「1か月前と大きく変わってないという事なので、こちらから薬をお出しする必要はないと思います。睡眠薬もまだほとんど残っているでしょうし」
「はい。大丈夫です」
「やはり、川奈さんを苦しめている原因は、大幅に若く見えることだと思います。他人の視線が気になると話してましたが、現在の家族についてはどうですか?ご主人とお子さんが3人でしたよね」
相変わらず口調は柔らかいのだが、徐々に核心に迫る刑事のようにも思え、佐世子は思わず紅茶で口を潤した。佐世子が緊張しているのが伝わったのか「話せる範囲でいいですよ」と町田は付け足した。
「いま一番気になっているのは末娘です。ここのところ、まともに口をきいてくれなくて。長女や長男にもそうした時期はありましたが、末っ子には両親ともども甘く接してしまって、この先どうなるのか不安です」
「下の娘さんはいくつですか?」
「高校3年です。秋で18になります」
「やはり娘さんとうまくいかないのは、川奈さんがここのクリニックに来る理由と繋がっていると思います?」
「それは繋がっていると思いますね。彩乃、娘は彩乃というんですが、あの子は友人たちに私を見せたくないみたいです。それを恐れているのが口に出さなくても伝わってくるんです」
佐世子は寂しげな笑みを浮かべた。
「もう少しの辛抱ですよ。そのうち恐らくお姉さんやお兄さんがそうだったように、下の娘さんも折り合いをつけるのではないでしょうか」
町田は少し暖かく微笑んだ。そしてすぐにクールな顔に戻り、佐世子に質問を続けた。
「ご主人との関係は上手くいっていますか?最近、変わったことはないですか?」
「5年ほど前、主人の要望で夫婦別々に寝るようになりました。理由は何か付けていたと思いますが、とにかく私と離れて寝たいという強い意志は感じました」
失礼な質問ですが、夜の関係はありました?答えたくなければ答えなくてもいいですよ」
町田は意識して柔らかな顔を作る。
「ええと、そうですね。5年前まではありました」
「じゃあ、川奈さんとしては突然という感覚でしたか?」
「考えてもみなかったですね。仕事が忙しくなったとか、取ってつけたような理由を話していた気はしますが、なんかピンと来なくて。忙しい時期ならこれまで何度もあったはずだし、本音ではないような気がしました」
佐世子は遠くを見つめるように言った。
「はい。大丈夫です」
「やはり、川奈さんを苦しめている原因は、大幅に若く見えることだと思います。他人の視線が気になると話してましたが、現在の家族についてはどうですか?ご主人とお子さんが3人でしたよね」
相変わらず口調は柔らかいのだが、徐々に核心に迫る刑事のようにも思え、佐世子は思わず紅茶で口を潤した。佐世子が緊張しているのが伝わったのか「話せる範囲でいいですよ」と町田は付け足した。
「いま一番気になっているのは末娘です。ここのところ、まともに口をきいてくれなくて。長女や長男にもそうした時期はありましたが、末っ子には両親ともども甘く接してしまって、この先どうなるのか不安です」
「下の娘さんはいくつですか?」
「高校3年です。秋で18になります」
「やはり娘さんとうまくいかないのは、川奈さんがここのクリニックに来る理由と繋がっていると思います?」
「それは繋がっていると思いますね。彩乃、娘は彩乃というんですが、あの子は友人たちに私を見せたくないみたいです。それを恐れているのが口に出さなくても伝わってくるんです」
佐世子は寂しげな笑みを浮かべた。
「もう少しの辛抱ですよ。そのうち恐らくお姉さんやお兄さんがそうだったように、下の娘さんも折り合いをつけるのではないでしょうか」
町田は少し暖かく微笑んだ。そしてすぐにクールな顔に戻り、佐世子に質問を続けた。
「ご主人との関係は上手くいっていますか?最近、変わったことはないですか?」
「5年ほど前、主人の要望で夫婦別々に寝るようになりました。理由は何か付けていたと思いますが、とにかく私と離れて寝たいという強い意志は感じました」
失礼な質問ですが、夜の関係はありました?答えたくなければ答えなくてもいいですよ」
町田は意識して柔らかな顔を作る。
「ええと、そうですね。5年前まではありました」
「じゃあ、川奈さんとしては突然という感覚でしたか?」
「考えてもみなかったですね。仕事が忙しくなったとか、取ってつけたような理由を話していた気はしますが、なんかピンと来なくて。忙しい時期ならこれまで何度もあったはずだし、本音ではないような気がしました」
佐世子は遠くを見つめるように言った。