高千穂鉄道の資産を取得して運行可能な区間の運転再開を目指す神話高千穂トロッコ鉄道。
その動向については、このブログでも度々取りあげているが、今週末動きがあったことが各紙で報じられていた。
「TR引き継ぎ、9月判断 厳しい無償譲渡」(宮崎日日新聞、7/1)
「高千穂鉄道、廃止含め9月に結論」(NIKKEI.NET、7/1)
「高千穂鉄道:譲渡、貸与、廃線未決定 社長「9月までに明確に」--株主総会」(毎日インタラクティブ、7/1)
要旨を整理してみる。
○6月30日高千穂鉄道の株主総会が開催された。
○株主総会の席上で高千穂鉄道社長から「資産の無償譲渡については税金の問題が出て妙案も見つからない」、「台風14号の被災から一年を迎える9月を目処に無償譲渡するか、自治体の無償貸与か、廃線か、方向性を明確にしたい」との発言あり。
○高千穂鉄道では神話高千穂トロッコ鉄道へ譲渡する資産の評価額を4.5億円と試算しており、これを無償譲渡した場合高千穂鉄道に約1.6億円、神話高千穂トロッコ鉄道側に約2.1億円の事業税・法人税がそれぞれ課税される。
○これらの課税について、経営安定基金の残高が約2億円まで減少している高千穂鉄道には支払い能力はなく、神話高千穂トロッコ鉄道の側にも厳しい条件となる。
○課税を回避するためには自治体が資産を保有し、神話高千穂トロッコ鉄道に資産を貸与することが必要になるが、仮に神話高千穂トロッコ鉄道が廃線になった場合、撤去費用は自治体負担となる。
○神話高千穂トロッコ鉄道は現在国土交通省との間で事業譲渡に向けた手続きを進めているが、高千穂鉄道からの資産譲渡がなければ事業認可は受けられない。これについて神話高千穂トロッコ鉄道側では「譲渡の際に税金が掛かればマイナスからのスタートになるため、貸与という方法しかないと思っている」とのこと。
要旨から高千穂鉄道及び神話高千穂トロッコ鉄道両者を取り巻く次の状況が読みとれるのではないか。
○高千穂鉄道から神話高千穂トロッコ鉄道への無償資産譲渡は課税がネックとなって事実上不可能となった。
○無償譲渡が受けられなくなった以上、神話高千穂トロッコ鉄道の選択肢は自治体が資産を保有した上で無償貸与を受けるしかなくなった。
○高千穂鉄道が資産をどうするか結論を出すのは今年9月。
○神話高千穂鉄道が運行再開できるのは高千穂鉄道が結論を出し、結論を踏まえて国土交通省が判断してから、ということになるため「今夏」の運行再開は事実上不可能となった。
前回明らかになった「無償」の資産譲渡。
課税関係をクリアした上での結論ではなかったことが今回明らかにされている。
甘い話はそうそうない、ということだろう。
JR九州から高千穂鉄道に資産が譲渡された時は特例により簿価「1円」とのことだが、今回同じことができるだろうか。
今回は高千穂鉄道が清算過程にあるため、そうした特例を行うことは難しいという印象を持つ。
神話高千穂トロッコ鉄道が事業資金調達に様々な策を講じていることは前回お伝えしたとおりだが、車両整備や橋梁再塗装等で10.5億円かかる状況では税金など払える状況ではない。
そして、資産譲渡の話もスタート時点に戻さざるを得なくなり高千穂鉄道サイドの判断待ちという状況になった。
救いなのは高千穂鉄道サイドが「最善の方策を模索しているので少し時間が欲しい」としている点。
ただ、NIKKEI.NETを見ると「今後は(鉄道資産の)貸与などを考えたいが、名案がない」と高千穂鉄道の社長が発言していることを紹介しているため極めて厳しい状況にあることも確かだろう。
結局、神話高千穂トロッコ鉄道への資産がどうなるかは高千穂鉄道の主な出資者である自治体サイドのさじ加減で決まることがはっきりした。
果たして9月までに妙案は出るのだろうか。
そして、神話高千穂トロッコ鉄道の今後は9月にははっきりするということでもある。
資産を「廃止」することになれば、資産の利用は不可能になり構想の前提が完全に崩壊する。
これまでの地元の努力を考えるとそんな結末は見たくはないのだが。
