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仏の顔も三度まで・・・

三菱自動車がまたも不正をした。社長が記者会見で「燃費を計算する際は複数のデータの中央値を使うべきところ、燃費のいい数字を使っていた」と子供でも言わないような言い訳をしコンプライアンスの徹底は難しいと語った。 

ここ10年くらいコンプライアンスなんていう言葉をいい大人がこれ見よがしに使ってることじたいがチャンチャラおかしくて仕方ない。横文字を使うとなんか一見難しそうだが要は「ちゃんときまりは守ろうね。」というウチの孫が幼稚園や小学校に入って最初に先生に教わってることとなんら変わらない。子供がときどき規則に反するのは ご愛敬でまあ子供だからしかたない。しかし大人がビジネスで、特に顧客や株主に対してきまりを守らないというのはプロとして失格である。商品やサービスを提供し見合う価値を売るのに今回の三菱のようにその価値にウソがあるから、とりあえずこれは詐欺だ。  

こどもがテストの回答をもらって、○の所だけ残し、×だったところをハサミで切り捨てて、字をなおして100点にして親に見せてとりあえず親は安心してる。その子供はこれに味をしめてるから×だったところを見直して次に生かそうなんてしない。せいぜい進歩するのは切り貼りと字のごまかしのテクニックだろう。三菱自動車のやってることはこれと一緒である。

三菱自動車のリコールなどのウソ隠しは2000年以降3回目である。かつて ギャランやランサーなどの名車で国内外のラリーを制し、長距離ラリーで活躍したパジェロなどオフロードSUVでも特徴ある製品を提供してきたが、21世紀になってからは商品力がめっきり衰えた。目先の数値にとらわれ(今、東芝が同じ道をたどろうとしているように)何を残して何を切り捨て何で生きていくかの選択を誤った。かくしてもはや魅力あるクルマはなくなってきたが、その割にこのところの売上高は2兆円を軸に前後しており凋落というほどでもない。なぜかというと中国ほかアジアへの既存商品の販売増や為替差益に支えられているからである。新規に力を入れていた電気自動車などはトラブルも多く販売台数面からも収益に貢献していない。

しかし重要なのは国内販売である。国内販売は自動車メーカーにとっては商品力の試金石であり、いかに魅力あるクルマを送り出せるかの目安である。そこを見るとよくわかる。国内販売台数も2000年ころは50万台程度はあったのが、昨今は10万台を越える程度である。 

この会社をみると、メーカーの肝要な点は、やはり魅力ある商品を創造して送り出すことが大切だと痛感する。それがうまく行かなかったのにこれだけ問題を起こしても、”三菱財閥力”も含めた外的な要因で生き残ってきた三菱自動車はこれまではラッキーな21世紀だったのかもしれない。

かつて20代の頃、ラリーをしていた自分が競技で三菱車を使っていたこともあり、実は昔の三菱自動車にはとても愛着がある。この写真は今でもラリーの三菱チームの監督をしていた亡き木全巌さんとスコットランドのラリースト、アンドリュー・コーワンのサイン入りのポスター。この時、コーワン氏に自分もラリーやっているんですよ・・・とかお話しする機会があって、サインに「ラリーガンバってね!」と一言書いてくれた想い出がある。同じ三菱のドライバーだった国際ラリーで活躍した篠塚健次郎と秩父の山中で練習会でご一緒したこともあったし、ワークスドライバーだった歌川善助氏や上野陽志夫氏にパーツの加工などでお世話になったこともあった。また、私が自動車産業に携わっていたころ三菱自動車に製品の納入もしていたので、現在はダイムラー社の子会社になったふそうブランドの川崎の工場にも時々足を運んだ想い出がある。

三菱自動車の凋落は個人的に悲しい。

時は流れ、かつて昭和の終わりの頃、私が自動車産業からの撤退を考慮し始めた当時、ニッポンの乗用車メーカーは8社だった。今はアクセンチュアとなった当時のアーサーアンダーセンなど業界に強いコンサルティングの信頼筋は、業界の将来展望として21世紀には日本の乗用車生産は4社程度になる可能性を予測していた。(実際は現在7社)

仏の顔も三度まで・・・

どうやらこの会社は20世紀でやはり役割を終えていたのかも知れない。

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