元はワールドの子会社で、その後に商社の伊藤忠商事の傘下に入り、2007年3月にはトリップホールディングスの
子会社となった「オリゾンティ」が民事再生法の適用を申請した。かつてはフレンチマリンの「マリナ・ブルボン」を
日本に紹介し、山の手のご婦人方やコンサバOLの上品カジュアルとして定着させた。
また毎年、専門学校生が好きなブランドの上位にランキングする「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のインポートや
ライセンスを手がけたのも同社である。
ファッションビルを中心に展開したブランドSPAのインタープラネットも一時は人気を博し、同社の稼ぎ頭だったが、
インポートのヴィヴィアンはクセのあって高額なブランド故にマスになりにくかったし、ライセンスも売れるのはベー
シックなTシャツくらいだったから売上げの第二の核にはなれないままだった。
先述したレナウンの子会社だった「ルック」のように日本人向きのテイスト「マーク・ジェイコブス」やバッグブラ
ンドの「イル・ビゾンテ」といったブランドを開拓できなかったことも、今一波に乗れなかった理由だろう。
ヴィヴィアンでさえ、専門学校生が好きなブランドと言っても、専門学校生が就職できるアパレルの初任給でバンバ
ン買えるようなプライスではない。一部のマニアが金をつぎ込んで買い揃えるまではいいが、次のシーズンは古着店に
持ち込み、その買い取り料金を軍資金に新たなアイテムを購入する程度だから、ファン層の拡大も売上げの伸びもなか
なか進まなかったということだ。
また、おとどしの秋に起こったリーマンショック以降、急激に景気が冷え込んだことも影響して、オリゾンティはす
べてのブランド、ショップとも売上げが下がり続け、借金の利子を払うことも重荷になって昨年の3月期は2億円の赤
字を出してしまった。不採算のショップをクローズしたり、「ミューゼ・ドゥ・ウジ」の休業などのリストラを進めた
にも関わらず、今期に入っても業績が回復せず、今回の事態に入ったようだ。
同時にトリップHDも民事再生法の適用を申請したというが、こちらについても書いておこう。同社はSPC(特別目的
会社)という形をとる。日本では一般に親会社が子会社の株をもって、役員を送り込むのが一般的。しかし、運営スキ
ルのない親会社のバランスシートを見ると、設備投資負担が巨額な固定資産としてのしかかり、総資産収益率(ROA
事業利益/総資産)を低くする一因になっている。
こうした日本のファッション業界が抱える構造的な問題点を解決する手段として、証券業界から叫ばれ始めたのが
SPC(Special Purpose Company/特別目的会社)だ。
SPCとは、法律に基づき資産の流動化に対する様々なニーズに応じる特別目的会社を通じて、土地や建物を証券化し
一般投資家による投資を容易にすることで、資産の流動化の促進を図ることを目的とする。ファッション業界において
は、SPCは卸やメーカーの土地や建物を保有するための資金を債権などを発行することで一般投資家から調達。土地や
建物はSPCが保有する。
卸・メーカーは物件を証券化することで、幅広い投資家から資金を集めることができる一方、投資家にとっても、不
動産に直接投資することにより取引のコストを軽減することができ、卸・メーカーごとの採算性や地理的な資金の分散
を考えた巧みな投資が可能になる。
もっとも、証券化するには当然情報のディスクローズが必要だ。特にSPCの債権はイニシャルコスト償却の関係から
10年、20年といった長期ものが主流になることを考えると、より透明性の高いディスクローズが必要になる。
結局、オリゾンティのように投資家から資金を集めて、ブランドビジネスやショップ展開をやっても、景気に左右さ
れ売上げが伸びないと、投資家はすぐに手を引く可能性が高い。短期にリターンを期待する彼らにブランドをじっくり
育てようなんて余裕もないし、流行の激しい日本のマーケットで時間をかけたからとってブランドが育つ保証もない。
言い換えれば、オリゾンティもトリップホールディングスの子会社となった時点で、金儲けの手段としか見られてい
なかったということ。送り込まれてくる役員にもファッションビジネスを長期的に発展させる気概などないだろうから。
