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村上春樹の「回答」は酷くもなんともない

2015年01月25日 | 徒然
村上春樹の回答に「痛烈」「激震」とありますが、私の感想は少し異なります。
私は村上春樹の回答が酷い! とか、村上春樹がタカビーで冷たい、と多くの人が思っているほど感じません。

<質問>
村上さん、こんにちは。いつも楽しくご本を読ませて頂いております。
私は現在大学院生で、レポートやら、発表する際の原稿やら、教授へのメールや手紙やらなんやらで、とにかくたくさん文章を書かなくてはいけないのですが、なにぶん文章を書くのがとても苦手です。
しかしながら書かなければ卒業も出来ず困りますので、仕方なしにうんうんうなりながら書いております。
どうにか文章を書きやすくなりませんでしょうか。なにか、村上さんの「文章読本」的な考えをぜひお聞きしてみたいです。
(櫻井、女性、23歳、大学院生)

<回答>
文章を書くというのは、女の人を口説くのと一緒で、ある程度は練習でうまくなりますが、基本的にはもって生まれたもので決まります。
まあ、とにかくがんばってください。


まず第一に、質問者は「文章を書くのがとても苦手」で「仕方なしにうんうんうなりながら」書いてるわけですよね?
文章を書くことが「好き」になれないどころか「苦手意識」を持ってる人が、「文章を書きやすくなる」ための秘訣を聞くなんて失礼じゃないでしょうか? 回答者は「ものを書く」ことを生業とされている作家です。。
嫌いなことをうまくこなせるようになりたい。
まず、回答者は「書くこと」を好きになることから始めないと。ま、今のままでは無理ですけど。
第二に、こちらのほうが重要なんですが、質問者(内容)と回答者(内容)のミスマッチです。
レポート・論文・オフィシャルなメール文と、文学作品は異なります。同じ「文章」と一括りに捉えるには無理があります。
例えばビジネス文書も質問者が苦手とする「文章」です。しかしレポートにしろ論文にしろ、23歳の院生さんが初めて「出会った」フォーマットです。
馴染みなどありません。しかし、教官や先輩に修正して頂き、定型の文体を会得すれば、あとは慣れの問題です。
文学作品は異なります。村上作品を愛読する質問者は、もしかしたら小説・エッセイを書く素養があるのではないかと勘ぐってしまいます。
まず「読者」としてあらゆる作品を読み、自分に合ったスタイル(文体)やプロット構成を確立する。「一流の読者」でない人が「一流の作家」になった例を私は知りません。
村上春樹が海外で人気を博しているのは、「文体」と「物語性」ゆえです。文体とは単なる形式ではありません。フィッジラルドやレイモンド・カーヴァーを始め、多くの海外作品を翻訳し会得してきたのが村上春樹の文学です。
「守・破・離」でオリジナルを確立する。そういう方法論はあるのですが、そりゃ、「基本的にもって生まれたもの」がコア(核)になきゃ、一流のプロにはなれない。ちなみに、私にはそんな怖ろしいコア(核)なんてなくて良かったと思ってますが(笑)。
回答する村上春樹も、質問者の抱える悩みを理解できなかったと思います。
で、大作家の傲慢と捉えられるような突き放した回答をせざるを得なかったんじゃないでしょうか?

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