Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

憧れのイングランドにいてアメリカを考えてしまうスパークス

2022-06-19 17:25:04 | スパークス

私がアメリカのバンドなのにスパークスに肩入れしているのを不思議に思われるかもしれませんが、彼ら自身が「イギリスびいきの外国人」なので同志としての親近感がプラスされ、アーティストとしての尊敬とアイドルとして(おじさんだけど)愛でるという3拍子が揃っているから仕方ありません。

「イギリスびいきの外国人」とは言っても、私はアジア人で、はっきり言えばイギリスからしたら下手すると同じ人間とは思ってもいなかった種=論外なのに対して、スパークスはアメリカ人ですので、元植民地で新興成金という偏見で見られ、イギリスは一般的にアメリカが嫌いなのです。それは、個人はさておき、日本には一定数の韓国や中国が嫌いな人がいるのに近いかもしれません。

で、スパークスが初期の70年代に3年間イギリスに住み、アルバムを3枚出しました。そのうちの最後のアルバム「INDISCREET」の1曲「栄光のパレード」はアメリカの独立のことを歌っています。イギリスにいた時に作曲したのに変なの、という声を何かで読みましたが、同志としてはだからこそ外国人としての自分を考えざるを得ないではないか!と思います。

アルバムジャケット/飛行機墜落して足の骨折れてそうなラッセル

裏ジャケは墜落する前の良き暮しなのだろうか、イギリス的!だけどプールがカリフォルニア的!

いつか海岸線がもうひとつ手に入る

大西洋には飽きがくるから

それまでにはあなたとはお別れ

世界に響き渡った銃弾はまもなく撃たれる

(イギリス軍の武器押収への入植者の抵抗の)銃弾はまもなく

 

それまではお茶とタバコでもいかが

ほらジェニー、旦那様ですよ

ちゃんとして手厚くなさい

旦那様に手厚くね

 

でも、ここには旦那様は必要ないという気がしてくる沸々と

だって僕たちみんなが旦那様、みんなが王様でもいいんじゃないか

僕たちはあなた方と同じように話したり歌う

そしてあなた方には手厚いおもてなしをしました

しかし今は、私たちは私たち、私たちはもはやあなた方ではありません

タラの王国からおもてなしのパレードになりました

 

今日、彼らの子孫に出会いますよ

そこら中いたる所で

あなたは最もたやすいタスクに直面してます

こんなにいつも王様みたいに扱われたらどんな王様ぶりを演じたらいいのかという

レストランで銀行で劇場で

あなたにお仕えする親切なサービスがさあこちらに

男も女の子たちも控えてますよ

そして誰でも特別です

私たちはみんな特別な人です

はい、みんな特別

私たちはみんな特別な人です

お客様が王様という所では

(後略)

 

200年前の独立戦争の話から現代のアメリカが資本主義王国という話になってました。イギリスにいて余所者だと自覚する時、自分を見つめなおしますよね。自分は何者であろうかと。そしてアメリカではお金を払える人が王様って・・・いいか悪いかは言ってないけど、みんなが特別な国というのは階級社会で排他的なイギリスよりいいところだと思ったのかも知れません。

途中でいきなり出てきた「Tara」という単語、これはコリン・モーガンが声を演じたアイルランド神話コミック「スレイン」に出てきました王様の国です。スパークスも知っていたとはさすがインテリ。

この曲から7年後に出した「シャーロック・ホームズ」という曲では、

なりきりシャーロック・ホームズなだけだよ

なりきりシャーロック・ホームズなだけだよ

シャーロック・ホームズみたいに踊って

シャーロック・ホームズみたいに歌えるよ

でもシャーロック・ホームズにはなれない

ってアメリカに帰ってからも甘く切なく歌っています。よっぽどイギリスで余所者扱いされたのがこたえてたのね・・・。