先日、服飾系専門学校の2016年度の入学者が「増加した」との報道があった。少子化で高卒後に進学する学校は、学生確保に窮している。そのような状況下に服飾専門学校の入学者が増えたのは、学校側の募集策はもちろん、学生側の「しょうもない大学に行くくらいなら、手に職をつける方がいい」との期待もあるのではないか。
と言っても、専門学校を目指すくらいの若者?だ。将来の目標や展望、産業や社会の変化に対し、明確な知見や判断力を持ち合わせて決断したとは言い難い。高校生の場合、在籍した学校で偏差値や学力が向上していれば別だ。そうでなければ、進学先は一様に落ち着くわけで、その中で学生を奪い合う構図が揺れ動いてだけに過ぎないと思う。
服飾専門学校を目指す若者は、自分のテリトリー内で得た情報をもとに「自分で服をつ作りたい」「将来、自分のブランドをもちたい」など、多くがデザイナーやクリエーターへの夢をもっている。しかし、学校側にすればそれだけでは学生の確保はままならないから、「ビジネス学科」を併用するところが少なくない。ただ、仕事で専門学校の卒業生に接する人間からすれば、ビジネス学科に進学する学生の「意思」「意識」がデザイン学科に比べると、いたって曖昧でないかとの印象をもつ。
今から10数年前、日本社会ではリストラの嵐が吹き荒れ、学生にも就職氷河期が訪れていた。だからではないが、専門学校生の間でも「会社勤めしているとヤバいようだから、独立して自分のブランドやショップを持とう」という意識が浸透していた。学校にとっても「セレクトショップを経営しよう」「バイヤーになって世界を巡ろう」と若者を煽れば、ビジネス学科の学生を募集しやすかったはずである。
ちょうど裏原ファッションのブームと重なり、次々とストリートブランドが登場していたため、専門学校に通う若者がそれを扱いたいと思うのは、ごく自然の流れだった。しかし、ブームが去った昨今、専門学校生が「自分のショップをもちたい」「ブランドを立ち上げたい」と声高に叫ぶ姿は影を潜めたように感じる。それは学校教育の成果というより、学生が身を置くファッション環境が大きく変化したからではないかと思う。
学生の多くがアルバイトをして小金がたまると服を買うだろうが、すでに大半が気軽にネット通販を利用しているのではないか。クレジットカードを持っていなくても、代引きや先払いを利用すればお目当てのブランドは買えなくはない。ショップで買うより安い場合もあり、ポイントが貯まるなどのメリットもある。購買環境として実店舗が減り、WEBサイトが増えつつあるのは、自らも実感としてあるだろう。だからと言って、学生が買う側としてWEBを理解できても、売る側として理解できるほど簡単なものではない。
デジタル社会は服飾専門学校生の意識はもちろん、進路までも大きく左右している。しかし、こうした環境変化の中で、ビジネス学科への進学目的がハッキリしているとは言い難い。それ以上に学校側が学生に対し進路、その先にある仕事のポジションを明確に伝えられ、指導できているか。意識を変化させているのかと言えば、大いに疑問である。
アパレルメーカー、小売りともにデジタルシフトを明確に打ち出した今、服飾専門学校こそデジタル、WEBの知識、技術の習得に真剣に取り組まなければならないのではないか。それはビジネス学科に止まらず、デザイン学科然りである。筆者が知るパリやニューヨークの学校ではデジタルデザインには積極的だし、東京の服飾専門学校でも強化され始めている。ところが、地方では未だに洋裁学校の延長線で教える学校やおばさん先生により、アナログどっぷりの授業が延々と続いている。
もっとも、ファッション教育だけでに止まらず、すべてのジャンルでデジタル化は浸透している。言い換えれば、あらゆる専門職のスキルとして、デジタル、WEBの知識、技術は不可欠なのだ。ヘアメイクも、ネイリストも、グラフィックデザイナーも、カメラマンも、イラストレーターも、スポーツトレーナーも、声優も、タレントも、マンガ家も、将来の独立を考えると程度の差こそあれ、インターネットを活用したWEBサイトを運営し情報を発信していかなければ、取り引きのきっかけにはないからである。
