Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「サツキとメイの家」争奪戦、果たしてどうなる?

2005-05-26 06:31:01 | 愛・地球博
久しぶりに愛・地球博関連の話題を。
昨日の中日新聞朝刊にこんな記事が掲載されていた。

「閉幕後の長久手何残す?サツキとメイの家、愛知県は『二の足』」

記事は愛・地球博閉幕後、長久手会場等に残す施設の選定を始めているというもの。
予算の関係上、選定の期限は今月末。
その中には複数の自治体が引き取りを希望している「サツキとメイの家」も含まれている。

引き取りに手を挙げた(手を挙げようとしている)のは次の自治体。
博覧会協会に移設を申請:岐阜県上石津町、郡上市、東京都東村山市
博覧会協会に問い合わせ:埼玉県所沢市、山梨県山梨市、愛知県豊田市、三重県桑名市

肝心の愛知県は何もアクションを起こしていないが、維持費が嵩むと見て腰が引けているようだ。
現在、残そうと候補に挙がっている施設は、EXPOホール、迎賓館、大観覧車等。
この他には北ゲートを残し、グローバル・ループの一部を残そうという案もあるという。
これらの施設を見ていると、いかにも「ハコモノ」を残そうとしている気配がしないでもない。

ただ、「サツキとメイの家」の維持費が嵩むというのは事実のようで、実際、現状でも人件費だけで月0.1億円以上かかるという。
これは入館者が家の中の物を自由に触る展示方法をとっているためで、障子紙や戸が破れると修理が必要になる。
素材も昭和30年代当時の物に拘った結果、歯ブラシ一本が「六千円」という常識外れの値段となっている。
これでは愛知県の腰が引ける気持ちもわからなくもない。

博覧会協会としては「サツキとメイの家」の移築については「白紙」、愛知県も「万博後の活用方法は白紙、施設の耐久性や経費を計算中」としているが、博覧会協会の中からは「長久手会場に残してはどうか」との意見も出ている。

個人的な意見を言わせて貰うと、この「サツキとメイの家」に万博期間中に行くことはないだろうから、出来れば会場内にどんな形であっても残して欲しいというのが本音である。
たとえ中に入ることは叶わずとも、外観を見るだけでもいいような気がする。
この争奪戦、愛知県が一声上げさえすれば、あっさり決着するのではないかという気がしてきた。
ただし、維持コストを削減するために利用方法にはかなりの制約が設けられそうだが。

それにしても、歯ブラシ一本が六千円というのには恐れ入った。
「昭和30年代」という時代の再現のために必要であったとはいえ、そこまで素材に拘っていたとは知らなかった。
別の視点から見れば、金に糸目をつけなければここまで出来るということでもある。

その話を聞いて、古い建物や鉄道車両や航空機、船舶といった乗り物の保存の話を想い出した。
対象物が活躍していた時代の姿にどこまで正確に近づけるか、という話である。
実際に存在している建物や乗物の復元・保存に途方もない手間とコストがかかるのは、全く真実であり、多くの事例がそれで苦労している。
事実、保存を優先するあまり、対象物が建築・製造された当時の材料・技法に拘ることができず、やむをえず代替材料・技法で取り繕うケースは多いのだから・・・。

恐らく「サツキとメイの家」は人気施設であることから残る可能性が高いだろう。
そして、引き取った自治体がどのように扱うか、単に「自治体興し」の御輿として使うのか、それとも建物自体に価値を求めた利用方法を見いだすかという点に注目してみたいと思っている。

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