つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

凪(なぎ)

2014-10-13 12:39:41 | ジャズ


  凪とは風がやみ、波が穏やかになることで「和ぎ」とも書きます。

  「西の夕凪」「夫婦喧嘩と北風は夜凪がする」など、西風や北風が夕方や夜に静まることわざです。

  朝、陸風と海風が移り変わるときに一時(いっとき)風が吹かなくなるのが「朝凪」、逆に夕方に海風と陸風が

  移り変わるときに無風状態になるのが「夕凪」。

  中世ラテンのことわざに「よき日を賛えるには夕暮れを待ち、生をたたえるには死を待て」という言葉がありますが、

  夕方の風のない穏やかな海は、たとえ一時であっても心和む風景のひとつです・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  GRAHAM DECHTER・・・「RIGHT ON TIME」


  


  本作は、カリフォルニア州サンタモニカ出身、若干23歳の新人ギタリスト、グラハム・デクターのデビュー作。

  
  19歳の時に、レイ・ブラウンやダイアナ・クラールとの共演で知られる西海岸を代表する巨匠ドラマー、

  ジェフ・ハミルトンにスカウトされ、CLAYTON_HAMILTON JAZZ ORCHESTRAに最年少で加入した逸材でもある。

  ハミルトンとデクターが共同プロデューサーしたのが本作にあたる。

  バックを務めるのは恩師のジェフ・ハミルトン(ds)とジョン・クレイトン(b)、そしてイスラエル出身のピアニスト、

  タミル・ヘンデルマン(p)というアメリカ西海岸の最強のリズム隊。


  全10曲、デクターのオリジナル一曲のほかは、サド・ジョーンズ、ジョビン、エリントン、ジョニー・ホッジス、

  レイ・ブラウンなどの曲を採りあげている。


  躍動感のある曲の中にも、しっとりと聴かせる曲もあり、特に8曲目の「WITH EVERY BREATH I TAKE」は、しみじみとして

 心に沁みる。


  デクターはウェス系のギタリストながら、現代のギタリストにたとえるならピーター・バーンスタイン系のような感じがある。

  そう思っていたら、彼はバーンスタインに習っていたとのこと。

  また、ラリー・クーンスの薫陶も受けているらしく、クーンスの流れを汲む奏法で、まだまだ若いにも関わらず、堂々とした

  弾きっぷりで、丁寧に音楽をしあげていく余裕すら感じる。

  白人でありながら、ブルース・フィーリングもたっぷりで、熟成感をも兼ね備えている。


  華やかで温かみがあり、ジャズの王道だと唸らせる、ジャズを聴く喜びを心地よく認識させてくれる名盤。。。



1・LOW DOWN・・・2・WAVE・・・3・THE NEARNESS OF YOU・・・4・I AIN’T GOT NOTHIN’BUT THE BLUES・・・
5・BROADWAY・・・6・RIGHT ON TIME・・・7・SQUATTY・・・8・WITH EVERY BREATH I TAKE・・・9・LINED WITH
  A GROOVE・・・10・IN A MELLOW TONE・・・



    GRAHAM DECHTER(g)
    TAMIR HENDELMAN(p)
    JOHN CLAYTON(b)
    JEFF HAMILTON(ds)


   2008年11月29~30日 録音・・・