料金を徴収する課金システムまで整備すれば、プログラムの知識、技術まで身につけなければならない。それはプロ、ビジネスを行う点では共通だからである。特にファッションビジネスにおいて、ショップを経営する上でWEBサイトの制作・運営はどんな個店でも不可欠だ。それを制作するにしても、まずはIllustrator、Photoshopの基礎から学ばんでおかなければならない。時空を超えて商品が動いていることを考えれば、いちいちWEBデザイナーに外注しているほど、ビジネスは悠長ではない。
ところが、デジタル、WEBの知識、技術を重要視すれば、専門学校の全学科の授業が似通ったカリキュラムにならざるを得なくなる。だから、教える講師の認識は、「デジタル、WEBは専門学科で学ぶもの」なのだ。しかし、それは言い訳に過ぎない。
というか、化石化している講師たちが食い扶持を守るため、既得権=自分たちのコマを死守しようとの意識が露骨だからだ。本当は自分たちこそ専門学校に通ってデジタルデザインなり、WEBなりを勉強しなければならないのに、そうした投資をせずに手っ取り早く昔取った杵柄で、ギャラを稼ごうという思惑が随所に見えている。
その割に2年の修学期間でアパレルの企画職につけなかった学生には、「あなたならできるわよ、頑張りなさい」と、無責任極まりない言葉を平気でかけていく。すべては自分たちのパフォーマンスと保身であって、そのツケを学生と業界に回しているに過ぎないのである。
服飾専門学校では、その名称から感じられるスペシャリズムが一人歩きしすぎて、あまりに崇高なものと誤解されている。多くの卒業生に接してきた人間からすれば、決して彼らの専門的な能力が高いとは思えない。
特にビジネス学科の授業実態は、コレクション発信のトレンドや専門用語を教え、スキル醸成の欠片も感じない接客技術をレクチャーし、誰でも受かるビジネス検定資格を取得させ、とどのつまりが雑誌の切り抜き帳のようなアナログマップか、それをスキャニングしただけのパワポのプレゼン。借りて来た服によるファッションショーでジ・エンド。せいぜい良いところ、担当者のコネでメーカーや小売りのインターンシップにさせてもらえるか、三文ファッションイベントのフィッターくらいが関の山だ。
そんな授業内容で、専門的な知識、スキルが身につくわけがないし、今のファッションビジネスにはとても通用しない。だから、就職先はデザイン学科を卒業生でさえ、駅ビルやSCに出店するSPAの販売スタッフが良いところだ。
就職しても業務は品出しや商品整理、売れた商品の補充、ストックからのピッキング、棚卸し、レジ打ち、袋詰めになる。1日のうちに純然たる「接客」は賞味1時間もあるのか。その程度の「作業」なら、専門学校を出てなくても十分できる。結局、親にとって投資分の教育コストは回収できないわけで、当の本人はオーバーストアで四苦八苦する企業側に使い捨てられるだけである。
ファッション業界がデジタル時代に突入した中、専門学校生をあえて採用するならデジタルデザインのスキルをもつ若者の方がいいのかもしれない。ビジネス学科の卒業生を売場に配属しても、初任給応分の生産性がないのだから、その選択の方が賢明な選択と言える。というか、マーケットが縮小する中でオーバーストアも限界に来ており、これ以上人を配置しても人件費が嵩むばかりで、売上げは上がらないだろう。売場要員なら新卒ではなく、既卒のパートでも十分こと足りるはずである。
前にも書いたが、今のファッションビジネスで食べていく=高額な商品を売り切るには、優れた接客技術と確かな販売力が欠かせない。それは三ツ星ホテルマン並みの会話術やホスピタリティ精神がないと務まらない。それが服飾専門学校、ビジネス学科の中途半端な授業内容で培われるわけがないのである。
