Feelin' Kinda Lucky

ちょっと書いとこう・・・・

バーチャル・オフィス

2020年10月22日 | Miscellaneous

昨今、シェアオフィスなど新業態の貸オフィス業が盛んです。賃借人も初期投資が抑えられるなどの簡素ゆえに新たな起業家の掘り起こしという面では追い風になるのですが、時として危険性も多いのです。一つの身近な例を話しましょう。

シェアオフィスの多くは一定の面積の場所で小さく区分したブースのような形態で貸します。合わせて共有スペースとして入口に受付がいたりお茶のサービスや打ち合せなどができる部屋などのサービスを設けます。

このように例えば一坪の狭い賃借でも、個々の企業なり個人経営主として実態のある形態は問題ないのですが・・・

問題はバーチャルオフィスと称するものです。

上述のシェアオフィスと違い、全てが個々に区分した物理的なスペースを供せず、共有スペースと電話受付などのみで、多数の個人なり企業から会費を取り、なんと会社として会社登記までさせてしまう業態があります。これを一般的にバーチャルオフィスといいます。

実は私が代表をする企業で所有する都心の賃貸物件で無断で狭いワンフロアの一室でこのサービスを開始した企業がありました。

驚くことにその会員数はなんと200から300くらいに及んでいました。即ち、ビルのワンフロアの狭いところを借りてその賃料を遥かに上回る収入を得るのです。例えば契約数を200として3万円ずつ会費を徴取したとしても600万円です。狭いビルのワンフロアの賃料の何十倍です。他人の所有する場所の一部を借り、いわば「住所貸し」をして儲けるのです。この賃借人はもともとレンタルサーバー関連の会社で、サーバーのレンタルというITの世界の商売の発想をリアルな土地建物賃貸に応用したといったところでしょう。残念ながら社会的影響まで考えが及ばないのでしょう。 

私の企業としても賃借してもらっている会社が、その場所を活用してたくさん儲けて繁栄してもらうのは素晴らしいことですが、コレはチョット違います。 

どこの誰だか知らない個人や企業が、都心の住所を登記し、その住所を本社と称するのです。例えばこの場所が千代田区大手町だったとしましょう。そしてそこでこの悪徳ビジネスが展開されると、数百の得体の知れない企業なり個人が千代田区大手町を本社として登記し、堂々と本社なり事業所としてパンフレットなり封筒に印刷して商売ができてしまうのです。 

その安直な登記が法務局で許されてしまうのが今の実態です。いわば法務省が許してしまうのです。 

あるとき、これらの会員企業に疑わしい詐欺行為やそれに準ずること、税務署や社会保険事務所への未納金などが複数生じて、この不徳なビジネスを賃借人の企業が私の企業に無断で行なっていたことが発覚したのです。 

もちろん契約書には無断で転貸借は不可と明記してありますので明らかに契約違反と思うのですが、顧問弁護士とも協議しましたが、実態として直接貸した契約者以外の企業などが居座っている事実がないと違約として契約解除ができないのです。アメリカあたりなら翌日にでも契約解除できそうですが、日本の法律は賃貸人の利益より、賃借人の保護や権利に手厚いので、一定の期間の賃料の未払いなどがないと契約解除は出来ないのです。 

弁護士を介して退出を迫ると、賃借人は賃料をもっと払うと言い出しました。それはそうですよね、賃料の何十倍の収入を得ているのですから今の賃料の何倍に賃料を上げたって依然、儲かります。要するにカネで私の企業を黙らせようとしたわけです。 

もちろん拒否しました。お金の問題ではありません。倫理の問題です。こんなことを許し、悪徳業者を産む温床の提供は許し難いことです。賃貸側は、以降会員を増やさないとか会員の審査を強化するとか言ってきました。 

冗談じゃない!と言いたいところでしょうが・・・残念ながら今の日本のルールでは、これ以上の解決がないのです。 

とはいえここで引き下がりたくないので、この件で、私の企業で不動産関係でアドバイスをもらっているブレインの方のアドバイスをもらい解決に至りました。

聞くところ最近このバーチャルオフィスの業態はやはり問題が生じているので大手企業は儲かるから進出しても結局は手を引いていくことが多いということでした。 

今回、この勝手にバーチャルオフィス事業を展開した賃貸人の親会社が一部上場企業でした。そしてその親会社は大手商社と繋がりがあり、出資と役員派遣を受けていました。

そこで私はこの上場企業の株主総会にはるばる新幹線に乗って出向きました。

総会の終了間際の質疑の場で、出席者全員の前でマイクを通し、このビジネスの実態を述べ、大手商社の関連の上場企業の子会社でこのような社会的に問題のある事業を展開していいものか?儲かれば世間にどんな悪影響が出てもかまわないのか?と経営陣に強く問いかけました。そして即刻退去してもらいたいと訴えました。

結局 その後、退出の猶予期間2ヶ月ほどを経て、やっと退去させることができました。大手企業としの社会的な責任から芳しくないと判断したのか、うるさい賃借人から手を引こうと思ったのかは知る良しもありませんが、私の企業としてはとりあえず退去してもらえばそれでとりあえずは解決です。(ただしこうした問題を解決すべきだと一応法務局には伝えました。) 最終的に退去条件など事務処理をまとめた顧問弁護士も、私のブレインの方と私の積極的な行動に驚いていました。

その後、もう時間が経ちましたが、又貸しした多くの会社のうちいい加減な会社も多かったのでしょう、今だに私の所属する企業に税金や社会保険料の未払いでバーチャルオフィスで借りていた怪しい企業に関する上の写真のような書面での問い合わせが当局(税務署や年金機構)から来るのです。

聞くところそのようなバーチャルオフィス事業が広まり得体の知れない企業や個人が多くなり、当局もこうした未納などが増えて困っているとのことでした。私は都度、「だったらどんどん問題化して規制しなさいよ!」と強く言っています。

商売というものは 業務を遂行する過程で少々辛いこともありますが、結局は、それに関わる人みんなが喜べるものでないと長続きはしないと思います。自分さえ儲かればいい、法を犯さなければ、その裏で誰か泣く人がいても構わない・・・ 

そんな考えで、人を泣かせて自分だけ裕福になったり保身したりという人生を私は選びたくないです。 

合わせてそういう行動に至った支援をしてくれたブレインの方に感謝しています。私など自分が未熟ですから自分でできないことが多いので、何かと人に相談するのですが、これまでの仕事の中で難局にぶつかるといつも誰かに助けてもらってきました。ありがたいことです。人は一人で生きていけませんね。 


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