーン氏の、国名シリーズの1篇だ。その憧れだった割に僕はまだ今までに、たった3冊しか読み終わってない。いつもの言い訳をすれば、やはり、いろいろと面白い新刊ミステリーが泉のごとくに湧いてくるように、出現するからだ。
ミステリファンを自認するからには、やはりクラシックな作品、特に黄金時代と言われる頃の作品には目を通しておくべきと思いながらも、新たな作品の誘惑にはなかなか勝てない。
特に僕などは残された時間に限りがあり、読める量はそれほど多くはないから、余計に新作に目を惹かれるのだ。だが、僕は高校生の頃本格ミステリーの雄ともいわれていた、著者の作品に憧れていて、自分で金を稼ぐようになったらシリーズ全冊を買って読むんだと意気込んでいた。
その頃のことを思い起こしていると、エラリイ・クイーンの国名シリーズにあこがれていた一つの要因が蘇った。それは終盤近くになって、差し込まれている“読者への挑戦”だった。
それまでにすべてのヒント・条件が示されている。読者の推理を促すというわけだ。僕はこの“読者への挑戦” が純粋に本格ミステリーだということを示しているのだと、僕自身は犯人捜しは不得手ながらも、そうした読者と知恵比べをするような試みに強く惹かれたのである。
後に国産のミステリ―の中にもそうした試みを現す作品が出てきて、特に僕の好きな作家では高木彬光氏の作品に有ったと覚えている。

 

 

この『チャイだ橙の謎』にももちろん“読者への挑戦”は当然のごとく差し挟まれている。
だが、世界的なミステリー研究者とも言える、エラリイ・クイーン氏に向かって。大変失礼な言い方になるが、この作品では必ずしも読者に対して公平なヒントを与えているとは思えない。
あまりにもある一つの事柄に、偏向の嫌いがあるのだ。それが読者全員に理解されない所だと考えるのだ。それに、冗長ともいえるエラリイ・クイーン(主人公の探偵の方)の推理と言うか、解決に至るまでの行動についていけないと感じさせてしまうのだ。
もっとも尊敬すべき大作家の作品にケチをつけるわけではないが、僕はこの作品に少なからず落胆の気分を味わった。昔夢中で読んだ作品も、いまだ10冊を少し超えた位しか読み返してないから、偉そうなことは言えないが、いくら考えてもこの作品はエラリイ・クイーン作の中でも駄作に入るだろう。

 

 

よいよオリンピックの開催日が近づいてきた。無観客まで想定することにどんな意味があるのだろう?
東京都に発出された緊急事態宣言が、新型コロナ対策と矛盾していることに、何故気づけないのだろう。
まるでオリンピックがコロナウィルスを抑えるかのような考えを持っているのだろうか?この国のリーダー達は。いろいろと考えの違う人たちがいて、国が成り立っているのだが、リーダー達ばかりでなく、そのリーダーに寄り添う人たちの考えも、理解できないことの一つだ。
今日、7月10日は朝からNHKテレビでで、西日本の豪雨に対しての報道が続いている。まだ大きな災害の報告はないが、起きていてもおかし宇ない状況が、依然として続いている。
自然災害に対する我々人間の力がいかに弱いものか、新な思いを持たせる瞬間だ。

偉大なミステリー研究者としても尊敬するエラリイ・クイーン氏の作品に対する記事としては、少々嫌な感じになってしまったが、致し方がない。

 

 

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