ゆみねこ日記

日常日記です。

9月の読書記録

2022-10-01 17:59:46 | ブックレビュー
9月の読書メーター
読んだ本の数:33
読んだページ数:10330
ナイス数:3932

チョウセンアサガオの咲く夏チョウセンアサガオの咲く夏感想
色んなティストの11編のオムニバス短編集。表題作は親孝行の娘が母を介護するのだが、ゾワリと怖い物語。「泣き虫の鈴」は山形県の養蚕農家に奉公に出た八彦と瞽女の少女、これがとても心に残る。佐方シリーズのスピンオフ「ヒーロー」、これが読めただけでこの本を手にした価値あり!「黙れおそ松」…うーん、なんじゃこれ?
読了日:09月01日 著者:柚月裕子
ほどなく、お別れです 思い出の箱ほどなく、お別れです 思い出の箱感想
葬儀場「坂東会館」に勤める清水美空の成長を描くシリーズ第3弾。先輩の葬祭ディレクター・漆原のもとで経験を積み、司会を任されるようになったが、社長の甥・小暮の入社で会社にさざなみが。利益を優先する小暮の言動に悩まされる社員たち。そんな中でも漆原のスタイルは変わらない。今回描かれた4つのお別れはどれも悲しく切ないものだが、遺された遺族に寄り添う美空たちの心遣いは素敵で目頭が熱くなる。小暮が心に抱えていたものを知り、ストンと腑に落ちた。
読了日:09月02日 著者:長月 天音
夢伝い夢伝い感想
ぞわりと怖いホラー短編が11編。表題作、夢を伝ってやって来るもの、これが一番印象に残る。因果応報の「沈下橋渡ろ」、仮想世界と現実世界が曖昧になる怖さ「果てなき世界の果て」、選ばなかったもう一つの世界「母の自画像」が良かった。短編も上手い宇佐美さん、やはり私は長編が読みたい。
読了日:09月03日 著者:宇佐美 まこと
箱庭の巡礼者たち箱庭の巡礼者たち感想
この世界観は恒川光太郎ならではのもの。たっぷりと堪能しました。豪雨の後で流れ着いた不思議な箱、所有することになった少年と友人の少女。少女の勇気から始まるひとつの物語と、「時を飛ぶ時計」とスズとギンタの姉弟の物語。一見関係の無さそうなストーリーが複雑に絡み合い壮大なせかいが。金色機械やスタープレイヤー系の恒川作品ファンなら楽しめること間違いなし。面白かったです!
読了日:09月04日 著者:恒川 光太郎
母の国、父の国母の国、父の国感想
日本で生まれ育ったエミリは勉強もスポーツも秀でているのに、肌の色が違うことで壮絶なイジメに遭う。日本人として、恥ずかしくなるような差別する人々。エミリを育ててくれたかすみさんが居てくれて良かった!とても考えさせられました、小学校高学年以上の皆さんにお薦めです。
読了日:09月04日 著者:小手鞠るい
海蝶 鎮魂のダイブ海蝶 鎮魂のダイブ感想
海保の唯一の女性潜水士“海蝶”忍海愛シリーズ第2弾。3.11の津波から救ってくれた海上保安官・佐崎との再会。恋に落ちた二人に立ちはだかる震災の心の傷。後半、佐崎とプライベートで旅に出てフェリーで事件に遭遇してからは、ハラハラドキドキの展開に一気読み!最後は泣きながら笑えて、読み心地は最高。お薦め!
