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隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0549.探偵はバーにいる

2005年02月06日 | ハードボイルド

 

探偵はバーにいる
読 了 日 2005/02/06
著  者 東直己
出 版 社 早川書房
形  態 文庫
ページ数 394
発  :行日 1995/08/15
ISBN 4-15-030521/8

 

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者の作品を読むのはこれで2冊目だが、本書がデビュー作とのこと。結構前からこの作品について、タイトルだけは知っていたが、ハードボイルドということと、例の食わず嫌いも多少あって敬遠していた。
このところ読書のスピードもそこそこアップしてきているので、この際呼んでおこうかといった感じで読む。
北大出身で、札幌在住の著者は作品のすべてが北海道を舞台としたものらしい。本作も札幌とその周辺、ススキノが舞台となっている。写真で観る著者の風貌と、主人公の「俺」がダブって見える。

バーに出入りする「俺」のところへ大学の後輩が相談事を持ちかける発端から、暴力沙汰や殺人事件に巻き込まれていくストーリーだ。ハードボイルド特有の主人公にストイックなところが見えず、軽い乗りで物語りはすすむ。

 

 

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0518.そして夜は甦る

2004年11月21日 | ハードボイルド
そして夜は甦る
読了日 2004/11/21
著 者 原
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 417
発行日 1997/01/31
ISBN 4-15-030501-3

 

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が殺した少女(474.参照)の私立探偵・沢崎シリーズで、著者のデビュー作。
「私が殺した…」は第2作なのだが、直木賞受賞作ということで?先に読んだ。
前に一度書いたと思うが、僕は一時期アクション映画や、ハードボイルド映画に凝ってこれはと思うものを次々と見たことがある。なのにミステリ小説の方は本格ものが多かった。ハードボイルドは今でも映像の方がいいと思うこともあるが、それはたぶんに僕の偏見かもしれない。
江戸川乱歩賞受賞作である藤原伊織氏の「テロリストのパラソル」や、桐野夏生氏の「顔に降りかかる雨」などを読むとハードボイルドも捨てたものではない、否、なかなか読み応えのある作品で、ベストセラーになった。
米の女流ハードボイルド作家のキンジー・ミルホーン、V・I・ウォショウスキーのシリーズに負けず劣らず面白いと思ったりする。

 

 

原氏のこのシリーズについても結構僕は偏見の眼で見ていた時期があって、というより食わず嫌いか。僕のたくさんある欠点の一つだ。シリーズだから、同じ登場人物が出てくるのは当然だが、本作でも沢崎と錦織(にしごり)警部のコンビ?振りが愉快だ。
レイモンド・チャンドラーの原作を映画化した、ロバート・ミッチャム主演の「さらば愛しき女よ」を髣髴させる。内容ではなく、刑事と探偵の付き合い振りがだ。しかし、わが国のハードボイルドは(などと偉そうに言えることではないが)主人公がストイック過ぎるような気がするがどうだろう。まあ、好きな人にはそれが魅力なのかもしれないが。
このシリーズは他にも何点かあるらしいので、いずれ読もうと思う。この物語では、犯罪が行われる動機や、人間関係に重点がおかれており、最後まで気の抜けないストーリーが展開する。

 

 

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0474.私が殺した少女

2004年02月03日 | ハードボイルド
私が殺した少女
読 了 日 2004/02/03
著  者 原
出 版 社 早川書房
形  態 文庫
ページ数 307
発 行 日 2001/04/15
ISBN 4-15-030546-3

 

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書店の棚を見ながら歩いていると、決まってよく目に付く本が何冊かある。この本もその1冊で、あまり目にするものだから、文庫で安いこともあって買ってみた。
沢崎という私立探偵が主人公のハードボイルドだ。著者の長編2作目のようだ。
僕はあまり好んでハードボイルドは読まないと言いながら、この読書計画では結構ハードボイルド・ミステリーを読んできたことに、いまさらながら気付かされた。それほど期待せずに読み始めたら、とても読みやすくぐんぐん物語りに引きずり込まれるような感じで読み終えた。私立探偵もこうした形なら、日本においてもそれほど違和感がなく受け入れられるだろうと言う思いがする。

 

 

