11月も半ばとなれば、ショップの一角にはクリスマスホリデー向けの商品が並んだ。…というのは昔の話しだ。ウィメンズでシルクサテンのワンピース、ベルベットやタフタのドレスは、年末商戦のプロパー企画としてショップでコーナー展開された。
専業でないDCアパレルまでもがデザイナーのフィルターを通してこれらのアイテムを企画。雑誌メディアが「パーティは、思いきって、頑張って、勝負して、いつもより目立つ女。」なんて企画をぶち上げるもんだから、予定無しのコまで「私も買っとかないと乗り遅れるちゃう」と、ホリデー企画のアイテムは結構売れていた。
Xデーまであと1ヶ月という勤労感謝の日を境に、店頭販促はクリスマス一色に染まった。「ホリデーハート、高鳴ります」なんてテーマのもと、ウィンドウにはパールのチョーカーやレーシーなグローブ、シャンパングラス、バタフライ眼鏡…スノースプレーの演出まで。BGMはBoys Town GangのCan't Take My Eyes off Youでポップアップし、お客さんの購買意欲を煽っていった。
この時は大学生の間でもパーティ同好会なんてサークルが誕生した。入部の条件は「スリップドレスやタキシードをオーダーする」だったから、いかにホリデー企画のニーズが高かったかである。ところが、バブルが弾けた途端、日々の仕事や暮らしにそれほど必要で無いホリデー&パーティ企画は、マーケットから姿を消してしまった。各社ともお客が必要ならばフォーマル専業メーカーの定番で十分との判断だった。
そして、若者は自宅にこもって過ごすようになり、メディアもクリスマス十字軍なんてキーワードで、地味なクリスマスをトレンド化していった。それではギフト需要が盛り上がらないと、百貨店はカップル向けに販促を仕掛け、それにのせられたコッパアベックがブランドジュエリーのガラスケースの前に並んだ。
でも、そのときの格好は女性がウールのコート&ブーツ姿で首にストールなのに対し、男性はフリースにジーンズとスニーカーという、何ともアンバランスで滑稽なツーショットだった。男性には光りモンを買う前に自分のセンスをもっと磨けよと突っ込みたくなったものである。
それから10年ほど、婚姻年齢が上がっていることもあり、多少大人っぽい格好には変わってきているが、男性のスタイルはフリースからメルトンのコートに変わったくらい。女性のスタイリングとドンピシャでマッチングできている男性は皆無に近い。というか、アイテムがないのである。
12月に入ると、バーゲンに突入するショップも出始めるなど、店頭は秋冬在庫を消化する方に躍起になっているので、とてもホリデーアイテムの投入どころではない。ただ、そんな状況を少しでも変えようと、クリスマス需要に期待をかけるところもで始めている。先日、イオンモール福岡が地元のファッション専門学校とコラボし、学生がテナントの商品でクリスマスコーディネートを行なうとの話しを耳にした。
小売りとしては何とかクリスマス需要を喚起したいとの思いから、学生の発想やアイデアに期待したようだ。 アパレルやSPAがホリデー用のアイテムを企画しない中、学生が色のバランスや小物使いでいかにクリスマスっぽいコーディネートで売りに繋げることができるか、協業成功のカギになる。
ホリデー企画には、光沢や艶といった独特な質感が付き物だった。素材でいえば、シルクやサテン、タキシードクロス、ドスキンなどである。ただ、今のファッショントレンドから言えば、従来のホリデーのようにピッタリしたアイテムをカチッと着たんでは能がない。特に男性はボーイにしか見えないからだ。
ホリデーの質感をもつウエアはキーアイテムとして残しつつ、それを大胆に着崩したり、カジュアルアイテムと組み合わせたり。くだけた中にもフォーマルな味付けをチラリと覗かせながら、足下は無難にまとめればいい。
こうした洋服好きが遊び心のあるコーディネートで、プライベートパーティなんか仕掛けると、多少はホリデー需要も喚起されるのではないかと思う。学生に頼るのではなく、業界人からホリデーを復活させる機運を盛り上げてもいいのではないか。ホリデー企画がタフタのモアレのように波状で消え去るのでは、また一つマーケットがしぼんでしまう。
