日本版DVDの写真があまりに70年代ぽかったのでアップしてしまいました。おそらく帯でしょうけれども、情報モリモリでスタイリッシュさの欠片もない可愛らしさ(苦笑)。海外作品を売るには「わかりやすさ」が大切なんだと聞いたことはありますけれども、DVDに関しては、知らなかった作品の帯を見て購入につながるって確率はどれだけなのか・・・それともその僅かな確率にでもすがりたいくらい売れないのか・・・だって、ごめんなさい、私もレンタルで見ちゃいました!!
実を言うと、70年代設定に惹かれて数年前にフールーで数話見たのでしたが、16話もあるので何となくダラダラしていたら配信が終了していたんです。でも、同じ制作チームの新しいBBCドラマ「The Living and The Dead」をコリン・モーガン目当てに見たらあまりにも面白かったのでこっちも見なくちゃ、と他のネット配信もなかったのでDVDレンタルで見ました。レンタルも配信に慣れてしまうと円盤を借りるのが衛生上抵抗を感じるようになったりして、それ自体もタイムスリップ感覚でした(笑)。
全16エピソードを見終わる頃には、特に好みでもないジョン・シムの顔やジーン警部のヤクザっぷりにも耐性ができ、ラストのタイラーの決断にじーーーんと切なさにどっぷりと浸かってしまいます(さっき見終わったのでまだ現在形)。この最終話の急展開と、ハッピーエンドなのかそうでないのかの二重性が「The Living and The Dead」と共通する点で、もっと言えば、そこを見たいがための15話分のプロローグを見たような気分です。
それは多分ジーン警部的な血と暴力の世界に弱いので、それを見なきゃならないのが多少拷問だったので、逆にあの熱血デカの世界が好きな人にはその部分も楽しめるのでしょうね。でもストーリー上、冷静な21世紀のタイラー警部と前時代的なジーンのバディぶりがこのドラマの見どころでもあるので不可欠ですね。
別の見どころは、1973年のタイラーの両親や恋人の家族が、21世紀のタイラーの心の傷を癒す存在として現れるところでした。タイムスリップの醍醐味です。
でもそれで単純に過去と21世紀の世界が繋がらないところがこの脚本のユニークなところでした。
脚本にメッセージはないと直感を感じながらも、メッセージを受け取ってしまうようにできているのもこの作家達の作品の面白さかと思いますが、「The Living and The Dead」と「時空刑事1973ライフ・オン・マーズ」、両方ともパラレル・ワールドを描きながら、「TLATD」は「どの世界も裏かもしれない」、「1973」の方は「どの世界も本物かもしれない」という真逆のメッセージを私は受け取りました。見る人によって違うとは思いますので他の方の感想も聞いてみたいところです。
あと、ヒロインとの関係も可愛かった。今では警察で女性が普通に働いているのが英国だと「ロンドン・スパイ」などを見たら思いますが、70年代には今の日本の女性くらいの地位の低さだったんだなと、差別されてもセクハラ発言にもめげずに勤務するアニーを見て思いました。そのアニーが最初からサム・タイラーに好意を持ていたにもかかわらず、簡単に二人の関係が発展しないところが好きでした。
女性刑事と、あと黒人の刑事も登場しましたがあからさまに差別発言も受けてました。70年代は過渡期だったんですね。黒人刑事だけでなく、インド人容疑者というのも出てきて、アジア人をスキンヘッズのナショナル・フロントが攻撃するというシーンもあり、知識としては知っていたことの現場を見ちゃったような気がしました。シリーズ2まで16話もあったから色々盛り込めたんですね。
「The Living and The Dead」は秋に日本でもAXNミステリーで10月放送予定ですので見られる方が増えるの楽しみです。コリン・モーガンのファンが増えるかも♡