まあ、デザイン学科にしても、旧態依然としたスタイル画やドローイングの「アナログ技術」がどこまで実際の企画現場で必要とされているか。服作りのファスト化、ローコスト化を考えると、ペンタブレットやペイントツールといったデジタル技術の方がが即応性があるし、それを使いこなせることで、その先の作業フローまで一環してシステム化されていく。それがファッションビジネスの最前線というものだ。
デザイナーにとっても独立すれば、売上げや利益、経費といった数字の知識が欠かせないと言われるが、まずは仕事を覚えていく前提としてデジタルの知識、技術はもっていても有り余るものではない。営業職なら企業勤務、独立を問わず、ネット通販のノウハウ取得は言うまでもないことである。だったら、デジタルやWEBの教育を積極化した方がはるかに実効性、就職にも結びつくというものだ。
筆者はかつて業界向けにデジタル技術を駆使した「バーチャルコレクション」「模擬バイイング」のシステムツールを企画したことがあるが、こうした教材による授業こそ今のビジネス教育には必要ではないかと思う。
さて、服飾専門学校の入学者が増えたからと言って、業界が期待してるかと言えば、本音は「否」ではないのか。相手は専門学校生。特別な知識や技術、技能がなければ高校生と同じで、教育研修を施さなければならない。再教育?に膨大なコストがかけられるほど、今の業界、企業に余裕はないだろう。
一方で、デジタルに対応する知識や技術を持てば、大学、専門学校を問わず企業に必要とされるのも事実だ。それが真の「手に職」ではないのか。大事なことは実店舗からWEBサイトに切り替わっていく中で、本当に必要なヒューマンスキルとは何か。デジタル化が浸透したファッションビジネスにおいて通用する人材とは何か、なのである。
それらを考えれば、専門学校に必要とされるビジネス教育の答えは、誰も持たない高度な接客、ホスピタリティ能力をもつ人間を育てるか、デジタルの最前線を陰で支える技術スタッフの育成かに大きく二極化されていく。新しい技術はすぐに古くなるとの反論もあるが、今必要な技術無くして就職もクソもない。講師は「学生を育てたい」なんてモラトリアムな戯言を吐く前に、現実に即した指導を行い、結果を出すべきなのである。
服飾専門学校がいつまでも中途半端なビジネス教育を行っているのでは、業界はもちろん、社会からも必要とされなくなるのは時間の問題かもしれない。
と言っても、専門学校を目指すくらいの若者?だ。将来の目標や展望、産業や社会の変化に対し、明確な知見や判断力を持ち合わせて決断したとは言い難い。高校生の場合、在籍した学校で偏差値や学力が向上していれば別だ。そうでなければ、進学先は一様に落ち着くわけで、その中で学生を奪い合う構図が揺れ動いてだけに過ぎないと思う。
服飾専門学校を目指す若者は、自分のテリトリー内で得た情報をもとに「自分で服をつ作りたい」「将来、自分のブランドをもちたい」など、多くがデザイナーやクリエーターへの夢をもっている。しかし、学校側にすればそれだけでは学生の確保はままならないから、「ビジネス学科」を併用するところが少なくない。ただ、仕事で専門学校の卒業生に接する人間からすれば、ビジネス学科に進学する学生の「意思」「意識」がデザイン学科に比べると、いたって曖昧でないかとの印象をもつ。
今から10数年前、日本社会ではリストラの嵐が吹き荒れ、学生にも就職氷河期が訪れていた。だからではないが、専門学校生の間でも「会社勤めしているとヤバいようだから、独立して自分のブランドやショップを持とう」という意識が浸透していた。学校にとっても「セレクトショップを経営しよう」「バイヤーになって世界を巡ろう」と若者を煽れば、ビジネス学科の学生を募集しやすかったはずである。
ちょうど裏原ファッションのブームと重なり、次々とストリートブランドが登場していたため、専門学校に通う若者がそれを扱いたいと思うのは、ごく自然の流れだった。しかし、ブームが去った昨今、専門学校生が「自分のショップをもちたい」「ブランドを立ち上げたい」と声高に叫ぶ姿は影を潜めたように感じる。それは学校教育の成果というより、学生が身を置くファッション環境が大きく変化したからではないかと思う。