渡辺探偵事務所に男か女かわからないような声で、家族の行方が判らなくなった件で、真壁修の目白の自宅まで来てほしい、という電話が入り、沢崎が出向くと真壁修は6千万円の入ったスーツケースを用意したから娘を返してくれと言う。
わけが分からずに居ると玄関で数人の刑事たちに囲まれて、誘拐の共犯容疑で、目白署に連行された。目白署の取調室で判った事は、誘拐犯に嵌められたらしい、ということと、まだ、役目が終わってないということだった。改めて真壁修に誘拐犯から入った連絡は、身代金の運び屋に沢崎を指名してきたというのであった。このようなスタートから、事件は妙な展開を見せ始めるのだが・・・。

ストーリーは、沢崎の1人称の語りで進められ、一ひねりしたようなものの形容が、翻訳物のストーリーを追っているような気にさせる。多岐にわたる登場人物も、それぞれ個性的で、ストーリーを面白くしている要素だ。

 

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0404.事件当夜は雨

2003年07月11日 | ハードボイルド
事件当夜は雨
THAT NIGHT IT RAINED
読了日 2003/07/11
著 者 ヒラリー・ウォー
HILLARY WAUGH
訳 者 吉田誠一
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 309
発行日 2000/05/19
ISBN 4-488-15203-1

 

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ラマのナレーションのようなタイトルがちょっと気になっていた。元のタイトルとは違うタイトルを訳者が付けたのかと思ったら、そうではないようだ。
このアメリカの作家について僕はまったく知らなかったのだが、紹介されている他の作品にも「失踪当時の服装は」などというタイトルが付けられていて、面白いなと思っていたら、どうも意訳くさい?
写真は帯がついてない状態だが、買ったときには、帯がついており、「宮部みゆきのオールタイムベストテン」という惹句が書かれていた。どっちかいうと、僕はそっちに引かれたのかもしれない。

 

ストーリーは、土砂降りの雨の夜、果樹園主を訪れたその男は、「お前に50ドルの貸しがある」と、言い放つやいきなり銃を発砲した。コネティカット州の小さな町ストックフォードで起きた奇怪な事件。
フェローズ署長は手がかりを求めて捜索するが、手がかりと思われるものが次々違うことが判る。霧の中を手探りで歩くような空しい捜査が続く。
本の内容とは直接関係ないが、冒頭の事件発生時の模様が、昨年10月にテレビ東京で放送されたドラマ「家紋」の雪の夜を思い出させる。 このドラマは、松本清張氏の「死の枝」(残念ながら未読)を基にしたもので、清張氏の没後10年特別企画として作られた。岸本加世子、吹越満氏らの出演でミステリードラマとしては良く出来ていた。
さて本書も、事件発生から警察の丹念な捜査にもかかわらず謎が謎のままで進んでいくところが、なんとももどかしい思いがするが、どう解明されていくのだろうかという興味を持続させながら引っ張っていく。

 

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0327.追いつめる

2003年01月21日 | ハードボイルド
追いつめる
読 了 日 2003/01/21
著  者 生島治郎
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 361
発 行 日 1977/03/10
書籍ID 0193-360461-2253

 

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の作品がドラマ化されてテレビで放送されたのが昭和43年(1968年)のことだから、大分昔のこととなる。本が発表された翌年のことだ。
僕は、ドラマが先立ったか原作のほうが先立ったか良く覚えていないのだが、多分、ドラマを見始めて(連続ドラマだった)、原作を読んだのではないかと思う。
直木賞を受賞した本作は、わが国にハードボイルドを定着させたといわれているが、僕にとっては、日本のハードボイルドといえばそれよりずっと前の大藪春彦氏の「野獣死すべし」を思い浮かべる。
一時期、僕は作品中の銃器の異常なまでの細かな描写に惹かれて大藪氏の作品を読み漁った。
しかしながら、本作は、暴力団を捜査中に誤って同僚を射殺、退官を余儀なくされた刑事が、退官後も独自の捜査を続ける、というこの作品には今までになかったドラマを感じて読んだ記憶がある。
今回改めて読んで、少しも古さを感じさせないのに驚き、後々まで残る作だと感じた次第。

余談になるが、僕はこのテレビドラマが天知茂主演だとばかり思い込んでいたが、三橋達也氏であることがネットの検索でわかり、以外だった。当時僕は三橋氏のファンで、彼の主演した東宝のアクション映画を次々と見たことを思い出すが、それよりも彼はオーディオのマニアでもあり大型のホーン型スピーカーを手作りしたことなどが雑誌で紹介されたりして、そちらのほうでも僕の興味の対象となっていた。