読了日:09月04日 著者:吉川 英梨
花散る里の病棟花散る里の病棟感想
九州で4代100年続く医者の家。明治から令和の今まで、野北家のファミリーヒストリーとしても、それぞれの時代の医療事情の物語としても、とても読み応えがあった。コロナ禍の今を生きる病院勤務の4代まで、この一家の町医者としての矜持は間違いなく受け継がれている。
読了日:09月06日 著者:帚木 蓬生
宙ごはん宙ごはん感想
産んでくれたお母さんと育ててくれたママ。複雑な家庭で育つ川瀬宙。カノさんはただ嫌な女だと思って読み進めると最後にはガラリと印象が変わる。家族って親ってなんだろう?色んな呪縛で苦しむ子供たちに、不器用で未熟な大人たちに、希望と勇気を与えてくれる1冊。多くの方に読んで欲しいお薦め本です。
読了日:09月07日 著者:町田 そのこ
川まつりの夜川まつりの夜感想
ひとりでおじいちゃんの家に遊びに行ったリュウは、夜中に不思議な祭り囃子が聞こえて外に出てみたら、そこは大勢の人が行き交うお祭りだった。かって川だったそこは道になっていた。出会った不思議なおじさんの言葉「ここはむかし、川でござんした。そりゃあ、きれいな水が流れていたもんだ」「ですがね、いまだってそこのほうには、ちゃあんと水が流れてるんでさあ」。とても素敵な世界観、夏の読み聞かせにピッタリな1冊。
読了日:09月07日 著者:岩城範枝
夏鳥たちのとまり木夏鳥たちのとまり木感想
中学校教諭の葉奈子は中2の夏休み、救いを求めてネットで知り合った男の家に身を寄せたことがある。担任する星来が抱える秘密を知った時、自らの体験と重なり封印していた真実が明らかに。葉奈子に救いの手を差し伸べた同僚の溝渕も心に傷を負いながら生きていた。まだ未熟な中学生、悩みをぶつけて受け止めてくれる存在が大切だと感じた。重いテーマだが、読み心地は良かった。
読了日:09月07日 著者:奥田 亜希子
働く女子に明日は来る!働く女子に明日は来る!感想
番組制作会社のアシスタントプロデューサー時崎七菜31歳。尊敬するプロデューサー頼子の元でハードな仕事に邁進する日々。ブラックな職場と言われても七菜は好きな仕事のためと理不尽な要求にも耐え頑張っていた。ある日頼子が病に倒れ、放送開始直前に大きなトラブルが発生。どうなるのか先が気になり一気読み。七菜の成長物語でもありお仕事小説としても面白く読めた。
読了日:09月08日 著者:中澤 日菜子
ピンク色なんかこわくないピンク色なんかこわくない感想
ブラックな若草物語のように感じた。美しい長女・頭脳明晰な次女・潔癖症で引きこもりで後に作家になった三女・年の離れた四女で家族のアイドル的な愛子と彼女らの母。三女の視点からの章がなかったのは残念。女同士は身内でも難しい。そして男の影が薄い1冊。読み終えて凄く疲れた。
読了日:09月09日 著者:伊藤 朱里
コンタミ 科学汚染コンタミ 科学汚染感想
とても興味深く読んだ。優秀な女性研究者の失踪と彼女が関わっていた"VEDY"と言う怪しげな企業。世の中にあふれる「科学」を標榜する怪しげなもの。不死の病に苦しむ人が縋る代替医療の闇。人は信じたいものを正しいと思い込む。その弱みに付け入るようなものに騙されてはならないと思った。伊予原さん、長編も良かった!
読了日:09月10日 著者:伊与原 新
子宝船 きたきた捕物帖(二)子宝船 きたきた捕物帖(二)感想
きたきた捕物帖シリーズ第2弾。北一が成長している!第1話「子宝船」、子宝を授かりたくて求めた七福神が乗った宝船の絵、念願のわが子を授かったのに不幸にも亡くし、宝船から弁財天が消えた。謎に迫るきたさん。第2話3話は連作、弁当屋の親子3人の毒殺事件。生まれなからに性悪な女・お蓮を追う。どちらもスッキリ解決ではないけれど、人の心の毒を描いたら宮部さんに並ぶもの無し?!おでこ登場、狂喜乱舞(笑)続編楽しみに待ちたい。
読了日:09月12日 著者:宮部 みゆき
忍者に結婚は難しい忍者に結婚は難しい感想
キャンプが好きでたまたま出会った二人が恋に落ちて結婚。しかし二人には互いに隠していた事実が。夫は伊賀、妻は甲賀の忍者の末裔だった。片や体制に与し郵便局員として働く草刈悟郎、片や最新の機器や技術を駆使して政治的にはフリーの薬剤師・月乃蛍。政治家殺害事件やテロ、はたまた国を揺るがす陰謀。サクサク読み進め、楽しい読書に。さて続編あるのかな?楽しみです。
読了日:09月13日 著者:横関 大
八月の母八月の母感想
重苦しく辛いのに読むのを止められない。美智子・エリカ・陽向、3代に渡る母と娘。母から逃げようともがく娘と娘に依存する母。自分の居場所を求めて集まる子供たち、団地の一室で起きた悲劇の顛末。ラストで希望が見え、陽向の行く手に光が。重たい気分にならずに読了出来た。
読了日:09月14日 著者:早見 和真
水まきジイサンと図書館の王女さま水まきジイサンと図書館の王女さま感想
手話通訳士の新井の娘・美和と、同級生・英知くん。わけあって手話で会話する二人の周りで起こる様々な事件。小さな謎を二人の勇気と智慧で解決する。デフ・ヴォイスシリーズのスピンオフ、児童書。
読了日:09月14日 著者:丸山正樹
花束は毒花束は毒感想
かって家庭教師をしてくれた真壁。木瀬が久しぶりに再会した時医大生だった彼は大学をやめ家具店の店長をしていた。婚約中だという真壁に不審な脅迫状が届き、木瀬は中学時代の先輩の探偵・北見と調査に乗り出す。4年前に真壁が大学をやめた理由、ある事件で逮捕され起訴猶予になり示談が成立。結婚を妨害するのは事件の被害者なのか?たどり着いた真実はまるでホラー。まさに毒婦…。話題作、ようやく読めた。
読了日:09月15日 著者:織守 きょうや
<磯貝探偵事務所>からの御挨拶<磯貝探偵事務所>からの御挨拶感想
シリーズ第2弾。刑事を辞めて探偵事務所を開業した磯貝公太の元に人探しの依頼が。ラノベ作家の失踪事件を調べる磯貝と手伝いをする【鰊亭】の事件で知り合った桂沢光。磯貝と光が交互に語るストーリー仕立て。鰊亭の文さん、記憶は戻らないままだが勘が鋭くなっていて、これからも探偵さんに協力出来そうな流れ。次出たら読むかも?
