Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

全線運休中の高千穂鉄道に宮崎県が下した見解は・・・。

2005-12-07 22:24:23 | 鉄道(地方・専用線など)
トロッコ列車を貴重な観光資源の一つと捉えつつも、「まず経営成立が基本」というものだった。

「「まずは経営成立が基本」 部分復旧も厳しい 台風被害の高千穂鉄道」(西日本新聞、12/7)
「「TR存続厳しい」 安藤知事「部分復旧も困難」」(宮崎日日新聞、12/7)

両社の記事は宮崎県の12月議会一般質問の知事答弁の内容を取りあげたもの。
要旨は次のとおり。

○6日の知事答弁で、全線復旧、部分復旧のいずれも「厳しい状況にある」とする見解を宮崎県知事が示した。
○部分復旧論については、延岡でJRと接続しなくなることに伴う利用者の減少及び(赤字の増大による)施設・設備の維持費用負担の問題、同時に発生する下流の廃止部分の施設・設備の処理の問題から「困難が多い課題」とした。
○全線復旧論については、少子化などで利用者が今後も減少し、大幅な赤字が将来に亘って見込まれること、車両や施設・設備の維持費用も多額に上ることなどを総合的に考慮すると、「存続は厳しい状況にある」とした。
○一般質問後、宮崎県知事は「取締役会でも沿線市町の意見を尊重したい」としつつも、「会社として経営が成り立つことが基本」、「黒字になることは到底考えられないと思う。公金をどの程度出すことが許されるかということになる」とし、県の新たな財政支援についても「経営の見通しが立ってからでないと難しい」との見解を示した。

高千穂鉄道の筆頭株主が宮崎県である事は何度も触れているが、その見解が示されたと考えれば良いのだろう。
存続を望む人たちには最悪の形で。

厳しい県財政の状況や台風14号による被害復旧費などを考慮すると、部分復旧論と言えども予断を許さない状況だと思っていた。
それが今回示された事になる。

台風で大被害を受ける以前から、高千穂鉄道は赤字の増加で存廃検討が言われていた。
その経緯から見ると、「経営の見通しが立ってからでないと財政支援は難しい」と言われた所で前提条件がそもそも成立していないのだから、どう控えめに見ても宮崎県サイドの結論をオブラートにくるんでいるとしか思えないのだが。

ただ、留意が必要なのは今回示されたのは筆頭株主としての見解。
最終的な結論は沿線市町村を交えた取締役会で下されることになる。
次の取締役会は9日に開催され、県の考えが表明される予定となっている。

今日の記事で宮崎県サイドの意向は大体見当がついたが、当の取締役会では先の存続論が多数を占めた株主総会の意見も踏まえた議論が出る事は想像できる。

いずれにせよ、高千穂鉄道を存続させるにせよ、廃止するにしても公金の支出は必須。
9日に開催される取締役会の議論に注目したい所だが、筆頭株主が存続に厳しい見解を示した以上、少なくとも「生活路線」としての高千穂鉄道の存続への望みは少なくなった事は言えるのではないだろうか。


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