 

 

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0275.背いて故郷

2002年08月22日 | ハードボイルド
背いて故郷
読 了 日 2002/08/22
著  者 志水辰夫
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 433
発 行 日 1997/06/30
ISBN 4-06-184267-6

 

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ソ漁業協定操業指導協会所属の第六協洋丸の船長だった柏木斉は、組織が入れ替わり、業務に不審な点が多くなり、契約期間を1年残して下船した。
後任に友人の成瀬を推した。そして、インドネシアへ寄贈される調査船を運ぶ仕事について、インドネシアへと発った。だが、第六協洋丸へ乗り込んだ成瀬が殺された。成瀬を死なせた責任を感じて、柏木は、調べを始めるのだが・・・・。
成瀬の妹・早紀子の柏木への慕情、若い頃思いを馳せたが成瀬の妻となった優子への絶ちがたい思いなどを絡ませながら、見えない敵に戦いを挑ませるストーリーは、暗く重い。

ハードボイルドに付き物の、ストイックな男の言動なのだが、語り手でもある、柏木のストイック過ぎるような言動に最後まで感情移入が出来なかった。著者については良く知らないのだが、ある種の著者自身の原体験のようなものが、こうしたストイックな主人公に入れ込まれているのであろうか?
ストーリーの導入部分での沿海州での日本漁船の漁業の実態が、日ソ漁業交渉などに影響を与えている旨の記述に興味を引かれた。

 

 

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0268.夜の指揮者

2002年08月10日 | ハードボイルド
夜の指揮者
読了日 2002/8/10
著 者 島田一男
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 285
発行日 1989/5/20
ISBN 4-334-70942-7

 

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昭和35年の作品だからかなり古い。単行本が出たその当時僕は一度これを読んでいる。
昭和30年に講談社の書下ろし全集の一冊として始めて現れた刑事弁護士・南郷次郎は、その後シリーズとして書き続けられて、本書はその第6作となる。ガードナー作のペリー・メイスンと違って、法廷の場面はなく、専らその足で事件を解決する、というタイプながら、島田氏独特の軽やかなタッチと、しゃれた台詞回しが好きで、殆ど全作読んでいるはずだ。
メイスンものと同様、奇怪な事件の発生や、奇妙な依頼人の登場から物語の幕が開けられる。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

今回は、珍しく冒頭、国選弁護人として弁護に当たった被疑者に、死刑の判決が宣告される場面から始まる。旧友から譲り受けた事務所に帰ると、その旧友の去来(きょらい)次郎が現れる。そこへたった今工事で取り付けられたばかりの電話がなる。「次郎さんすぐ来て!助けて」という電話は、去来次郎の兄嫁からだった。南郷と一緒に駆けつけてみると、そこには首をつられた兄嫁・三佐子の死体があった。
去来の伯父・竹丸老人の所有する広域な土地と、莫大な財産に絡む陰謀が・・・・。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

スピーディなストーリー展開と、洒落たセンスが爽快なストーリー。旧題「去来氏曰く」を改題。

 


0261.渇きの街

2002年07月24日 | ハードボイルド
渇きの街
読 了 日 2002/07/24
著  者 北方謙三
出 版 社 集英社
形  態 文庫
ページ数 312
発 行 日 1988/10/25
ISBN 4-08-749386-5

 

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いセンテンス。乾いた文章。気負わない淡々と進む語り口。で語られる暴力シーンが、これぞハードボイルドと思わせるストーリーだ。
川本高志は、友達を不幸に陥れた岡田を待ち伏せ、鉄パイプを使って瀕死の重傷を負わせる。クラブのボーイとして働く川本は、次第に暴力的になっていく。
閉店間近の店に飛び込んできた客を追ってきた二人の男を叩きのめしたが、男たちが店の上客の息子だったことで、クラブを馘になった。
かくまった客の室田という男の下で働くことになる高志だったが、債権取立て業のような仕事で、次第にアウトローの世界に入り込んでいく。

わが国のハードボイルドの草分けといわれる、生島治郎氏が解説で絶賛しているが、最近はこうした暴力的な話を読むと、いささか体力を消耗するようだ。
第38回日本推理作家協会賞の受賞作。