学生の多くがアルバイトをして小金がたまると服を買うだろうが、すでに大半が気軽にネット通販を利用しているのではないか。クレジットカードを持っていなくても、代引きや先払いを利用すればお目当てのブランドは買えなくはない。ショップで買うより安い場合もあり、ポイントが貯まるなどのメリットもある。購買環境として実店舗が減り、WEBサイトが増えつつあるのは、自らも実感としてあるだろう。だからと言って、学生が買う側としてWEBを理解できても、売る側として理解できるほど簡単なものではない。
デジタル社会は服飾専門学校生の意識はもちろん、進路までも大きく左右している。しかし、こうした環境変化の中で、ビジネス学科への進学目的がハッキリしているとは言い難い。それ以上に学校側が学生に対し進路、その先にある仕事のポジションを明確に伝えられ、指導できているか。意識を変化させているのかと言えば、大いに疑問である。
アパレルメーカー、小売りともにデジタルシフトを明確に打ち出した今、服飾専門学校こそデジタル、WEBの知識、技術の習得に真剣に取り組まなければならないのではないか。それはビジネス学科に止まらず、デザイン学科然りである。筆者が知るパリやニューヨークの学校ではデジタルデザインには積極的だし、東京の服飾専門学校でも強化され始めている。ところが、地方では未だに洋裁学校の延長線で教える学校やおばさん先生により、アナログどっぷりの授業が延々と続いている。
もっとも、ファッション教育だけでに止まらず、すべてのジャンルでデジタル化は浸透している。言い換えれば、あらゆる専門職のスキルとして、デジタル、WEBの知識、技術は不可欠なのだ。ヘアメイクも、ネイリストも、グラフィックデザイナーも、カメラマンも、イラストレーターも、スポーツトレーナーも、声優も、タレントも、マンガ家も、将来の独立を考えると程度の差こそあれ、インターネットを活用したWEBサイトを運営し情報を発信していかなければ、取り引きのきっかけにはないからである。
料金を徴収する課金システムまで整備すれば、プログラムの知識、技術まで身につけなければならない。それはプロ、ビジネスを行う点では共通だからである。特にファッションビジネスにおいて、ショップを経営する上でWEBサイトの制作・運営はどんな個店でも不可欠だ。それを制作するにしても、まずはIllustrator、Photoshopの基礎から学ばんでおかなければならない。時空を超えて商品が動いていることを考えれば、いちいちWEBデザイナーに外注しているほど、ビジネスは悠長ではない。
ところが、デジタル、WEBの知識、技術を重要視すれば、専門学校の全学科の授業が似通ったカリキュラムにならざるを得なくなる。だから、教える講師の認識は、「デジタル、WEBは専門学科で学ぶもの」なのだ。しかし、それは言い訳に過ぎない。
というか、化石化している講師たちが食い扶持を守るため、既得権=自分たちのコマを死守しようとの意識が露骨だからだ。本当は自分たちこそ専門学校に通ってデジタルデザインなり、WEBなりを勉強しなければならないのに、そうした投資をせずに手っ取り早く昔取った杵柄で、ギャラを稼ごうという思惑が随所に見えている。
その割に2年の修学期間でアパレルの企画職につけなかった学生には、「あなたならできるわよ、頑張りなさい」と、無責任極まりない言葉を平気でかけていく。すべては自分たちのパフォーマンスと保身であって、そのツケを学生と業界に回しているに過ぎないのである。
服飾専門学校では、その名称から感じられるスペシャリズムが一人歩きしすぎて、あまりに崇高なものと誤解されている。多くの卒業生に接してきた人間からすれば、決して彼らの専門的な能力が高いとは思えない。
特にビジネス学科の授業実態は、コレクション発信のトレンドや専門用語を教え、スキル醸成の欠片も感じない接客技術をレクチャーし、誰でも受かるビジネス検定資格を取得させ、とどのつまりが雑誌の切り抜き帳のようなアナログマップか、それをスキャニングしただけのパワポのプレゼン。借りて来た服によるファッションショーでジ・エンド。せいぜい良いところ、担当者のコネでメーカーや小売りのインターンシップにさせてもらえるか、三文ファッションイベントのフィッターくらいが関の山だ。