読了日:09月16日 著者:小路 幸也
きときと夫婦旅きときと夫婦旅感想
みゆきたち夫婦は家出した一人息子・昴を迎えに行くため、富山を訪れることに。家庭内別居状態の夫・範太郎の言動にはずっとイライラさせられたけど、昴くんが良い子で、彼が選んだ進路は素晴らしい。富山、行きたいなあ!
読了日:09月16日 著者:椰月 美智子
プリンシパルプリンシパル感想
戦後の混乱期、GHQ・政治家・ヤクザが入り乱れてのバトル。東京女高師を卒業して教師をしていた綾女は、父の4代目水嶽本家の死で戦地から帰らぬ兄たちに代わり「代行」となる。敵対勢力との血で血を洗うような抗争。仲間の裏切り、政治家の企み、GHQの強権。何人死んだのか?綾女に共感出来たらもう少し楽しめたかもしれないが、スッキリ出来ず残念。先が気になって一気に読めたのだけど。
読了日:09月18日 著者:長浦 京
氷の致死量氷の致死量感想
性的マイノリティとシリアルキラー、聖母と毒母。14年前に殺害された教師・戸川更紗と良く似ている鹿原十和子。殺人犯・八木沼武史が求めたママ。おぞましいシーン続出でそこはサクっと読み飛ばしたが、最後に十和子が母と絶縁出来そうで良かった。
読了日:09月19日 著者:櫛木 理宇
蝶の眠る場所蝶の眠る場所感想
水野梓さん、初読み。小学生女児とその母親を殺害した罪で死刑になった今井武虎。死刑執行直前に教誨師の牧師に「罰は受け入れるが、私は事件には一切関係していない。真犯人は別にいます」と言い残した。時を経て小5の男児が学校の屋上から飛び降りて亡くなった。彼は死刑囚の孫清水大河であった。大河の死の真相を追うシングルマザーの女性記者。武虎の事件の不可解な証拠や証言。真実が明らかになるまで、一気読み。とても読み応えあり。面白かった!
