高千穂鉄道の被害状況続報と今後。

今日未明の記事の続報。
一夜が明け、台風14号が高千穂鉄道にもたらした被害の全貌が宮崎日日新聞の記事から明らかになってきた。

・崩落した二カ所の橋梁は、川水流・上崎間が第一五ケ瀬川橋梁(延長238m)、槙峰・亀ケ崎間が第二五ケ瀬川橋梁(延長164m)。
・崩落した二カ所の橋梁に加え、道床流出、土砂崩れが至るところで発生している。
・全線の点検が完了するのは8日。

二カ所の橋梁について、前者は昨日の時点で推測できたが、後者については今日のの記事で確定できた。ついでに、新聞記事と手元の「ローカル私鉄2000」で橋梁の延長が1m違っているが、そんな些少なことはどうでもいい。

問題は、「これからどうなる？」
この一言に尽きる。
まず、復旧に当たって二カ所の橋梁を架け替える必要があるが、これには億単位の費用が要るという。もちろん、高千穂鉄道に負担能力はない。
路線の存続を前提とした場合、沿線自治体、大株主の宮崎県に費用負担を、という事になると思われるが、沿線自治体も今回の台風で大被害を被っているため、それどころではない。

そんな状況に会社はどう反応しているかというと・・・。
高千穂鉄道曰く「復旧にかかる期間と金額によっては、廃止の方向へ一気に傾く可能性が高い」とのこと。
落胆仕切っているのは容易に想像できる。
そして、その発言を裏付けるような記事が出た。

「高千穂鉄道　存続に厳しい見通し」(宮崎日日新聞、9/8)

記事の要旨は次のとおり。
・被害箇所を視察した高千穂鉄道社長は「存続か廃止か判断のマイナス要因になる」と厳しい見通しを示した。また、「路線の全面復旧は大変厳しい状態」とも。
・今月中にも取締役会を招集して今後の方針を検討する。
・部分開通については可能であったとしても高千穂・日之影間程度。それ以外については部分開通も難しい。
・8日の時点で代替交通手段は確保されていない(バス代行になると思われる)。

やはり、今回の台風が高千穂鉄道の命運を決してしまうのだろうか。
部分開通できる区間が末端区間の日之影温泉・高千穂間12.4kmだけでは「公共交通」としての機能を担保できるとは思えない。
地元の利用者からは早期復旧を求める声が上がっているが、橋梁二カ所の架け替え、流された線路の復旧には時間もさることながら、どうしても費用がかかる。
感情的には理解できる。
逆に言えば、「沿線住民にとって本当に必要な鉄道なのか」どうかが今、問われていると言っても過言ではない。
その思いが大株主である宮崎県を動かすか否か、高千穂鉄道だけではなく行政がどう動くか注目してみたい。

順調に乗客数を伸ばしてきたトロッコ列車をはじめとして「観光鉄道」として生き残りを模索し始めた矢先の大被害。
採算性に根拠を求めるのか、観光資源として、また地元の足としての「社会資本」に根拠を求めるかで、判断は分かれてくる。
その辺りを高千穂鉄道は勿論のこと、沿線自治体、宮崎県はどう考えるのか。
前回と同じ言葉になってしまうが、今は続報を待つしかない。