Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

和歌山にLRTが走る日は来るか?

2005-05-24 06:08:15 | 鉄道(地方・専用線など)
日経新聞関西版にこんな記事が掲載されていた。
記事自体は南海貴志川線を継承する岡山電気軌道社長のインタビューだが、次のような事が書かれていた。

既報のとおり子会社を6月に設立する。
・計画では利用客が年5%程度減少したとしても、赤字は10年間で8.2億円程度、年0.8億円強と、南海時代に比べ大幅な圧縮を予定。この10年間の赤字は地元市町が補てん。
・子会社の陣営は従業員30人程度。このうち運転手は14人となっており、運行要員の数は南海時代から2割減少。
・黒字化に向けて駅周辺の空き地を不動産開発し、宅地化・商業地化を進める。
 また、日前宮や熊野古道といった豊富な観光資源を活用して観光客の誘致を進める。
・これらの施策で企業体力をつけ、LRT化への投資に備える。沿線自治体の赤字補填が終わる10年後も貴志川線を存続させるためには、さらに10~20%のコスト削減が必要。そのためのLRT導入は不可欠と判断している。

前回取り上げた記事に比べてかなり具体性を伴ったものとなっている。
そして、その内容は岡山電気軌道が属する両備グループが和歌山に本格進出することを示唆するに十分なものとなっている。

実際、記事の最後は「和歌山での利益を岡山に持ち帰るつもりはない。我々のノウハウで運営コストを引き下げ、LRTで地方鉄道の存続が可能なことを実証したい」と締めくくられている。
ということは、和歌山に設立される子会社は和歌山地区における両備グループの橋頭堡であり、重要な役割を担っていくことになるのだろう。
不動産開発は両備グループに属する不動産会社が担当するのだろうし、グループの総力を挙げた事業になるのではないか。

と、固い話はさておき。
鉄道ファン的に注目したいのは、岡山電気軌道が貴志川線を中長期的にはLRTに転換したいという意向を明確にしたことだろう。
事業が順調に進めば、沿線自治体の赤字補助が切れる10年後にLRT化の計画が始まると考えれば良いのだろうか。
また、その時点までに乗客が増えず、赤字補助頼みの経営に終始しているようであれば、そこで事業を断念、路線廃止に至るのだろうか。

LRTにも色々な形態があるが、同社の「MOMO」のような超低床車を導入するのであれば、ホームの切り下げ等の地上施設の大幅な改修は避けられない。

また、現行のホームを活用したタイプ(それでもある程度の切り下げは必要になるだろう)では前者より地上施設の改修は少なくなると思うが、今度は車両を高床式にしなければならなくなるため、乗降性に難が生じる場合もあり得る。

いずれにせよ、まだ構想段階なのでこれからの動きを注視するしかないが、JR富山港線に続いてローカル線をLRTに転換する構想があることは間違いないし、我々が思っていた以上に中長期的なビジョンを持って動いていこうとしていることは理解できた。
どのように具体化させていくのか、貴志川線の今後の10年間を注目して見ていきたい。

追記:
岡山電気軌道は2006年4月1日から継承した貴志川線の営業開始を予定しているが、南海は9月での撤退姿勢を変えていない。この点については当然というべきか和歌山県と和歌山市が年度末までの運行延長を要請している。

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1 コメント

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二律背反? (planning)
2005-05-24 09:50:47
LRT化というところで少々引っかかるのが、現在試験導入されているサイクルトレイン。

まぁLRV=低床だが車体幅が狭い、という捉え方自体が視野の狭い話かもしれないが、現行の20m車2連より収容力は格段に落ちることになるのは確実。無理に低床に拘れば、車内移動が必要という日本の現行運賃収受方式である以上、邪魔な存在にもなるだろう。

熊本での動きも含め、先の話とはいえ気になります。
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