読了日:09月20日 著者:水野 梓
天涯の海 酢屋三代の物語天涯の海 酢屋三代の物語感想
ミツカン創業家3代の物語。知多郡半田村の酒造業中野半左衛門家の婿養子・三六は、酒粕を使った粕酢作りを編み出し、後に分家し又左衛門家を起こす。初代が家を起こし、二代目が基盤を作り、三代目が発展させる。江戸で粕酢の旨さに気づいた寿司職人との出会い、中野家が粕酢を発明したことで世界に日本の寿司が広がった。面白かった。新潟県立図書館からの相互貸借本。
読了日:09月21日 著者:車浮代
【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)感想
新川帆立さん、初読み。大手製薬会社の御曹司・森川栄治が「僕の全財産は僕を殺した犯人に譲る」と言う奇妙な遺言状を残して亡くなった。犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、かつて栄治と交際していた弁護士・剣持麗子が【犯人選考会】に参加する。麗子のキャラクターが強烈、遺産の行方はどうなるか、一気読みの面白さ。
読了日:09月22日 著者:新川 帆立
タイムマシンに乗れないぼくたちタイムマシンに乗れないぼくたち感想
7つの短編。コードネームは保留・タイムマシンに乗れないぼくたち・口笛・夢の女・深く息を吸って・灯台・対岸の叔父。人と上手く付き合えない、ちょっと不器用な人たちを描いた物語。表題作と口笛が良かったけど、短編集はやはり物足りない気が…。
読了日:09月23日 著者:寺地 はるな
探花―隠蔽捜査9―探花―隠蔽捜査9―感想
神奈川県警刑事部長となっても、竜崎さんは変わらず真っ直ぐ。同期入庁でトップの成績だった八島が福岡から異動してきたが彼には不穏な噂が付きまとう。横須賀米軍基地近くの公園で他殺死体が発見され、前代未聞の米軍関係者との共同捜査になったり。ポーランドに留学中の息子・邦彦が警察官に逮捕された写真がSNSにアップされ、その後連絡出来なくなるなど波乱含みの展開に。邦彦の件は想像通り、八島が今後どう関わってくるか、続編が楽しみに。
読了日:09月24日 著者:今野 敏
巨悪巨悪感想
東京地検特捜部を舞台に「巨悪」と闘う検事たちを描いた力作。かつて高校野球のダブルエースとして活躍した中澤源吾と城島毅は、とある事件をきっかけに法曹界を目指した。検事と事務官として再会し、一通のタレコミを機に政治家と巨大企業の不審な金の流れを追う。物読み、なんと地道で骨の折れる作業なのだろう。過去の政治家絡みの汚職事件やそれにまつわる関係者の自死などを思い出しながらの読了。力作でした。
読了日:09月25日 著者:伊兼 源太郎
人でなしの櫻人でなしの櫻感想
重苦しくてキツい読書に。妻子を失いただ一人日本画家として生きてきた竹井清秀に突然一本の電話が。急な呼び出しに駆けつけると長らく絶縁していた父の遺体と全裸の少女が。蓮子と言う少女は11年に渡り父に監禁され、心は8歳のままであった。少女に惹きつけられ、その姿を描くことを渇望する清秀。小説家である伯父。3人の男の狂気に読んでいるこちらの心まで狂わされて行くようだった。
読了日:09月26日 著者:遠田 潤子
介護者D介護者D感想
札幌でひとり暮らしをしていた父が倒れて、東京で派遣社員として働く琴美は足に障害が残った父に冬を前に(雪かき用員)として呼び戻された。ヘルパーの手を借りることを拒み、娘に家事を任せる父。愛犬トトの世話も琴美に丸投げ。そんな琴美の心の支えは「押し」の若いアイドル【ゆな】。出来の良い妹はAランク、姉の琴美はDランク…。身につまされるような介護の日常と先への不安。「押し」の存在で救われるのだろう。河崎さんの新たな作も面白かった!
読了日:09月27日 著者:河﨑 秋子
ウクライナにいたら戦争が始まったウクライナにいたら戦争が始まった感想
2022年、ウクライナに単身赴任している父と暮らす為に3ヶ月の短期滞在をしようと渡航した女子高生・瀬里瑠唯。戦争なんて遠い世界の出来事だと思っていた瑠唯に、ある日突然襲いかかる戦禍の嵐。言葉の通じない異国で戦争に巻き込まれたらこう事態になるということをまざまざと見せつけられた。ロシア兵の怖さ、命からがら国境を越えたその後の大使館員の態度…。絶句した。フィクションとは思えない程の臨場感。お薦めです!
読了日:09月28日 著者:松岡 圭祐
マル暴ディーヴァマル暴ディーヴァ感想
このシリーズは文句なしに楽しい!弱気でやる気のないマル暴刑事の甘糟と強面上司の郡原が薬物取引の噂があるジャズクラブ【セブンズ】に潜入。そこで人気の歌姫星野アイの正体は警視正、オーナーも警察OB。阿岐本組やお忍び大好きな総監も登場。甘糟と郡原の会話や総監とのやり取りに何度も笑わせてもらった。
読了日:09月28日 著者:今野 敏
脱北航路脱北航路感想
北朝鮮と言う国に絶望した軍人たちが、陸海空軍による国の威信をかけた大規模軍事演習に乗じて日本への亡命を決意した。彼らが日本との交渉の切り札にしたのは45年前に拉致された一人の女性。国を捨てようという彼らの事情、45年前に拉致を見逃したことを悔い続けている元警察官や漁師、そしてひたすら帰国を願い続けてきた被害者女性。息つく間もない殲滅隊の攻撃をくぐり抜け彼らは無事に日本に到着出来るのか?読み応え満点、これが事実であって欲しいと思いながら読了。お薦め本!
読了日:09月30日 著者:月村 了衛

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