そんな授業内容で、専門的な知識、スキルが身につくわけがないし、今のファッションビジネスにはとても通用しない。だから、就職先はデザイン学科を卒業生でさえ、駅ビルやSCに出店するSPAの販売スタッフが良いところだ。
就職しても業務は品出しや商品整理、売れた商品の補充、ストックからのピッキング、棚卸し、レジ打ち、袋詰めになる。1日のうちに純然たる「接客」は賞味1時間もあるのか。その程度の「作業」なら、専門学校を出てなくても十分できる。結局、親にとって投資分の教育コストは回収できないわけで、当の本人はオーバーストアで四苦八苦する企業側に使い捨てられるだけである。
ファッション業界がデジタル時代に突入した中、専門学校生をあえて採用するならデジタルデザインのスキルをもつ若者の方がいいのかもしれない。ビジネス学科の卒業生を売場に配属しても、初任給応分の生産性がないのだから、その選択の方が賢明な選択と言える。というか、マーケットが縮小する中でオーバーストアも限界に来ており、これ以上人を配置しても人件費が嵩むばかりで、売上げは上がらないだろう。売場要員なら新卒ではなく、既卒のパートでも十分こと足りるはずである。
前にも書いたが、今のファッションビジネスで食べていく=高額な商品を売り切るには、優れた接客技術と確かな販売力が欠かせない。それは三ツ星ホテルマン並みの会話術やホスピタリティ精神がないと務まらない。それが服飾専門学校、ビジネス学科の中途半端な授業内容で培われるわけがないのである。
まあ、デザイン学科にしても、旧態依然としたスタイル画やドローイングの「アナログ技術」がどこまで実際の企画現場で必要とされているか。服作りのファスト化、ローコスト化を考えると、ペンタブレットやペイントツールといったデジタル技術の方がが即応性があるし、それを使いこなせることで、その先の作業フローまで一環してシステム化されていく。それがファッションビジネスの最前線というものだ。
デザイナーにとっても独立すれば、売上げや利益、経費といった数字の知識が欠かせないと言われるが、まずは仕事を覚えていく前提としてデジタルの知識、技術はもっていても有り余るものではない。営業職なら企業勤務、独立を問わず、ネット通販のノウハウ取得は言うまでもないことである。だったら、デジタルやWEBの教育を積極化した方がはるかに実効性、就職にも結びつくというものだ。
筆者はかつて業界向けにデジタル技術を駆使した「バーチャルコレクション」「模擬バイイング」のシステムツールを企画したことがあるが、こうした教材による授業こそ今のビジネス教育には必要ではないかと思う。
さて、服飾専門学校の入学者が増えたからと言って、業界が期待してるかと言えば、本音は「否」ではないのか。相手は専門学校生。特別な知識や技術、技能がなければ高校生と同じで、教育研修を施さなければならない。再教育?に膨大なコストがかけられるほど、今の業界、企業に余裕はないだろう。
一方で、デジタルに対応する知識や技術を持てば、大学、専門学校を問わず企業に必要とされるのも事実だ。それが真の「手に職」ではないのか。大事なことは実店舗からWEBサイトに切り替わっていく中で、本当に必要なヒューマンスキルとは何か。デジタル化が浸透したファッションビジネスにおいて通用する人材とは何か、なのである。
それらを考えれば、専門学校に必要とされるビジネス教育の答えは、誰も持たない高度な接客、ホスピタリティ能力をもつ人間を育てるか、デジタルの最前線を陰で支える技術スタッフの育成かに大きく二極化されていく。新しい技術はすぐに古くなるとの反論もあるが、今必要な技術無くして就職もクソもない。講師は「学生を育てたい」なんてモラトリアムな戯言を吐く前に、現実に即した指導を行い、結果を出すべきなのである。
服飾専門学校がいつまでも中途半端なビジネス教育を行っているのでは、業界はもちろん、社会からも必要とされなくなるのは時間の問題かもしれない。