その動向については、このブログでも度々取りあげているが、今週末動きがあったことが各紙で報じられていた。
「TR引き継ぎ、9月判断 厳しい無償譲渡」(宮崎日日新聞、7/1)
「高千穂鉄道、廃止含め9月に結論」(NIKKEI.NET、7/1)
「高千穂鉄道:譲渡、貸与、廃線未決定 社長「9月までに明確に」--株主総会」(毎日インタラクティブ、7/1)
要旨を整理してみる。
○6月30日高千穂鉄道の株主総会が開催された。
○株主総会の席上で高千穂鉄道社長から「資産の無償譲渡については税金の問題が出て妙案も見つからない」、「台風14号の被災から一年を迎える9月を目処に無償譲渡するか、自治体の無償貸与か、廃線か、方向性を明確にしたい」との発言あり。
○高千穂鉄道では神話高千穂トロッコ鉄道へ譲渡する資産の評価額を4.5億円と試算しており、これを無償譲渡した場合高千穂鉄道に約1.6億円、神話高千穂トロッコ鉄道側に約2.1億円の事業税・法人税がそれぞれ課税される。
○これらの課税について、経営安定基金の残高が約2億円まで減少している高千穂鉄道には支払い能力はなく、神話高千穂トロッコ鉄道の側にも厳しい条件となる。
○課税を回避するためには自治体が資産を保有し、神話高千穂トロッコ鉄道に資産を貸与することが必要になるが、仮に神話高千穂トロッコ鉄道が廃線になった場合、撤去費用は自治体負担となる。
○神話高千穂トロッコ鉄道は現在国土交通省との間で事業譲渡に向けた手続きを進めているが、高千穂鉄道からの資産譲渡がなければ事業認可は受けられない。これについて神話高千穂トロッコ鉄道側では「譲渡の際に税金が掛かればマイナスからのスタートになるため、貸与という方法しかないと思っている」とのこと。
要旨から高千穂鉄道及び神話高千穂トロッコ鉄道両者を取り巻く次の状況が読みとれるのではないか。
○高千穂鉄道から神話高千穂トロッコ鉄道への無償資産譲渡は課税がネックとなって事実上不可能となった。
○無償譲渡が受けられなくなった以上、神話高千穂トロッコ鉄道の選択肢は自治体が資産を保有した上で無償貸与を受けるしかなくなった。
○高千穂鉄道が資産をどうするか結論を出すのは今年9月。
○神話高千穂鉄道が運行再開できるのは高千穂鉄道が結論を出し、結論を踏まえて国土交通省が判断してから、ということになるため「今夏」の運行再開は事実上不可能となった。
前回明らかになった「無償」の資産譲渡。
課税関係をクリアした上での結論ではなかったことが今回明らかにされている。
甘い話はそうそうない、ということだろう。
JR九州から高千穂鉄道に資産が譲渡された時は特例により簿価「1円」とのことだが、今回同じことができるだろうか。
今回は高千穂鉄道が清算過程にあるため、そうした特例を行うことは難しいという印象を持つ。
神話高千穂トロッコ鉄道が事業資金調達に様々な策を講じていることは前回お伝えしたとおりだが、車両整備や橋梁再塗装等で10.5億円かかる状況では税金など払える状況ではない。
そして、資産譲渡の話もスタート時点に戻さざるを得なくなり高千穂鉄道サイドの判断待ちという状況になった。
救いなのは高千穂鉄道サイドが「最善の方策を模索しているので少し時間が欲しい」としている点。
ただ、NIKKEI.NETを見ると「今後は(鉄道資産の)貸与などを考えたいが、名案がない」と高千穂鉄道の社長が発言していることを紹介しているため極めて厳しい状況にあることも確かだろう。
結局、神話高千穂トロッコ鉄道への資産がどうなるかは高千穂鉄道の主な出資者である自治体サイドのさじ加減で決まることがはっきりした。
果たして9月までに妙案は出るのだろうか。
そして、神話高千穂トロッコ鉄道の今後は9月にははっきりするということでもある。
資産を「廃止」することになれば、資産の利用は不可能になり構想の前提が完全に崩壊する。
これまでの地元の努力を考えるとそんな結末は見たくはないのだが。
ただ国会は閉会中。もっと早く、宮崎出身の国会議員さんに相談しないと。