Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

遠州鉄道の天竜浜名湖鉄道乗り入れ計画の費用が明らかに。

2007-06-23 07:11:05 | 鉄道(地方・専用線など)
かつて天竜浜名湖鉄道が「国鉄二俣線」だった頃。
遠州鉄道がディーゼルカーで同線に乗り入れていた事を覚えている方がどれだけいるだろうか。
真っ赤な元国鉄キハ04が1966年まで乗り入れていたが、それが絶えて幾星霜。
名前が変わった「二俣線」への乗り入れが真面目に検討されているとは予想もしなかった。

「遠鉄の天浜線乗り入れ事業費試算34億円 浜松市は慎重姿勢」(中日新聞、6/22)

要点を整理してみる。
○浜松市の新市建設計画で「検討」として位置付けられている、遠州鉄道の天竜浜名湖鉄道への乗り入れについて、同市は乗り入れた場合に生じる駅改修、車両購入などの事業費が約34億円、年間約0.7億円の運営費をまかなうための必要需要が1日700人との試算を明らかにした。
○この試算について、浜松市は現状と必要な需要とのギャップが大きいため慎重に取り組みたい旨の考えを示した。
○遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道の乗換駅となる西鹿島駅での乗換人数は1日170人。
○乗り入れの事業化に際して浜松市は次の条件を挙げている。
・事業費全額の公的負担
・前項の条件を満たした上で需要の新規創出が必要
○今回の乗り入れ構想については浜松市が2009年度に策定する総合交通計画の策定までに可否を判断する予定。

遠州鉄道の天竜浜名湖鉄道への乗り入れ構想自体は決して新しいものではない。
例えば、1992年に天竜市がその可能性を調査している。
この時も「検討課題」とされている。
今回の構想では遠州鉄道が保有する車両が天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅まで乗り入れるというものだが、車両をどちらが用意するのか。
2.3kmの乗り入れのために遠州鉄道がディーゼルカーを新造することは現実的ではないし、検修設備も新たに必要になる。
加えて既存のダイヤとのすり合わせも必要になってくる。
以上の点から遠州鉄道側は乗り入れにはあまり乗り気ではないだろうなと勝手に考えてしまう。

一方で天竜浜名湖鉄道の側はどうだろうか。
直通列車が運行されることで「乗り換え不要」はPRできるものの、それでどれだけの新規需要が掘り起こせるかは未知数。
西鹿島で天竜浜名湖鉄道から遠州鉄道に乗り換えたことがあるが、ダイヤの接続改善で少しは便利になるかという印象を持っている。

先の記事でも乗り入れが実現しなかった場合は西鹿島駅構内を乗り換えし易い構造に改修する、西鹿島・天竜二俣間のシャトル列車運転等が検討の俎上に挙がっている。
まずは、今ある施設・車両を活用した利便性の向上策が最初に来るべきであって、需要の掘り起こしが出来た段階で乗り入れ検討というのが本来の流れではないかと記事を読んで思う。

ただ、趣味的には真っ赤なディーゼルカーが天竜浜名湖鉄道を疾走する姿を再び見たいと思うのも事実だが。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
市長の交代 (ZENTAMA)
2007-06-26 10:42:51
浜松市と天竜市の合併を推進した市長が、今の市長に選挙で破れました。地元自動車会社の推薦を得た新市長なので、鉄道に対して消極的かも知れません。
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