 

 

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0258.土壇場でハリーライム

2002年07月21日 | ハードボイルド
土壇場でハリー・ライム
読 了 日 2002/07/20
著  者 典厩五郎
出 版 社 文藝春秋
形  態 文庫
ページ数 313
発 行 日 1987/08/15
ISBN 4-16-73172-8

 

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っきりした年月は今思い出せないが、本作が昭和62年度のサントリーミステリー大賞を受賞して刊行されてまもなくの頃だったと思う。
木更津市立図書館で、著者の講演があるというので聴きに行った。
木更津市在住の作家が受賞したということで、市が企画したようだ。図書館の狭い会議室で、50人くらいの聴衆の前で、行われた講演の内容はすっかり忘れたが、同じ市内に在住し、年齢も僕と同じ昭和14年生まれというので、親しみを感じて、単行本を買った。だが、その当時の本はすでに処分済みで、今回は新たに文庫本を購入して読んだ。

67年東京・六本木近くの雑居ビルの屋上から東都新聞文化部長・月田春之が飛び降り自殺をした。月田が直前にゾルゲ事件の資料を調べていたらしいことを知った真木は、和歌山県のアメリカ村に向かう。
という発端で物語が始まるのだが、当時、「何故、今ゾルゲ事件なのか?」という批判ともつかないような批評もあったが、現在その手の本が書店の店頭を飾っている。今回2度目の読書だが、それほど古さを感じさせない。

 

 

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0230.顔に降りかかる雨

2002年06月12日 | ハードボイルド
顔に降りかかる雨
読 了 日 2002/06/12
著  者 桐野夏生
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 406
発 行 日 2001/05/24
ISBN 4-06-263291-8

 

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39回江戸川乱歩賞を受賞した女流作家による女性探偵のハードボイルド。
アメリカのスー・グラフトンやサラ・パレツキーらの女流作家の登場が走りといわれた3F小説が日本にも登場、と言われた作品だ。
作り手、主人公、読者の三者が女性(Femail)と言うことでそう呼ばれたのだが、アメリカで誕生した、「サマータイム・ブルース」や「アリバイのA」が日本に入って、翻訳者も女性があたって4Fと言われることもあった。

本書は、「私」(村野ミロ)のところへ、親友のノンフィクションライター・宇佐川耀子が一億円の金とともに消えた、とその金を預けた耀子の恋人・成瀬が訪ねてくるのが幕開けとなる。成瀬時男は過去に暴力団との繋がりがあった時期があり、その金も暴力団がらみの金らしい。疑われた「私」は成瀬に協力して、耀子の行方を追うことになる。
例によってこの作品もテレビドラマ化(脚本:竹山洋、監督:福本義人、主演:役所広司、鶴田真由)されており、僕はそっちのほうを先に見ているが、原作の狙いとはちょっと違う気がする。脚本家や監督の解釈の違いか?

 

 

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0174.屍蝋の市場

2002年03月05日 | ハードボイルド
屍蝋の市場
読了日 2002/3/6
著 者 島田一男
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 272
発行日 1989/01/20
ISBN 4-334-70872-2

 

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お馴染み刑事弁護士・南郷次郎のシリーズ譚。
今回は南郷が秘密クラブに潜入。奇怪な事件が続く中、魔の手はついに金丸京子に及ぶ?僕はこの作者の持ち味であるリズム感の良い文章と、しゃれた会話が楽しく好きだ。

 


0172.冥土の顔役

2002年02月26日 | ハードボイルド
冥土の顔役
読了日 2002/2/26
著 者 島田一男
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 280
発行日 1988/05/20
ISBN 4-334-70741-6

 

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この南郷弁護士シリーズが光文社の文庫で揃っているのが嬉しい。
古書店を覗いては、探して買ってくる。島田氏の作品はこのシリーズに限らず、しゃれた会話とテンポの速い筋運びが魅力だ。
書かれた年代(昭和32年)が古いので、時代背景が今と合わないのは仕方がない。それでも読むたびに初めて読んだ頃の事を少しずつ思い浮かべ、懐かしい感じで読める。
この頃の僕はまだ高校生で、貧しい家計の中で、高校進学したにもかかわらず、勉強そっちのけで、ミステリーに夢中になっていたことはちょっぴり苦い思い出だ。

