『資本論』学習資料室

泉州で開催された「『資本論』を読む会」の4年余りの記録です。『資本論』の学習に役立たせてください。

第18回「『資本論』を読む会」の案内

2009-10-28 11:45:54 | 『資本論』

『 資  本  論 』  を  読  ん  で  み  ま  せ  ん  か 


                                    

 10月26日、新政権の下で最初の臨時国会が開かれ、鳩山由紀夫首相が初めて所信表明演説を行ないました。

 「友愛政治の実現」をスローガンに、「無血の平成維新」を断行するという内容です。

 「いのちを守り、国民生活を第一とした政治」とか「居場所と出番のある社会」、「支え合って生きていく日本」、「人間のための経済」等々、耳障りのよい言葉が羅列されています。こうした多くの美辞麗句の裏に何が隠されているのでしょうか。それを私たちは見抜かなければなりません。

 それは他ならぬ、鳩山首相の政治理念である「友愛」のスローガンそのものが明らかにしています。

 首相は8月末「Voice」に発表した≪特別寄稿≫「私の政治哲学~祖父に学んだ『友愛』の旗印」のなかで、「友愛」について、次のように説明しています。

 「現代の日本人に好まれている言葉の一つが『愛』だが、これは普通〈love〉のことだ。そのため、私が『友愛』を語るのを聞いてなんとなく柔弱な印象を受ける人が多いようだ。しかし私の言う『友愛』はこれとは異なる概念である。それはフランス革命のスローガン『自由・平等・博愛』の『博愛=フラタナティ(fraternité)』のことを指す。」

 しかしフランス革命の「自由・平等・博愛」がもたらした現実は何だったのかが問題なのです。

 マルクスは、すでに同じスローガンを掲げた1848年の「フランス共和国憲法」について、《初めから終わりまで、もっとも不誠実な企図を背後に隠した、美しい言葉の寄せ集めにすぎない》(全集第7巻511頁)と断じています。このマルクスの言葉は鳩山首相の所信表明演説にはより一層当てはまります。

 というのはこのスローガンは封建社会からの解放を唱えるブルジョア革命においてのみ、正当であり、現実的であり、偉大な意義を持ったのであって、すでに1848年の資本主義が一人立ちした段階においては、もはや一つの欺瞞でしかなく、ましてや爛熟し頽廃した今日の資本主義社会においては単に時代錯誤であるばかりではなく、醜い詭弁でしかないからです。

 このスローガンの実際の内容を、マルクスは『資本論』で次のように述べています。

 《労働力の売買がその枠内で行なわれる流通または商品交換の部面は、実際、天賦人権の真の楽園であった。ここで支配しているのは、自由、平等、所有、およびベンサムだけである。自由! というのは、一商品たとえば労働力の買い手と売り手は、彼らの自由意志によって規定されているだけだからである。……平等! というのは、彼らは商品所有者としてのみたがいに関係しあい、等価物と等価物を交換するからである。所有! というのは、だれもみな、自分の物を自由に処分するだけだからである。ベンサム!(「功利主義」の意味--引用者)  というのは、両当事者のどちらにとっても、問題なのは自分のことだけだからである。》(全集23a230-1頁)

 つまり「博愛(友愛)」は、「所有」「ベンサム」というこのブルジョア社会の現実を覆い隠す“イチジクの葉”にすぎないのです。今回の演説でも、鳩山首相は、障害者など社会の弱者をすべての人々が「支え合う」「きずな」の大切さや、そうした社会の実現を訴えましたが、しかし彼が持つ何十億という個人資産をそうした「支え合い」のために、例えその一部でも差し出したという話は聞いたことがありません。現実には、彼は、崇高な理念の陰で、何十億という個人資産の「所有」にしがみつき、明日の生活にも困って「毎年3万人以上のかたがたがのいのちが、絶望のなかで絶たれているのに」、彼は妻とたった二人だけで広大な敷地を持つ邸宅と別荘を複数持ち、有り余る豊かな生活を享受しながら、そうした人たちにどんな手もさしのべようともしない立派な「功利主義」者として振る舞っているのです!

 貴方も、美辞麗句の裏に隠された鳩山政権の正体を見抜くために、『資本論』を一緒に読んでみませんか。

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第18回「『資本論』を読む会」・案内


   ■日 時  11月15日(日) 午後2時~

  ■会 場  堺市立南図書館
           (泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m、駐車場はありません。)

  ■テキスト 『資本論』第一巻第一分冊(どの版でも結構です)                  

  ■主 催  『資本論』を読む会


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