Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「仔犬のローヴァーの冒険」トールキン著(原書房)

2005-01-19 | 柴田元幸
「仔犬のローヴァーの冒険」トールキン著(原書房)を読みました。
『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)の作者トールキンの
極初期のファンタジー。

魔法使いのズボンにかみついたためにおもちゃにされてしまった仔犬のローヴァーの
冒険物語です。子供達のために作った物語というだけあって、美しい場面と、
凝った言葉遊びと、楽しい冒険が盛り沢山。
『指輪物語』や『シルマリルの物語』の重厚な雰囲気が好きな人には物足りないと
思いますが、トールキンがこういう作品を書いていたということが新鮮な一冊。

月の世界に住む白い竜や人魚の都などきれいなイメージの数々。
冒頭にはトールキン自身の挿絵もついています。
また巻末にはこの作品の成り立ちや本国イギリスでも長らく出版されていなかった
理由などの解説も読めます。

「真珠の耳飾りの少女」(DVD)

2005-01-19 | 村上春樹
「真珠の耳飾りの少女」(DVD)を見ました。
オランダ・デルフトの画家フェルメールの同名の名画(別名:青いターバンの女)を
下敷きにした映画です。

冒頭から映像の美しさに見とれてしまいました。
これはまさにフェルメールの絵の質感と光そのもの!フェルメールの絵が動く感動。
主人公の少女(スカーレット・ヨハンソン)もイメージがぴったりでした。

私は昨年上野でフェルメールの『画家のアトリエ』を見たのですが、
映画の中でも壁にかかった地図や、部屋の調度品が復元されていて、
とても丁寧に作られた映画だなという印象を受けました。

フェルメールと少女が岩を砕いて絵の具をつくるシーンや
カメラ・オブ・スキャラを用いて風景を見るシーンなど、
フェルメールの絵の製作法にも触れていて、フェルメール・ファンなら必見の一本。