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さて、物語はストリッパーが南郷の事務所に飛び込んでくると云う、幕開けで始まる。この辺はペリー・メイスンシリーズと同じで、奇妙な事件が事の始まりというおなじみの展開だ。
南郷の依頼人である男が、、彼女のアパートで大怪我をしているという。贈賄の容疑で逮捕され、この日保釈されたばかりの男だった。南郷が現場に駆けつけると、男はすでに息絶えており、現場に閉じこめられてしまう。このシリーズでは、助手の金丸京子との関係も思わせぶりの展開を示すが、もう一人南郷とコンビというか敵同士というか、警視庁の板津部長刑事、通称板長が登場する。南郷と彼のやりとりもシリーズの売り物のひとつで、楽しい。

 

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0170.その灯を消すな

2002年02月23日 | ハードボイルド
その灯を消すな
読了日 2002/2/23
著 者 島田一男
   
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 273
発行日 1987/02/20
ISBN 4-334-70497-2

 

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一昨年読んだ「上を見るな」(80.参照)に次ぐ南郷次郎シリーズの一冊。
昔読んで良かったと思う本も読書目標に加えて、もう一度読むことにしている一冊でもある。 ガードナーのペリー・メイスンシリーズと同様、こちらも刑事弁護士だが、メイスンものと違って、法廷の場面はなく、もっぱら足を使って事件解決に向かうというストーリーだ。
才色兼備な助手・金丸京子を従え、毎回八面六臂の活躍をする南郷弁護士と、ちょっぴりお色気場面もあり、気を持たせる京子との関係もあり、肩のこらないエンタテインメントになっている。
今回は、奥日光の近郊で、純潔を守るためによそ者を寄せ付けない平家村。ここで起きた事件に巻き込まれる南郷を描く。


0127.テロリストのパラソル

2001年09月11日 | ハードボイルド
テロリストのパラソル
読 了 日 2001/09/06
著  者 藤原伊織
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 388
発 行 日 2001/05/24
ISBN 4-06-263817-7

 

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41回江戸川乱歩賞と第14回直木賞をダブル受賞した作品。
冴えない中年のアル中バーテン・島村が、寝覚めの一杯を飲っている新宿の公園で、突如爆発が起こる。事件を皮切りに、隠れる ように静かに暮らしてきた島村の生活が一変する。

僕は若い頃のある時期、ハードボイルド映画に夢中になっていたことがある。否、ハードボイルドというより、アクション映画 だ。ストレスを感じたことは、あまりないのだが、無意識の内にたまったストレスを解消していたのかもしれない。
だが、ミステリーに関しては、ハードボイルドに興味がなかった。本格ミステリーに傾倒していた僕は、どちらかと言えばハー ドボイルド作品を軽視していたのかもしれない。年をとって若い頃を振り返ると、いろんなことに僕は偏見を持っていたことに 気付く。
ミステリー文学賞は、いろいろ増えて、受賞作がTVドラマになったり映画化されたりするので、しばらく活字離れを起こしてい た僕は、映像化されたものを先に見てしまうことが多かった。
この作品も、根津甚八氏主演のドラマを見ているが、原作を読むと、どうもイメージが違うようだ。まあ、映像と小説は別物と 考えればいいのだが。
島村の働く流行らないバーに、事件の後、様々な人物が現われて、次第に事件に巻き込まれていく。事件の根は、遠く学生運動 盛んなころの時代に遡る。

 

 

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0081.クリニック

2000年11月25日 | ハードボイルド

 

クリニック
The Clinic
読 了 日 2000/11/25
著  者 ジョナサン・ケラーマン
Jonathan Kellerman
訳  者 北澤和彦
出 版 社 新潮社
形  態 文庫
ページ数 (上)350、(下)305
発 行 日 1998/12/20
ISBN 4-10-229615-8
4-10-229616-6

 

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レックス・デラウェアシリーズの第10作。フェミニストの美人心理学者が惨殺された。ベストセラー作家で、TVトークショーの人気者でもある彼女の死で、利益を受けるのは誰か?多額の印税を引き継ぐことになる年の離れた夫、性的な問題を公にされた大学の教え子たち、番組で彼女の意見に異常な反発を示した不気味なコメンテイター・・・・容疑者が多すぎる。
その多すぎる容疑者をアレックスと親友のマイロが追うのだが、意外な人物が浮き上がる・・・・。

 

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