隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1603.ミステリー映画を観よう

2016年02月24日 | エッセイ
ミステリー映画を観よう
読了日 2016/02/13
著 者 山口雅也
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 275
発行日 2005/11/20
ISBN 4-334-73968-7

 

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書に挟まっていた君津中央病院の受付票で、買った時のことを思い出した。ところが僕は身体のどこの診察を受けるために、君津中央病院に行ったのかはまるで思い出せない。記憶と言うものは不思議なものだとは、いろいろメディカルミステリーを読んでいるから、少しは分かっているつもりでいた。しかし自分自身にそうした記憶の不思議さが関わってくるとは思わなかった。

 

 

診察の待ち時間に読もうと買い求めたのだが、途中まで読んで帰宅後は積ン読となって、10年もの間底の方に埋もれさせてしまったのだ。そう、何の治療のために病院を訪れたのかはすっかり忘れたが、その折昼食をとるためだと思うが、病院内の4階の食堂に行ったついでに、そばのコンビニに寄って、本書を買い求めたことを思い出した。もう10年前になるのかと、ちょっとばかり感慨深い。

 

 

著者の山口雅也氏については、2002年に「生ける屍の死」を読んだが、あまり僕の好みではなかったせいか、内容は忘れて死者が生き返って、いや生き返るのでなく死者の世界を描いたものだったか?なんだか記憶もあやふやだ。
他に短編も一つ二つ読んだが、いずれもよくわからなかったというのが本音だ。
だが、本書は山口氏の個人的な収集品―秘蔵品ともいうべき品々と、それにまつわるミステリー談議が収録された作品だ。ミステリーファンとしては、なんとも羨ましい限りの品物が紹介されて、また、彼のそれらに対する薀蓄は聞くべきものがあって、楽しい。

 

 

ート1には観音シティー秘法館、パート2にタイトルの「ミステリー映画を観よう」が収められた、大きく二つの部分に分けられている。また、巻末には「だからマニアはやめられない」と題した、小山正、喜国雅彦、山口雅也三氏のスペシャルトークもあり、全体としてはミステリファンならずとも、楽しめる構成となっている。
僕は特にパート2の中のエラリー・クイーンに関する映像の話に、興味を惹かれた。エラリー・クイーンのテレビドラマが放送されていたころは、わが家にはまだテレビがなく(たぶんその頃は我が家だけでなく、近所でもテレビのある家は少なかったと思うが…)見られなかったミステリードラマはたくさんある。
まだ貧乏だった若い頃(その状態は今でもあまり変わらないのだが)、将来はエラリー・クイーンのシリーズ作品を思い切り読もう、などと言う思いを持ち続けていたこと思い起こすといささか切ない。
子供のおもちゃ箱をひっくり返したような感じの、本書のバラエティに富んだ内容は、遥か遠くになった若かりし頃の様々な事柄を呼び起こす。

 

 

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