3月16日、ビームスはプレス業務を行なう別会社「ビームス・クリエイティブ」に本社の店舗プロモーション、Webコンテンツ制作を手がける部署を移したと発表した。 雑誌掲載や印刷といったメディア戦略、情報発信、販売促進などの業務は、バイイングやマーケティング、販売といった営業部門とは分けてやっていこうということだ。
現時点でプレス業務のカテゴリーをどこまでとするかは想像の域を出ないが、中堅小売業であるビームスの場合、テレビや新聞といったマスメディアを多用するとは考えにくい。それゆえ、ブランド力&イメージアップのための宣伝販促、いわゆる雑誌タイアップやカタログ&フリーペーパーの制作、店頭デコレーション、インターネットの情報発信なんかを「新会社」が担当すると考えられる。
当然、こうした仕事に就くには、ファッションとは別のスキルが必要だ。広告や販促、パブリシティ(広報)の知識を持ち、グラフィック&Webデザイン、コピーライティング、撮影、編集、印刷などのスキルを持たなければならない。
もちろん、実際の撮影はカメラマンが行なうし、印刷は外部発注当たり前だ。しかし、ビームスは制作=クリエイティブワークは、おそらく社内で行なうということだろう。ビームスの企業理念を理解し、なおかつ専門的な知識技術を持ったスタッフでないと、ビームスが目指す高いクリエイティビティは発揮できないからだ。 社名にその思いが表れている。
それゆえ、新入社員が販売職からボトムアップして、プレスに就くのは無理だと思われる。
かつて一般企業では広告宣伝や販促といった部署は、社内の人事異動でスタッフが移るケースが普通だった。また、入社の時に希望したとしても、上司から「まずは営業で頑張れ、そして実績を残せ。ならば希望がかなうかもしれないから」と諭され、結果を出した人間だけが異動していた。
しかし、企業のグローバル競争が激化し、収益が上がりにくくなった今日、広告宣伝費などの経費はカットされる一方、ブランドロイヤルティを高めるために高度で効率的な広告&広報ノウハウも必要になっている。ならばスペシャリストを社内に抱え、彼らにメディア戦略や広告宣伝を任せた方がスピーディで、コストダウンに繋がるという考え方もできなくはない。
こうした手法は「日立製作所」が早くからとっていた。ここは宣伝部が独立していて、新聞広告やポスター、カタログなどはすべて自社制作。スタッフもグラフィックデザイナーやコピーライターといった専門職を本社とは別に採用していた。
また、サントリーは子会社に広告制作会社「サンアド」を持ち、同社がウイスキーなどの広告制作を手がけた。かの有名な「角÷H2O」といった名コピーもここで生まれたのである。
ファッション業界はこれらの企業ほど力を入れてこなかったが、ビームスがついに先陣を切って独自にプレス業務を手がけるのだ。近い将来、「求むプレスの即戦力!グラフィックデザイナー&エディター、ただし経験者に限る」なんて、ビームスクリエイティブのプレススタッフ募集がリクルート関連のメディアに掲載されるかもしれない。
地方に住む高校生がコンビニでファッション雑誌を立ち読みし、「将来はビームスでプレスになりたい」なんて思ってファッション専門学校に進学しても、悲しいかなその夢は叶わないのではないだろうか。
ビームスでプレスの仕事に就きたければ、とにかく受験勉強をして一般大学に進学し、徹底して読み書きの勉強するか、美術大学や専門学校でグラフィックや雑誌編集、Webのデザインなど技術を習得するか。さらにその先は広告制作や出版の仕事を経験し、専門的なノウハウを身につけなければならないのである。
この春、ビームスが各店で配布しているフリーペーパー「BEAMS MAN 2012 SPRING&SUMMER.」や雑誌Beginタイアップリーフ「今欲しいモノどっち派!?」を見るとよくわかる。エディトリアルやアートディレクションがハンパ無く秀逸だ。まさにセレクトショップの「編集ノウハウ」を生かしたツールで、専門的なスキルを持った人間でないと制作できないのは、プロが見ればひと目でわかる。
広告代理店やテレビ局が制作を外注していることを考えると、 プレス=メディア=クリエイティブとは一概に言えない。プレス業務にどんなスキルが求められるかは、企業によっても温度差があると思う。
ただ、ビームスは若物には絶大な人気を誇る企業だ。少なくとも高校や大学などの進路指導者は、学生に適切なアドバイスを行なうために、こうした業界の動きは知っておくべきだろう。
