今回は、貸本「虹」に載ってた 花村えい子先生 の作品をご紹介。
蒼い光のなかの死
ミカとユカはひとつ違いの姉妹。
姉ミカは美しく母親の自慢の種。妹ユカは、そのためひねくれた性格をしていた。
そしてユカの中には自然と姉に対する嫉妬が巣くっていた。
二人が12と13の時、母が死んでしまい、二人は親戚の家へ行く事になった。
親戚とはいえ、二人はまるで女中のように扱われる日々。
(素晴らしい!! 説明文そのままの顔してる~。)
ある日、母の親友という小牧夫人が二人のうち一人を引き取りたいと言って来た。
夫人の家へ呼ばれる二人。
やはり夫人は姉を気に入ったようだったが、ユカはある計画を練っていた。
明日は家へ帰るという日の夜中。皆が寝静まると、ユカは夫人の宝石箱から
青い石のついた首飾りを抜き取ると、姉のハンカチを隅の方に落として来た。
帰ってから姉に「夫人は帰り際に養女には自分(ユカ)を迎えると言い、この首飾りをくれた。
でも、これはお姉さんにあげる。私だと思って大切にして」と言い首飾りを渡すユカ。
しばらくすると小母の所に「ユカを引き取りたい」と夫人から手紙が届いた。
その中には首飾りの件も触れていたが、ユカは「姉はたまにそういう事をしてしまう。
病気のようなものだ」とウソをつく。
夫人の家へと向かうユカ。
姉はただ涙でそれを見送った。
長い間の念願だった姉に勝つという事をやりとげ、小牧ユカとなって天国のような暮らしの毎日。
だが姉は使用人の生活。そしてたった一人の別れた妹を想っては毎日泣いていた。
ある日、小母の財布が無くなりミカに疑いがかけられた。
人の物など取った事が無いというミカに対して小母は言った。
「以前小牧夫人の首飾りを盗んだ事があるだろう。 昔からそういうクセがあるとユカが言ってた。
ホントは夫人はお前を養女にしたかったがそんな事があったからユカに変えたのさ!」
全てを知ったミカ。
数時間後ミカは浜辺にいた。
どのくらい時間がたっただろうか・・・ミカの姿はどこにもなかった。
その頃。
ユカは物音に気付いてベランダへ出た。闇の中に誰かがいた。
それは・・・頭からびっしょりぬれたミカだった。
無言のまま悲しさをいっぱいにたたえて、じっとユカを見ていた・・・
ユカは気を失った。
翌日・・・小牧夫人がユカをみつけたとき・・・すでに、ユカは息絶えていた・・・。
そばには蒼い石の首飾りがバラバラに散っていた。
ユカがなぜ死んだのか・・・首飾りがなぜここにあるのか・・・誰にもわからない・・・
永久に蒼い石はなぞをひめて・・・光っているだけだった・・・。
おわり
このマンガは、あまりフキダシがありません。
ほとんどが、ユカの心の中の思い、モノローグが話を進めて行きます。
母や姉に対するドロドロとした思いが全て吐露され、普通だったら何だか嫌~な気分に
なりそうなのに、不思議と引き込まれてしまいます。
このマンガを読んだ後日、吉屋信子さんの短編集を読みました。(2012年3月12日のブログ)
一人語りで進められて行く様子、不可思議な終わり方等がその吉屋作品に似ているなぁ
と思いました。
そういえば、花村先生は吉屋信子さんの「少女期」を原作にしてマンガを描いた事もある方。
(2012年2月7日のブログにSumideさんがコメントして下さってわかった事ですが)
もしかして花村先生は吉屋信子さんの作品にかなり影響を受けていたんじゃないかなぁ・・・
と思いました。
それにしても・・・かなりマツゲがバサバサな絵です。