天国とはどんなところなのだろう。
昔からの教えや絵によると、気候は寒くもなく暑くもなく一年中温暖で、労働を強いられることもなく、食べ物にあふれ、きれいな花が咲き乱れて、妙なる音楽が流れている。
そんなイメージだろうか。
キリスト教でも仏教でも、よい行いをしたものは天国(仏教では浄土)に行けると説く。
昔から人間は過酷な労働に明け暮れ、飢饉のときは飢え、暑さ寒さに耐えてきたから、このような世界が理想とされたのであろう。
ところで、こう書いてきて、この世にも似た環境があることに気が付いた。
老人ホームである。
老人ホームは、労働することもなく、三度の食事が与えられる。
冬は暖房、夏は冷房がきいていて、一年中温暖である。
花壇に花が咲き、テレビやラジオで音楽が流れることもあるだろう。
このように、天国と老人ホームは似ている。
違うのは、老人ホームの人はいずれ亡くなるが、天国の住民は死なないことである(何せ、もう死んでいるわけだから)。
天国は、何の刺激もなく、恐ろしく退屈なところだと思われるが、どんなに退屈してもそれがずっと続くのだ。
そういう意味では、老人ホームより苦痛かもしれない。
留守をするので、コメント欄閉じています。