僕がパニック障害により地獄に落ちた頃
華やぐバブルを背景に森高は出現した
非実力派を高らかに宣言して
南沙織の17才のカバーで、世に存在を知らしめたのだ。
ミニスカート、スパンコールを身に纏い、溌剌と歌う森高
この世の終わりの暗闇から見るバブルの歌姫は、僕には眩し過ぎた。
森高を嫌いな訳ではなかった
夏の日、風に吹かれて、渡良瀬橋
何処にでもある物語や心情を風景に溶け込ませた名曲で、当時はよく聴いていた。
最近、久しぶりに若き日の森高を観ている。
それは確かに眩しくもあるが、自らの若さを削っているようでもあり、少し切なくなった。
そして彼女はこんなに美しかったのかと今さら気づいた。
当時の僕は眼に濃い霧がかかっていて
視点も定まらず、それに気づかなかった。
時々、テレビで見かける森高の夕景に僕はふと足を止める。