そして、何よりファッション業界でプレスを目指す若者は、進学した学校で読み書きやデザインを学び、クリエイティビティという制作能力を磨くことが求められる。今後はビームスに限らず、プレス職には必要になってくるはずだ。まあ、グラフィックやエディトリアルを勉強する若者にとっても、福音であることは確かであるが。
現時点でプレス業務のカテゴリーをどこまでとするかは想像の域を出ないが、中堅小売業であるビームスの場合、テレビや新聞といったマスメディアを多用するとは考えにくい。それゆえ、ブランド力&イメージアップのための宣伝販促、いわゆる雑誌タイアップやカタログ&フリーペーパーの制作、店頭デコレーション、インターネットの情報発信なんかを「新会社」が担当すると考えられる。
当然、こうした仕事に就くには、ファッションとは別のスキルが必要だ。広告や販促、パブリシティ(広報)の知識を持ち、グラフィック&Webデザイン、コピーライティング、撮影、編集、印刷などのスキルを持たなければならない。
もちろん、実際の撮影はカメラマンが行なうし、印刷は外部発注当たり前だ。しかし、ビームスは制作=クリエイティブワークは、おそらく社内で行なうということだろう。ビームスの企業理念を理解し、なおかつ専門的な知識技術を持ったスタッフでないと、ビームスが目指す高いクリエイティビティは発揮できないからだ。 社名にその思いが表れている。
それゆえ、新入社員が販売職からボトムアップして、プレスに就くのは無理だと思われる。
かつて一般企業では広告宣伝や販促といった部署は、社内の人事異動でスタッフが移るケースが普通だった。また、入社の時に希望したとしても、上司から「まずは営業で頑張れ、そして実績を残せ。ならば希望がかなうかもしれないから」と諭され、結果を出した人間だけが異動していた。
しかし、企業のグローバル競争が激化し、収益が上がりにくくなった今日、広告宣伝費などの経費はカットされる一方、ブランドロイヤルティを高めるために高度で効率的な広告&広報ノウハウも必要になっている。ならばスペシャリストを社内に抱え、彼らにメディア戦略や広告宣伝を任せた方がスピーディで、コストダウンに繋がるという考え方もできなくはない。
こうした手法は「日立製作所」が早くからとっていた。ここは宣伝部が独立していて、新聞広告やポスター、カタログなどはすべて自社制作。スタッフもグラフィックデザイナーやコピーライターといった専門職を本社とは別に採用していた。
また、サントリーは子会社に広告制作会社「サンアド」を持ち、同社がウイスキーなどの広告制作を手がけた。かの有名な「角÷H2O」といった名コピーもここで生まれたのである。
ファッション業界はこれらの企業ほど力を入れてこなかったが、ビームスがついに先陣を切って独自にプレス業務を手がけるのだ。近い将来、「求むプレスの即戦力!グラフィックデザイナー&エディター、ただし経験者に限る」なんて、ビームスクリエイティブのプレススタッフ募集がリクルート関連のメディアに掲載されるかもしれない。
地方に住む高校生がコンビニでファッション雑誌を立ち読みし、「将来はビームスでプレスになりたい」なんて思ってファッション専門学校に進学しても、悲しいかなその夢は叶わないのではないだろうか。
ビームスでプレスの仕事に就きたければ、とにかく受験勉強をして一般大学に進学し、徹底して読み書きの勉強するか、美術大学や専門学校でグラフィックや雑誌編集、Webのデザインなど技術を習得するか。さらにその先は広告制作や出版の仕事を経験し、専門的なノウハウを身につけなければならないのである。
この春、ビームスが各店で配布しているフリーペーパー「BEAMS MAN 2012 SPRING&SUMMER.」や雑誌Beginタイアップリーフ「今欲しいモノどっち派!?」を見るとよくわかる。エディトリアルやアートディレクションがハンパ無く秀逸だ。まさにセレクトショップの「編集ノウハウ」を生かしたツールで、専門的なスキルを持った人間でないと制作できないのは、プロが見ればひと目でわかる。
広告代理店やテレビ局が制作を外注していることを考えると、 プレス=メディア=クリエイティブとは一概に言えない。プレス業務にどんなスキルが求められるかは、企業によっても温度差があると思う。
ただ、ビームスは若物には絶大な人気を誇る企業だ。少なくとも高校や大学などの進路指導者は、学生に適切なアドバイスを行なうために、こうした業界の動きは知っておくべきだろう。
そして、何よりファッション業界でプレスを目指す若者は、進学した学校で読み書きやデザインを学び、クリエイティビティという制作能力を磨くことが求められる。今後はビームスに限らず、プレス職には必要になってくるはずだ。まあ、グラフィックやエディトリアルを勉強する若者にとっても、福音であることは確かであるが。