子会社となった「オリゾンティ」が民事再生法の適用を申請した。かつてはフレンチマリンの「マリナ・ブルボン」を
日本に紹介し、山の手のご婦人方やコンサバOLの上品カジュアルとして定着させた。
また毎年、専門学校生が好きなブランドの上位にランキングする「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のインポートや
ライセンスを手がけたのも同社である。
ファッションビルを中心に展開したブランドSPAのインタープラネットも一時は人気を博し、同社の稼ぎ頭だったが、
インポートのヴィヴィアンはクセのあって高額なブランド故にマスになりにくかったし、ライセンスも売れるのはベー
シックなTシャツくらいだったから売上げの第二の核にはなれないままだった。
先述したレナウンの子会社だった「ルック」のように日本人向きのテイスト「マーク・ジェイコブス」やバッグブラ
ンドの「イル・ビゾンテ」といったブランドを開拓できなかったことも、今一波に乗れなかった理由だろう。
ヴィヴィアンでさえ、専門学校生が好きなブランドと言っても、専門学校生が就職できるアパレルの初任給でバンバ
ン買えるようなプライスではない。一部のマニアが金をつぎ込んで買い揃えるまではいいが、次のシーズンは古着店に
持ち込み、その買い取り料金を軍資金に新たなアイテムを購入する程度だから、ファン層の拡大も売上げの伸びもなか
なか進まなかったということだ。
また、おとどしの秋に起こったリーマンショック以降、急激に景気が冷え込んだことも影響して、オリゾンティはす
べてのブランド、ショップとも売上げが下がり続け、借金の利子を払うことも重荷になって昨年の3月期は2億円の赤
字を出してしまった。不採算のショップをクローズしたり、「ミューゼ・ドゥ・ウジ」の休業などのリストラを進めた
にも関わらず、今期に入っても業績が回復せず、今回の事態に入ったようだ。
同時にトリップHDも民事再生法の適用を申請したというが、こちらについても書いておこう。同社はSPC(特別目的
会社)という形をとる。日本では一般に親会社が子会社の株をもって、役員を送り込むのが一般的。しかし、運営スキ
ルのない親会社のバランスシートを見ると、設備投資負担が巨額な固定資産としてのしかかり、総資産収益率(ROA
事業利益/総資産)を低くする一因になっている。
こうした日本のファッション業界が抱える構造的な問題点を解決する手段として、証券業界から叫ばれ始めたのが
SPC(Special Purpose Company/特別目的会社)だ。
SPCとは、法律に基づき資産の流動化に対する様々なニーズに応じる特別目的会社を通じて、土地や建物を証券化し
一般投資家による投資を容易にすることで、資産の流動化の促進を図ることを目的とする。ファッション業界において
は、SPCは卸やメーカーの土地や建物を保有するための資金を債権などを発行することで一般投資家から調達。土地や
建物はSPCが保有する。
卸・メーカーは物件を証券化することで、幅広い投資家から資金を集めることができる一方、投資家にとっても、不
動産に直接投資することにより取引のコストを軽減することができ、卸・メーカーごとの採算性や地理的な資金の分散
を考えた巧みな投資が可能になる。
もっとも、証券化するには当然情報のディスクローズが必要だ。特にSPCの債権はイニシャルコスト償却の関係から
10年、20年といった長期ものが主流になることを考えると、より透明性の高いディスクローズが必要になる。
結局、オリゾンティのように投資家から資金を集めて、ブランドビジネスやショップ展開をやっても、景気に左右さ
れ売上げが伸びないと、投資家はすぐに手を引く可能性が高い。短期にリターンを期待する彼らにブランドをじっくり
育てようなんて余裕もないし、流行の激しい日本のマーケットで時間をかけたからとってブランドが育つ保証もない。
言い換えれば、オリゾンティもトリップホールディングスの子会社となった時点で、金儲けの手段としか見られてい
なかったということ。送り込まれてくる役員にもファッションビジネスを長期的に発展させる気概などないだろうから。
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