鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

全然おいしい

2008-09-20 | エッセイ
「全然平気です」
最近、こんな言い方をする人が増えているが、これが気になる。
「全然おいしくない」のように、否定を伴って使うものだと考えているからだ。
手元にある、昭和54年発行の国語辞典には
全然:(下に打消しを伴って)まるで。まったく。
とある。
最近の辞典をネットで調べると、上の意味のほかに、最後に
(俗な言い方)非常に。とても。
とあるから、正式ではないとしながらも、肯定の言い方も認めている。
皆が使うようになると、辞典も認めるという例である。

ところで、全然の個々の字の意味は
全:すっかり。まったく。
然:そのように。そう。
であり、全くそのとおりです、ということで否定の意味はない。
このため、昔は肯定の意味でも使っていたそうで、年配の方にはそういう使い方をされる人がいるそうだ。
それが、いつの間にか否定のときに限って使われるようになったのだが、最近また肯定の意味でも使っている。
つまり、人によって使い方が異なる言葉である。

やっかいなことに、「全然」はその下を省略することがある。
テレビを見ていて、こんなことがあった。
移籍先のチームで活躍している野球選手を、アナウンサーが取材した。
「新しいチームに、すっかり溶け込んでいるようですね」
「全然ですよ」
アナウンサーは、溶け込んでいないと言ったと思い、予想外の答えにとまどっていたが、すぐに肯定の意味だと悟り、続けて話した。

彼女が彼に手料理をご馳走し、「おいしい?」と聞いたら、彼が「全然!」と答えた。
彼は「とてもおいしいよ」のつもりで答えたのだが、彼女は「おいしくないのね」と受け取ってしまった・・・
こういうことが起こりそうである。
二人の仲を裂くかもしれない、アブない言葉なのである。
コメント (2)
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