Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

The Wars of the Roses:3 Richard III

2016-05-22 10:41:00 | ベネディクト・カンバーバッチ
130分=2時間10分もあるのか~と思いながら日曜日の朝から見始めたらあっという間に終わってしまいました!

秘密兵器は日本語訳の文庫本。原作が戯曲というのは脚本が簡単に手に入るのですね~、しかも図書館からすぐに借りられますし。ドラマ版はカットシーンもぼちぼちあるので、聞き取れるところの和訳を探してパラパラとページをめくる作業でした。シェイクスピアさんに版権はないでしょうから大目に見てね。リチャード三世には呪われそうですけれども。

簡単な感想をまず。

リチャード三世の背骨の特殊メイク効果が大きかった。あの背中を見たらリチャード三世の言動がますますもっともらしく説得力がありました。現代のメイク技術ってすごいですね。

同じ説得力が、のちにジュデイ・デンチ演じるリチャードの母の言葉にも重みをつけました。母と息子の憎悪の吐き合いは、どうしたって母に愛されない息子の負けでしょ、それを「おまえを生むのが一苦労」とか「赤ん坊の頃は我がままで落ち着きがなく」と息子の意思でコントロールできたことではないことを責められたらこんな惨めなことはありません。

しかし、リチャード三世のすごいところは、リッチモンドとの戦い前に母から呪いの言葉を突きつけられ、殺してきた人たちの亡霊に夢でうなされて、「自分が怖いか?俺が俺に復讐?俺は俺を愛している。むしろ自分が憎い。自分を褒めろ。自分をおだてるな。」と自分を俯瞰視して自問自答した挙句、「誰一人、俺が死んでもあわれみはしない。当然だ。俺自身、自分になんのあわれみも感じない。」と言ってのけたところです!やはり彼は母にさえ愛されない自分を愛することができなかったのでしょう。


ベネディクトさんは顔だけでなく声でも醜男を演じてました。あの美声を妙に高く喉を潰したような発声で。声の与える美醜の印象って大きいですよね。

この壮絶な役を、ベネさんは天性の無垢な眼差しを一瞬カメラに向けながらほとんど静かに演じていて、悪事を働きながらも喜劇のような顔を見せるところがリチャードにとても似合っていました。まあ、私にとっての初リチャード三世だからかな?


史実でヘンリー七世が美男だったかは知りませんが、美青年をキャスティングしたことでリチャードの哀れさも増す増す深くなるという効果てきめん。

それと、リチャードと戦い、のちにヘンリ-7世となるリッチモンド(赤薔薇ランカスター)が、NTLive「夜中に犬に起こった奇妙な事件」で主人公クリストファーを演じたルーク・トレッダウェイです!!すごい、よく成長してこんなに偉くてかっこいい王様に!(違う)

ラストシーンがよかった。あれから、現在の君主エリザベス二世の90歳のお誕生日と64年目を迎える在位に思いを寄せたのは私だけかなあ・・・ひょっとしてシェイクスピア没400年記念でありながら現女王と王朝への捧げ物でもあるつもりで製作されたのかなあ・・・という思いがよぎりました。



間髪入れずに日本でもhuluで5/31から配信されるというニュースが!

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