ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

森山直太朗「生きとし生けるものへ」

2022-04-25 10:34:15 | Weblog

やがて涙は乾くとて

風に吹かれちゃいられない

僕は君が思うような人間じゃない

そうさそんな人間じゃない

 

どうにかなるさとおどけても

どうにもならないことがある

これじゃまるでピエロか占い師

子らのほおった御影石

 

たかが言葉と嘯けど

されど言葉の摩訶不思議

かつて猿が手にした玉手箱

箱の中には何がある

 

嘘と誠の化かし合い

それを眺める天の邪鬼

何処もかしこも言うなれば極楽と

数の足りない七並べ

 

朝焼けは闇の向こう 真実は悲しいほど勝手なもんさ

生きとし生ける全てのものへ 注ぐ光と影

花は枯れ大地はひび割れる そこに雨が降るのだろう

 

僕は君が思うような人間じゃない

そうさそんな人間じゃない

もはや僕は人間じゃない

 

2004年のドラマ「愛し君へ」主題歌。森山直太朗と言えば「さくら」。さくらが正統派の美しい名曲ならば、「生きとし生けるものへ」は歌詞からしても凄みのある個人的にはさくらと並び立つ代表曲だと思います。この曲には渾身、力作という言葉が似合います。

 

「どうにかなるさとおどけても、どうにもならないことがある」

その通りですね。

「かつて猿が手にした玉手箱、箱の中には何がある」

これは深い。玉手箱には二足歩行から言語の獲得。そして核兵器やAIが含まれていて、まだこの先、何があるのか分からない。しかし、猿は開けてしまった。

「生きとし生けるものへ、注ぐ光と影 花は枯れ大地はひび割れる そこに雨が降るのだろう」

この壮大な歌詞のあとに

「僕は君が思うような人間じゃない、そうさそんな人間じゃない。僕はもはや人間じゃない」と自分ごとが連なります。緩急が見事です。

 

最後の「僕はもはや人間じゃない」という歌詞ですが、これは確か太宰治の「人間失格」のクライマックスでほぼこのままの言葉が書かれています。直太郎さんも人間失格に強い思い入れがあったことがうかがえます。

 

やや難解ながら深みのある歌詞、壮大なメロディー、そして圧倒的な歌唱力。森山直太朗は天才です。

 

コメント
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