いろいろと物議を醸した三越伊勢丹主導、ルミネ追随による夏のセールの後ろ倒し。8月も終わりに近づき、各社からは実績数字が発表されている。その内容を見ると、後ろ倒しでプロパー商品の売上げが順調に伸びたところは、概ね「荒利益を確保できた」で一致している。
1シーズンだけの仮説で、あまりに戦略を決めるのもどうかと思うが、売上げが低迷する小売業にとっては、少しでも収益が取れるに越したことはないようだ。これで味を占めたところは、「冬のセールも1月中旬」から行うと表明しているので、新しい流れができるかもしれない。
もっとも、冬物では価格を下げても売れない商品はあるわけで、セールを後ろ倒しにするなら正月明けにすぐに着られる「梅春物のプロパー商品」を充実させなければならない。
ユニクロが下半期に売上げが伸びなかった要因に、「天候不順、気温低下で春物の動きが鈍かった」をあげるが、梅春ものを企画すればならこうした言い訳も通用しなくなる。
梅春物を充実させるというのは、年明けにダークで肉厚な冬物は着たくないという顧客マインドを前提に、日に日に明るさを増す日差しを意識したカラリングと、気温が低ければ防寒機能も持ち合わせるというちょっと難しいMDを構築しなければならない。
かつては伊勢丹がコンサバOL向けに企画した「ピンクや白、オフホワイトなど淡いトーンで、ウールのコート」、専門店向けでは「パステルトーンの綿・毛混紡のアンサンブルやセーター」、ヤングのセレクトショップ向けにはショート丈のトレンチコートなどがあった。
ただ、レディスでは色、素材とも比較的調達しやすいことから、商品企画はさほど難しくないと思われる。あとは実際の気候に合わせどう展開して行くかだが、レイヤードスタイルが当たり前の今日、アイテムさえ充実することができれば西日本なら3月いっぱい、東日本でも4月中はいけるだろう。
寒ければ着込めばいいわけだし、温かくなれば脱げばいい。ペールトーンならシーズンイメージにも十分フィットするからだ。
問題はメンズだ。もともと、秋冬のメンズカラーは黒、紺、茶などが主体で、赤やワイン、オレンジは指し色に過ぎない。素材もウールが主体で、あとはレザーくらいとバリエーションが少ないのである。
だから、セレクトショップでSPA化しているところは、こうした冬物の色、素材でオリジナル企画の在庫を積んでおき、冬のセールでは50%オフといった価格を訴求。セールでも荒利を稼ぐという手法に味を占めている。
こうした状況下で、どこまで梅春物の企画できるかが懸念材料だ。もし、本格的に行うなら、カラーはレディスまでとは言わないまでも、生成りやサンドベージュ、ペールトーンのブルーやグリーン、ピンクくらいは欲しい。素材はスプリングレザー、コットンギャバやジャーマンクロス、帆布にもなる肉厚の綿麻、梳毛のウールコットン、ミドルゲージのコットンなどが理想だ。
アイテムはスプリングレザーのライザーズジャケット、 立ち襟のショートコート、ニット1枚で十分着られるハーフコートやロングジャケット、起毛コットンのパンツなどであれば、レイヤードも着回しも聞く。
年明けには淡い色のコートを着た女性とダークなダウンジャケット姿の男性のカップリングが少なくない。不釣り合いだし、どこかあか抜けない。特に中高年なるとなおさらだ。こう思うのは筆者だけではないだろう。
百貨店や百貨店系アパレルが声高に冬のセールの後ろだしとプロパー販売を打ち出すなら、メンズでも梅春物をきちんと強化すべきである。セールが終わるといきなりチノパンとトレーナー、コットンのシャツが並ぶ程度では、お客が商品を買うはずはない。
来年の年明け、メンズにおける梅春物のプロパー強化には「かの企業」を反面教師に、計算しつくしたMD構築が必要になるのは言うまでもない。
1シーズンだけの仮説で、あまりに戦略を決めるのもどうかと思うが、売上げが低迷する小売業にとっては、少しでも収益が取れるに越したことはないようだ。これで味を占めたところは、「冬のセールも1月中旬」から行うと表明しているので、新しい流れができるかもしれない。
もっとも、冬物では価格を下げても売れない商品はあるわけで、セールを後ろ倒しにするなら正月明けにすぐに着られる「梅春物のプロパー商品」を充実させなければならない。
ユニクロが下半期に売上げが伸びなかった要因に、「天候不順、気温低下で春物の動きが鈍かった」をあげるが、梅春ものを企画すればならこうした言い訳も通用しなくなる。
梅春物を充実させるというのは、年明けにダークで肉厚な冬物は着たくないという顧客マインドを前提に、日に日に明るさを増す日差しを意識したカラリングと、気温が低ければ防寒機能も持ち合わせるというちょっと難しいMDを構築しなければならない。
かつては伊勢丹がコンサバOL向けに企画した「ピンクや白、オフホワイトなど淡いトーンで、ウールのコート」、専門店向けでは「パステルトーンの綿・毛混紡のアンサンブルやセーター」、ヤングのセレクトショップ向けにはショート丈のトレンチコートなどがあった。
ただ、レディスでは色、素材とも比較的調達しやすいことから、商品企画はさほど難しくないと思われる。あとは実際の気候に合わせどう展開して行くかだが、レイヤードスタイルが当たり前の今日、アイテムさえ充実することができれば西日本なら3月いっぱい、東日本でも4月中はいけるだろう。
寒ければ着込めばいいわけだし、温かくなれば脱げばいい。ペールトーンならシーズンイメージにも十分フィットするからだ。
問題はメンズだ。もともと、秋冬のメンズカラーは黒、紺、茶などが主体で、赤やワイン、オレンジは指し色に過ぎない。素材もウールが主体で、あとはレザーくらいとバリエーションが少ないのである。
だから、セレクトショップでSPA化しているところは、こうした冬物の色、素材でオリジナル企画の在庫を積んでおき、冬のセールでは50%オフといった価格を訴求。セールでも荒利を稼ぐという手法に味を占めている。
こうした状況下で、どこまで梅春物の企画できるかが懸念材料だ。もし、本格的に行うなら、カラーはレディスまでとは言わないまでも、生成りやサンドベージュ、ペールトーンのブルーやグリーン、ピンクくらいは欲しい。素材はスプリングレザー、コットンギャバやジャーマンクロス、帆布にもなる肉厚の綿麻、梳毛のウールコットン、ミドルゲージのコットンなどが理想だ。
アイテムはスプリングレザーのライザーズジャケット、 立ち襟のショートコート、ニット1枚で十分着られるハーフコートやロングジャケット、起毛コットンのパンツなどであれば、レイヤードも着回しも聞く。
年明けには淡い色のコートを着た女性とダークなダウンジャケット姿の男性のカップリングが少なくない。不釣り合いだし、どこかあか抜けない。特に中高年なるとなおさらだ。こう思うのは筆者だけではないだろう。
百貨店や百貨店系アパレルが声高に冬のセールの後ろだしとプロパー販売を打ち出すなら、メンズでも梅春物をきちんと強化すべきである。セールが終わるといきなりチノパンとトレーナー、コットンのシャツが並ぶ程度では、お客が商品を買うはずはない。
来年の年明け、メンズにおける梅春物のプロパー強化には「かの企業」を反面教師に、計算しつくしたMD構築が必要になるのは言うまでもない。