Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

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「現代SF1500冊 乱闘編1975~1995」を読んで

2005-06-28 07:42:03 | 読書録(その他)
通勤電車の中、しかも吊革に揺られてこの本を読んでいたが、その題名通り大量1500冊という本の批評にひたすら圧倒された。
題名通り、20年間におけるSFの変遷を一翻訳者の目を通して見ている。
個人の主観が入りまくっているが、実に読んでいて心地よく、楽しい。
SFファンが主観を剥き出しにした批評というのは何と容赦なく、面白いのだろう。

その批評の中には自分が読んだ事のある本が数冊含まれているが、大学時代のなけなしのバイト代から買った翻訳SF(「変容風の吹くとき」)がトンデモない訳文でついていけなかった事を思いだした。
登場人物の会話を読んで、人間の「会話」かなぁと思った事を覚えているが、これがトラウマになってしばらくの間翻訳SFに手を出そうとしなかった事は確かである。

今、書庫に入れる本を少しずつ運んでいるが、その中にハヤカワSFの青背や白背、ハヤカワJA文庫が大量に眠っている。
逆に創元推理文庫やサンリオSF文庫は僅かな数、後者に至っては片手で数えられる程度しか持っていない。

というのも、SF集めに没頭していたのは高校~就職までの間だったが、毎月のように発行される新刊を新品で買いそろえるのは無理がある(現在でも無理だが・・・)。
従って、どうしても古書店で集めていくことになるが、ハヤカワのSFやJAが「三冊百円」で均一コーナーに並べられていたのに対し、サンリオSF文庫はプレミアが付いて売られていた。
モノによっては二千円という値段がついていたのを見たことがある。
もう20年近く昔の話だが、それほどサンリオSF文庫は稀少なものとされていたことになる。
今でこそ「バブル」は大分落ち着いているようだが・・・。

話を元に戻す。
本としては、翻訳SFに紙幅が多く割かれている。
しかし、自分はこの時代の翻訳SFに殆ど手を出していない。サイバーパンクブームについていけなかったせいもあるが、何より古書店で入手した小松左京や光瀬龍といったハヤカワJA文庫の山を崩すのが精一杯だったためだ。
読んだ事のある翻訳SFも本書でコキ下ろされた本(実際大した印象が残っていないのも事実だが)が多く、当時の自分の見る目のなさに赤面してしまう。
しかし、人はそうした挫折を経てまた一つ成長すると思えばどうということもない。

本書一冊で、この時期のSFを知った気になるのは大間違い。
とはいえ、20年間のSFの変遷を一冊に濃縮している本書の利用価値は十分にある。
本書をガイドブックにして新刊を探す、新刊が手に入らなければ古書店を探すという探求の旅を始めれば良いのだから。

そして、本書は実にクサい所で終わっている。
続きが出るだろうと思って巻末までたどり着くと、「現代SF1500冊 回天編1996~2005(仮題)」が10月に刊行されるという。
次が待ち遠しいガイド本というのも、そうそうないのではないだろうか。

追記:
創元推理文庫から出ていたマリオン・ジマー・ブラッドリーのダーコーヴァ年代記の一冊「惑星救出計画」が著者の翻訳デビュー作とは知らなかった。
さらに考えてみれば、ひかわ玲子もこのシリーズを翻訳していたんだよなぁ・・・。

<データ>
「現代SF1500冊 乱闘編1975~1995」大森 望著 太田出版
価格2300円(本体)


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