10月15日、ユニクロが手がける+Jの2010秋冬コレクション第1弾が全世界で発売された。
9月早々からインターネットではフラッシュによるプロモーションを展開。プレス向けの写真をスライドショーで見せるなど、ラグジュアリーブランドにも引けを取らない演出で、顧客の購買意欲をそそっていた。
そうした販促効果があったのか、発売当日の9時すぎにはネットにアクセスできない状態となった。世界中の顧客が「まずはネットで確かめよう」と、サイト閲覧に殺到したようだ。昨年秋冬のデビュー時にお客の評価が一応に高かったこともあり、1年を経過して確実にファン客をとらえたのは間違いなさそうだ。
前にも書いたが、+Jはユニクロがポリシーにする「ベーシック」とジル・サンダーの特徴でもある「ミニマル」が見事に融合したブランドである。アメカジテイストが強いユニクロとは一線を画し、3シーズン目の今季は完全にモード路線に切り込んでいる。かといって、過度なデザイン性もないので、アダルトにも十分対応できる。そこもMDの進化と言える。
日本のレディス市場はここ数年、コンサバ、エレガンス、フェミニンが売れ線になっている。しかし、+Jの極力装飾性を排したデザインは、むしろプロポーションにメリハリがある欧米の女性に好まれるのかもしれない。
それを意識したのかはともかく、2010秋冬はデザインでも完全にアドバンスした。フェルト系素材のダッフルコートや微起毛素材を表地に使ったダウンコートは、まさに丹念に構築されたフォルムで、そのままコレクションのランウェイを闊歩しても絵になりそうだ。
実際、売場で商品を見てみると、フェルト素材のアイテムはフォルムを重視するあまり素材の硬さが気になったものの、ショールカラーのタキシードジャケットやウールPコート、ウールジャージを使ったアシメトリーのドレス(すでにネット販売はSOLD OUT)の出来映えは秀逸。ジル・サンダーのファーストラインなら10倍の値段になってもおかしくない。
やはり円高の影響が出ているのか。価格を下げるのではなく、素材の質を上げている。それがなおさら商品の完成度をアップさせている。それでも1アイテム2万円を切る値ごろ感は、ブランドに一喜一憂しなくなったアラフォー世代のキャリアOLに受ける公算が高い。
一方、メンズはレディス以上にモード色が強くなっている。今季のジャケットはデザインフォルムがレギュラーとスリムの2タイプで、着たときのシルエットやフォルムがかなり重視されている。素材もタキシード、フランネル、モヘアなどバリエーションは豊富。ダウンを入れたバルーンキルティングのジャケット。クラシカルながら今風に仕上げたダブルのコートなど、目を引くアイテムが目白押しだ。こちらはユニクロではものたりない、ヤング、ヤングアダルトをかなり意識したようだ。
発売日には、ユニクロとは違ったテイストのお客やモード系ブランドのショップスタッフが商品をチェックする光景が見られた。
現在のヤングメンズはトラッドを崩したファッションが制圧している。一つには非正規雇用が増えた雇用環境で、カジュアルスタイルでも十分に仕事ができるようになったことがあるだろう。しかし、DCブランド世代にとって、今のカジュアルスタイルにはどこかプア感がある。そうした大人に気持ちも今季の+Jは汲んでいると思う。
もちろん、50歳を超えた人間がそれらを着こなすには感性、シェイプされた肉体が必要だ。 大人にとっての若々しさとは磨かれた感性だけでなく、常日頃からのストイックさの賜物である。
柳井社長は「個性とは服ではなく、服を着る人間が出すもの」と言ってきた。しかし、筆者は「着る人間の感性が服を生かす」と思う。ミニマルだからこそ、その服をどう選び、どう着こなすかという感性が必要なのだ。そうした禁欲的でスタイリッシュな大人に、今シーズンの+Jはフィットするような気がする。
9月早々からインターネットではフラッシュによるプロモーションを展開。プレス向けの写真をスライドショーで見せるなど、ラグジュアリーブランドにも引けを取らない演出で、顧客の購買意欲をそそっていた。
そうした販促効果があったのか、発売当日の9時すぎにはネットにアクセスできない状態となった。世界中の顧客が「まずはネットで確かめよう」と、サイト閲覧に殺到したようだ。昨年秋冬のデビュー時にお客の評価が一応に高かったこともあり、1年を経過して確実にファン客をとらえたのは間違いなさそうだ。
前にも書いたが、+Jはユニクロがポリシーにする「ベーシック」とジル・サンダーの特徴でもある「ミニマル」が見事に融合したブランドである。アメカジテイストが強いユニクロとは一線を画し、3シーズン目の今季は完全にモード路線に切り込んでいる。かといって、過度なデザイン性もないので、アダルトにも十分対応できる。そこもMDの進化と言える。
日本のレディス市場はここ数年、コンサバ、エレガンス、フェミニンが売れ線になっている。しかし、+Jの極力装飾性を排したデザインは、むしろプロポーションにメリハリがある欧米の女性に好まれるのかもしれない。
それを意識したのかはともかく、2010秋冬はデザインでも完全にアドバンスした。フェルト系素材のダッフルコートや微起毛素材を表地に使ったダウンコートは、まさに丹念に構築されたフォルムで、そのままコレクションのランウェイを闊歩しても絵になりそうだ。
実際、売場で商品を見てみると、フェルト素材のアイテムはフォルムを重視するあまり素材の硬さが気になったものの、ショールカラーのタキシードジャケットやウールPコート、ウールジャージを使ったアシメトリーのドレス(すでにネット販売はSOLD OUT)の出来映えは秀逸。ジル・サンダーのファーストラインなら10倍の値段になってもおかしくない。
やはり円高の影響が出ているのか。価格を下げるのではなく、素材の質を上げている。それがなおさら商品の完成度をアップさせている。それでも1アイテム2万円を切る値ごろ感は、ブランドに一喜一憂しなくなったアラフォー世代のキャリアOLに受ける公算が高い。
一方、メンズはレディス以上にモード色が強くなっている。今季のジャケットはデザインフォルムがレギュラーとスリムの2タイプで、着たときのシルエットやフォルムがかなり重視されている。素材もタキシード、フランネル、モヘアなどバリエーションは豊富。ダウンを入れたバルーンキルティングのジャケット。クラシカルながら今風に仕上げたダブルのコートなど、目を引くアイテムが目白押しだ。こちらはユニクロではものたりない、ヤング、ヤングアダルトをかなり意識したようだ。
発売日には、ユニクロとは違ったテイストのお客やモード系ブランドのショップスタッフが商品をチェックする光景が見られた。
現在のヤングメンズはトラッドを崩したファッションが制圧している。一つには非正規雇用が増えた雇用環境で、カジュアルスタイルでも十分に仕事ができるようになったことがあるだろう。しかし、DCブランド世代にとって、今のカジュアルスタイルにはどこかプア感がある。そうした大人に気持ちも今季の+Jは汲んでいると思う。
もちろん、50歳を超えた人間がそれらを着こなすには感性、シェイプされた肉体が必要だ。 大人にとっての若々しさとは磨かれた感性だけでなく、常日頃からのストイックさの賜物である。
柳井社長は「個性とは服ではなく、服を着る人間が出すもの」と言ってきた。しかし、筆者は「着る人間の感性が服を生かす」と思う。ミニマルだからこそ、その服をどう選び、どう着こなすかという感性が必要なのだ。そうした禁欲的でスタイリッシュな大人に、今シーズンの+Jはフィットするような気がする。
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