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中央アジアにあるキルギス共和国。イシククル湖の南岸にあるタムガ村から車で出発して、3日ほどかけて天山山脈にありキルギスと中国の国境となっているベデル峠へ向かった。2007年の事だ。トルガルト峠の10㎞ほど北側にある国防省の設置しているゲートで、賄賂を渡してベデル峠をめざそうとした。だが、ベデル峠の8キロほど前で同行の兵士に退去を命じられた。
このルートを最初に走ったのは2007年の9月の事だった。当時は、戦後、日本人抑留者を見たことがあるとの噂はキルギス人の間にあった。だが2007年にキルギスへサイクリングに行く直前に、元日本兵を名乗る人からキルギスに抑留されていたことを打ち明ける電話をもらっていた。
その後の取材で、キルギスのタムガ村、バルスコーン渓谷、キルギスの軍の3つのゲートを通ってベデル峠へと続く道は、タムガ村に抑留された日本人にとって、希望のルートだったことを知った。日本人抑留者は、このルートを通って中国へと脱走して自由の身になろうと相談していたことを知ったのだった。その距離は約140㎞。最初の30キロほどは標高1600メートルから2400メートルくらいだ。だが、その後は、標高3800メートル程の高度が続き、中国との国境にあたる天山山脈のベデル峠は標高4300メートルを越えている。その距離は120㎞ほどだろうか。装備もなく、脱走の話題は抑留者には忘れられてしまった。
さて私たちのサイクリングは、写真の撮影も禁止された。ビシケクにある国防省に許可を得ていなかった。写真や紀行を公表された場合に国防省内のトラブルに結びつくから禁止されたのだと思われた。
しかたがない。マウンテンバイクで北進して、イシククル湖の南岸にあるタムガ村をめざすことにした。車で3日ほどだったルートを、自転車で何日かけて走破できるのか。帰国する飛行機の便も決まっているので、時には車で移動しながらタムガ村をめざした。
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兵士によって、ここまでと言われたか所はベデル峠から10キロほど前とは言え、ベデル峠は見る事ができない。写真も禁止されていた。だが、レンズの方向からベデル峠方面を外すことで許可を得た。自然なスナップ写真を望んでいたが、残念ながら許されたのは記念写真撮影だった。
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ある日、お昼に選んだ場所は、大きな岩の脇だった。75歳くらいの現地ガイドが付いたのだが、この岩には岩絵があるという。脇の岩絵は消えたが上には今でもあるという。さっそく上ってみた。確かに岩絵があった。人とマルコポーロと思われる鹿のような動物だった。
以前は、仏像の絵もあったが、もう消えたのだという。今考えれば、岩絵の描かれている岩の脇は、砂が飛んできて岩絵が摩耗して消えてしまう可能性がある。以前よりも砂漠化が進んだり、氷河が後退したということだろうか。この辺は、京都大学のOBで今は新潟大学で教えている先生に画像とGPSのデータを送って、研究に生かしてもらう約束をしている。すでに連絡をしているし、先生も関心を持っている。彼は、キルギスで氷河の後退を調べているのだが、岩絵の変化や摩耗も研究に生かせると考えている。GPSは、サイクリングで位置を確認したり、ルートを記録するだけでなく、素人の遊びも時には研究にも生かしてもらえる。おじさんのサイクリングとしては、社会に役立てることができる点はうれしい。わたしたちが死んでも記録が生きてくれる、好い研究者に出会った。
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今度は逆の進行歩行の話だが、タムガ村から南下して天山山脈に向かうと、バルスコーン渓谷をさかのぼって30キロほどのところで、標高を2400メートルから一気に3800メートルにあげる急な坂がある。坂の上には夏でも雪がある。元気だったら、雪までのんびりと歩くことを勧める。周辺の景色や地形も把握することができるのだから。マウンテンバイクでなければ楽しめないルートであっても、道路だけを走ったところで植生や草花を楽しむのは難しい。時には歩くことだ。
子供の道草ではないけれど、道をはずれることで発見することは多い。先を急がないで、道草も楽しんだのだった。
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道草によって、周囲の風景も100メートルから200メートル標高を上げたところから眺めることができる。高層ビルの上、東京タワーの上から東京都内を眺めて、遠くに富士山を眺める。そんな楽しみが、3800メートルのところにもあることを知ってほしい。
キルギスのバルスコーン渓谷の上部は標高3800メートル程、ベデル峠の10キロほど手前までは標高3500メートルから4000メートル程のルートが続く。もうすこし健康が回復したら、高地サイクリングを仲間と一緒に楽しみたい。
今年の夏休みには、バルスコーン渓谷の上部まで楽しむ旅行を計画している。希望者は連絡を、どうぞ。高山植物がたくさんあるので楽しみです。
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