『 資 本 論 』 を 読 ん で み ま せ ん か
2009年総選挙は民主党が単独過半数を大きく越え、圧勝しました。自民党は議席をほぼ3分の1に減らし惨敗。
小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」などとうそぶいて、国民をだまし、危機に陥った自民党を救ったつもりだったのでしょうが、小泉政治の弊害は社会を蝕み、今回の自民党惨敗に一役買ったとも言えます。その意味では元首相は、その思惑とは異なり、“公約”どおり、自民党を「ぶっ壊した」のかも知れません。
さて、新たに政権党になった民主党のマニフェストの目玉の一つは高速道路の無料化です。それが果たして本当に実現されるのかどうか、またどういう効果や混乱を社会にもたらすのかは、予断を許しません。が、少なくとも無料化当初は高速道路が混雑し、どこも渋滞だらけになることだけは確かでしょう。
ところで高速道路や鉄道、港湾など大型の社会的な資本は経済学的にはどのように考えたら良いのでしょうか。マルクスは、『資本論』でこの問題についても考察しています。
これらは生産材料など生産過程でその使用価値が消費され生産物に価値がすべて移転する「流動資本」とは区別して、生産過程に一定期間(その耐用期間だけ)留まり続け、磨滅部分だけ価値を生産物に移転させる「固定資本」と規定されています。「固定資本」は、一般には生産過程で使用される機械や道具、あるいは建屋などのことですが、それだけではなく、道路や運河、ダム、鉄橋、港湾等々、耐久構築物などもこの分類に入ります。
しかしこうした極めて長期間の耐用年数をもっているものは、機械や道具などとは異なり、その損耗は、まただからその補填も、実際上はほとんどないに等しく、ただ修理費だけが必要になる、とマルクスは次のように指摘しています。
《このことは、耐用期間の長い全ての構築物にあてはまる。つまり、そのような構築物の場合には、それらに前貸しされた資本がそれらの損耗に応じてだんだん補填されて行く必要はないのであって、ただ維持と修理とのための毎年の平均費用が生産物の価格につけ加えられさえすればよいのである。》(『資本論』第2部、全集24巻221頁)
ところで、今日の高速道路料金は、「償還主義」を原則としています。つまりその建設費を何十年かで償還することを前提に計算されています。しかしこうした料金設定は、そもそも不要且つ不当なわけです。なぜなら、仮に50年で建設費を償還する計算なら、高速道路が50年で磨滅してしまうことを前提することになるからです。しかしそんな高速道路はありえません。それらは半永久的に使用可能なわけです。だから高速道路などの場合は、ただ維持と補修の費用だけを徴収すればよいわけで、それをもし税金で賄うなら、例え高速道路でも無料であることは、一般の道路が無料であるのと同じであり、当たり前なわけです。
だから民主党のマニフェストの立場は、必ずしも経済原則から逸脱しているわけではありません。
『資本論』は、このよう現代的な問題も論じています。是非、貴方も 一緒に読んでみませんか。
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第16回「『資本論』を読む会」・案内
■日 時 9月27日(日) 午後2時~ ■会 場 堺市立南図書館
(泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m 駐車場はありません。)
■テキスト 『資本論』第一巻第一分冊 (どの版でも結構です)
■主 催 『資本論』を読む会