Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ハミルトン

2022-06-15 12:21:39 | その他の映画・ドラマ・舞台

舞台を映画に収めた大ヒットミュージカル「ハミルトン」をディズニー+で見ました。

私的には「メリー・ポピンズ リターンズ」でジャックを演じたリン・マニュエル・ミランダが脚本・作詞・作曲・主演・製作、彼の本領がよーくわかりました(時間軸はハミルトンの方が先)。歴史上では白人だったアメリカ建国偉人たちを有色人種が演じ、ラップでセリフを歌ったことで、内容的にはアメリカ独立の歴史内幕というとそんなに興味がない現代人にもエンターテイメントとして成立させた演出と演じた俳優たちがお見事。

なんといっても有色人種のかっこいい俳優たちが200年前の軍服を着てラップしながら軽々しく踊ったらかっこいいのなんのって!それに比べ、古い耐性の象徴である英国国王を演じたのは本来の白人で、クロワッサンつけたような髪型からして滑稽に見せてしまう。ちゃんと王様の格好しているだけなのに!現代人の感覚を利用して時代劇コスチュームに新しい意味が見えました。

ストーリーの主役であるハミルトンは、カリブ海出身の孤児ながら頭がよかったので移民だけど初代大統領ワシントンの副官にまで昇進します。舞台の冒頭から野心を歌いまくりチャンスは逃さん!と叫ばれ続けて私は閉口してましたが、見終わってリン・マニュエルのことを少し調べたら、ハミルトンと同じカリブ海(プエルトリコ)系のアメリカ人だとわかりました。つまり彼にとっては未だに差別の残る自由なはずの国アメリカでのアイデンティティ再構築をかけた作品だったのですね。ハミルトンは10ドル札にはなっているけど大統領になったワシントンやジェファーソン(ふたりとも「ハミルトン」にも出てきます)に比べ描かれることの少ない人だったからです。

 

王様の支配/階級社会を嫌い、自由な独立国で移民の孤児も立派になれる・・・と言うのは平等なようでいて、実は権力、財力を求めると言うこと。チャンスは逃さない、と言うのは人より先に自分が摂りたいと言うこと。資本主義とは自由という名の競争で、常に敗者が生まれて勝者があることではないのか・・・とツッコミたくなります。

が、立派なものには人は感銘を受けることも事実。

先日、散歩中にこのような白亜の建造物に出会って感銘を受け、調べたら大日本帝国時代の東京第一陸軍造兵廠(兵器工場)の本部だったものでした。こんな美しい建物が区民のサークル活動の場として現存していてよかったけど、いやいやいや、これも権力と富国への飽くなき欲望の賜物かといやはや・・・