専業でないDCアパレルまでもがデザイナーのフィルターを通してこれらのアイテムを企画。雑誌メディアが「パーティは、思いきって、頑張って、勝負して、いつもより目立つ女。」なんて企画をぶち上げるもんだから、予定無しのコまで「私も買っとかないと乗り遅れるちゃう」と、ホリデー企画のアイテムは結構売れていた。
Xデーまであと1ヶ月という勤労感謝の日を境に、店頭販促はクリスマス一色に染まった。「ホリデーハート、高鳴ります」なんてテーマのもと、ウィンドウにはパールのチョーカーやレーシーなグローブ、シャンパングラス、バタフライ眼鏡…スノースプレーの演出まで。BGMはBoys Town GangのCan't Take My Eyes off Youでポップアップし、お客さんの購買意欲を煽っていった。
この時は大学生の間でもパーティ同好会なんてサークルが誕生した。入部の条件は「スリップドレスやタキシードをオーダーする」だったから、いかにホリデー企画のニーズが高かったかである。ところが、バブルが弾けた途端、日々の仕事や暮らしにそれほど必要で無いホリデー&パーティ企画は、マーケットから姿を消してしまった。各社ともお客が必要ならばフォーマル専業メーカーの定番で十分との判断だった。
そして、若者は自宅にこもって過ごすようになり、メディアもクリスマス十字軍なんてキーワードで、地味なクリスマスをトレンド化していった。それではギフト需要が盛り上がらないと、百貨店はカップル向けに販促を仕掛け、それにのせられたコッパアベックがブランドジュエリーのガラスケースの前に並んだ。
でも、そのときの格好は女性がウールのコート&ブーツ姿で首にストールなのに対し、男性はフリースにジーンズとスニーカーという、何ともアンバランスで滑稽なツーショットだった。男性には光りモンを買う前に自分のセンスをもっと磨けよと突っ込みたくなったものである。
それから10年ほど、婚姻年齢が上がっていることもあり、多少大人っぽい格好には変わってきているが、男性のスタイルはフリースからメルトンのコートに変わったくらい。女性のスタイリングとドンピシャでマッチングできている男性は皆無に近い。というか、アイテムがないのである。
12月に入ると、バーゲンに突入するショップも出始めるなど、店頭は秋冬在庫を消化する方に躍起になっているので、とてもホリデーアイテムの投入どころではない。ただ、そんな状況を少しでも変えようと、クリスマス需要に期待をかけるところもで始めている。先日、イオンモール福岡が地元のファッション専門学校とコラボし、学生がテナントの商品でクリスマスコーディネートを行なうとの話しを耳にした。
小売りとしては何とかクリスマス需要を喚起したいとの思いから、学生の発想やアイデアに期待したようだ。 アパレルやSPAがホリデー用のアイテムを企画しない中、学生が色のバランスや小物使いでいかにクリスマスっぽいコーディネートで売りに繋げることができるか、協業成功のカギになる。
ホリデー企画には、光沢や艶といった独特な質感が付き物だった。素材でいえば、シルクやサテン、タキシードクロス、ドスキンなどである。ただ、今のファッショントレンドから言えば、従来のホリデーのようにピッタリしたアイテムをカチッと着たんでは能がない。特に男性はボーイにしか見えないからだ。
ホリデーの質感をもつウエアはキーアイテムとして残しつつ、それを大胆に着崩したり、カジュアルアイテムと組み合わせたり。くだけた中にもフォーマルな味付けをチラリと覗かせながら、足下は無難にまとめればいい。
こうした洋服好きが遊び心のあるコーディネートで、プライベートパーティなんか仕掛けると、多少はホリデー需要も喚起されるのではないかと思う。学生に頼るのではなく、業界人からホリデーを復活させる機運を盛り上げてもいいのではないか。ホリデー企画がタフタのモアレのように波状で消え去るのでは、また一つマーケットがしぼんでしまう。