富山きのこクラブ

富山のきのこ情報・きのこ料理の情報が集まります。

石川のアネモネタマチャワンタケ?

2007年05月05日 | きのこ

富山きのこクラブの皆様へ

植物園の橋屋です。
昨日、天気が良かったので妻に乗せてもらい、以前から行きたかった石川県白峰村(現在は白山市)に行って来ました。
白峰村の福井県との県境近くには、村が許可を受けて、白山で採集した高山植物の種子繁殖をしている施設があり、これがどんな様子になっているか以前から見学したく思っていました。

施設は簡易保険の補助などで作られており、ドーム型の温室(冬の雪を防ぐもの)と屋外の圃場、植込みをされたロックガーデンの3つからなりますが、近くの方が委託を受けて潅水されている程度で、観光として見るような施設にはなっていません。当日もだれもおらず、またロックガーデンにはセイヨウタンポポの花が見られるなど管理も充分にされてはいませんでした。ただ、環境は良く600mを超える高原で日陰には残雪も見られ、紫外線は多いものの夏でも涼しいだろうと思われました。こちらの植物園の高山植物室とは簡単に比較できません。

帰りに白峰村にある手取湖の東側を通る林道を通って来ました。国道は湖の西側を通っており、東側の道は山菜取りの車が通るくらいです。ここはまだ桜が咲いておりました。
湖の岸で休憩した際、谷近くの斜面にあるニリンソウの根元でアネモネタマチャワンタケと思われるきのこを採集しました。きのこの下部には径2~4mmの黒い菌核があり、そこから柄を伸ばして上に小さなチャワンができていました。
ただ、富山で見たアネモネタマチャワンタケ(と思っているもの)に比べて、チャワンの径が小さいこと、柄がよりもろいこと、柄が短いこと、チャワンや柄の色がより淡く濃い目の肌色に近いことなど、目視的な違いが感じられました。
このため、白峰からの帰りに採れた標本は金沢の池田先生の所へお渡ししてきました。
(このきのこはアネモネタマチャワンタケとしたら石川県初記録ですし、また春にアネモネ属の株下に発生する菌核生チャワンタケは未記録だと思います。)

富山にもきっと今の季節、少し湿った場所に生えるニリンソウなどの下に、この小さなチャワンタケが発生しているものと想像します。
ぜひ山菜採りなどで山に入られましたら、ニリンソウなどの株の近くをかき分けて探してみてください。

富山県中央植物園        橋屋 誠