昨年夏に表面化したサブプライム問題は、たちまち世界中に広がり、世界経済の深刻な危機を招いています。サブプライムローンとは、アメリカの優良(プライム)でない階層(サブプライム)向けに貸し出した住宅ローンのことです。それがどうして世界経済を揺るがす震源になっているのでしょうか?
それはこうしたローンを融資した金融機関が、その債権をいくつかの媒体機関を通じて証券化して売り出し、その媒体機関(投資銀行など)がそれをさらにいくつかの別の債権とまぜ合わせて、世界的なカネ余りのなかで、ぼろ儲けを企んでいるさまざまな機関投資家や投資信託、ヘッジファンドなどに売りつけていたからです。こうした世界の資産担保証券市場で売買されている証券の総額は十数兆ドル(日本のGDPのほぼ3倍!)とも言われています。その約70%がアメリカ、残りの30%がヨーロッパ・アジアその他の市場で発行されているというのです。
だからアメリカの住宅ブームが終わり、住宅価格の上昇が伸び悩むと、たちまちその価格上昇をあてにローンを組んでいた人たちが返済に行き詰まり、ローンの焦げつきを引き起し、劣悪な債権を含んだ証券の価格が暴落して、それを買ってぼろ儲けを企んでいた連中=世界中の金融機関や投資家に膨大な損失をもたらしたというわけです。これは言ってみれば自業自得というべきなのでしょうが、しかしそれが世界経済の危機へと発展するからそうも言っておれません。だからブッシュ政権は、ローン債務者への支払い猶予に加え、総額18兆円の財政政策を打ち出しましたが、しかしその効果はほとんど見られないというのが現状なのです。
こうした複雑な金融問題を解明していく基礎も『資本論』で与えられています。資本主義社会では、すべての定期的な一定の貨幣額の収入(貨幣請求権)は、資本還元されて、利子を生む架空な資本として価格を付けられ売買されるようになります。国債や株式、住宅ローン債権等もしかりなのです。マルクスは「利子生み資本一般がすべての狂った形態の母であってたとえば債務が銀行業者の観念では商品として現われる」(『資本論』第3部、全集版596頁)と述べています。
だから『資本論』は決して古くさい古典などではなく、現代の「狂った」世界経済を根源的に解明する手段なのです。一度、是非、貴方も『資本論』を読んでみませんか。
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第2回「『資本論』を読む会」の案内
■日時 5月18日(日) 午後2時~
■会場 堺市立南図書館
(泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m
駐車場はありません。)
■テキスト 『資本論』第一巻第一分冊
(どの版でも結構です)
■主催 『資本論』を読む会
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