鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

歌詞の意味

2008-05-24 | エッセイ
歌詞の意味がわからずに、あるいは間違えて歌っていることがある。
昔の歌詞は文語体だったり、小中学校の音楽の教科書が、音符の下にひらがなで書いているだけだったりするために、そんなことが多い。
本(高島俊男「お言葉ですが」シリーズ、清水義範「はじめてわかる国語」他)からの受け売りであるが、そんな歌詞を挙げてみよう。

よく挙げられるのが、赤とんぼの歌詞
 夕焼け小焼けの赤とんぼ 
 おわれて見たのはいつの日か
これを「追われて」と思っている人が多い。
赤とんぼに追われて見たとすれば、情景がしっくりこない。
もちろん正解は、「負われて」。
ねえやにおんぶされて見たのである。

また、同じ赤とんぼの
 十五でねえやは嫁に行き 
 お里の便りも絶えはてた
とはどんな状況だろうか。
「ねえや」は姉や(自分のお姉さん)ではなく「姐や」。子守奉公の女の子である。
自分を子守してくれた姐やが嫁に行ったため、その実家からの便り(手紙だけでなく田舎の食べ物ということもあろう)が来なくなったのである。

箱根八里という歌詞の
 前にそびえ しりえにさそう
の「しりえにさそう」とはどういう意味だろう。
しりえには「後方に」であるが、さそうとは何だろう。
後ろにおいでと誘うのだろうか。どうもしっくり来ない。
さそうは、文語体で書いたら「支ふ」。支えるということである。
支えるとは、固定して動かないようにすること、妨害することである。
その前の歌詞、
 万丈の山 千尋の谷
と合わせ、前に行こうとすれば万丈の山がそびえ、後ろに戻ろうとすれば、千尋の谷が妨害して進めない、ということである。

同じ箱根八里の
 いっぷかんにあたるやばんぷもひらくなし
とは何だろう。
中学校で習ったときは、ちんぷんかんぷんだった。
漢字で書けばわかりやすい。
 一夫関に当たるや 万夫も開く無し
関所が厳しいため、一人の兵で守っても、万の兵がこれを突破することができないということである。

最後に少し難しいのを・・・
卒業式の歌、仰げば尊し(最近は歌われなくなったようだが)の
 今こそ別れめ いざさらば
を、今こそ別れ目、道などの別れ目だと思っている人が多い(私も思っていた)。
これは、文語体の「今別れむ」(今別れよう)が、係り結び(高校の古典の時間に習った記憶がかすかに)で、こそ+已然形となり、「別れむ」が「別れめ」に変化したものである。
つまり、さあ、今別れよう! と強調して言っているのである。

このように、昔の歌詞はわからないものが多い。
だが、最近の横文字入りの歌詞はもっとわからない。
コメント (12)
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