HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

CdGとH&M。

2008-04-08 10:08:54 | Weblog
 2008年4月4日付けの繊研新聞の1面はまさにサプライズだった。この秋、満を持して日本上陸を果たすスウェーデンのSPA(製造直売小売り業)ブランド「H&M(へニーズ&マーリッツ)」が、ゲストデザイナーとしてコムデ・ギャルソンの川久保玲を迎い入れ、コラボ商品を発売するというのだ。
 H&Mはこれまでにもステラ・マッカートニー(ポール・マッカートニーの娘)やカール・ラガーフェルドなどとコラボしてきた。ヨーロッパが本拠地だから、パリコレの常連と組むのは不思議なことではない。
 ただ、アジアのファッション先進国、日本でコムデ・ギャルソンと組むのは何とも心憎いし、簡単には攻略できない市場との読みから判断した同社なりの巧みな戦略。さずが、世界第二位の売上げを誇るSPAだけある。
 H&Mは9月に銀座、11月に原宿にオープンするが、コラボ商品は11月7日にオープンする原宿店のみで販売。商品はメンズ、レディス、子供服約20ルックとアクセサリー、フレグランスなどを予定。その後、世界28カ国で販売するという。日本進出でこれほどの話題はないし、インターネットのオークションに出品されれば、元値の数倍になるのは間違いないだろう。
 コムデ・ギャルソンはデビューから30年以上を経過し、往年のファンは50歳代に突入。派生ブランドで若返りを図ってはいるが、価格的に高く今の若者を捉えきれていない。値頃なH&Mでコラボ商品が手に入るとなると、若者の目をコムデ・ギャルソンに向けさせるきっかけになる。
 川久保玲自身は「クリエーション・ミーツ・ビジネスとして、今までとは異なるバランスに挑むことになる」と語っているが、一方で低迷が続く日本のDCブランドがH&Mの世界戦略を新たなビジネスチャンスと考えたとすれば、コラボを実現させた説明もつく。「CdGは会社をデザインする企業」と言いながら、銀行員の実弟を入社させるほど強かな川久保だけに、それは十分考えられることだ。
 H&Mも日本の若者の間ではまだ知名度が低いので、コムデ・ギャルソンの力を借りてクリエーティブな商品を販売し一気にバリューを上げれば、彼らを取り込めるかもしれない。双方にとってメリットは大きいということだ。
 もっとも、一昨年にはユニクロが「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」をうち立て、フランスや日本の若手デザイナーと組んでコラボ商品を販売した。しかし、結果は強力なバリュー創造とまではいかず、ビジネス的にも新たな市場を開拓するに至らなかった。私が見る限り、やはりユニクロのインダストリアル的プロダクツの領域=デザインの元になる生地がクリエイティビティではない、を脱しきれなかったことが販売不振の最大の要因と言える。
 では、H&Mの場合はどうか。同社はこれまでデザイナーとのコラボ実績があり、世界中で素材を調達して商品を企画生産するノウハウをもつ。ユニクロのような中国生産一辺倒ではない。二の前?の心配はなさそうだ。…続く。
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