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狩猟採取民の世界観

2009-04-29 | book
人とサルの間―精神(こころ)はいつ生まれたのか

イヌイットは十分に食べ、余暇を堪能していた。
イヌイットやアフリカ、アマゾンで現在も狩猟採集生活をしている人たちは共通して個人の意思を大いに尊重し、親切,寛容、思いやり、情愛、誠実、同情、慈悲の心を持ち、子供はそれぞれの性向において自分の歩度で成長し、自身の責任において学び、判断しなくてはならないと考えられている。


この本の中に狩猟採取民の世界観について触れている記述があります。
このような内容でしたが、厳しいと思われていた狩猟採取民の生活は予想と違うもののようです。
現代に生きる狩猟採取民の研究が進み、その世界観や精神性は地域を越えて共通しているようです。

青森県の三内丸山遺跡や是川遺跡などの縄文時代遺物から、狩猟採取民である縄文人の生活が研究されています。
縄文土器を観ていると高い芸術性に魅了されます。
実用性とは離れた趣味を楽しむような装飾は、縄文人の精神的な豊かさを感じさせます。
土器に微かに残る指や爪の痕は、作った人の心を写し取っているかのようです。
地域を越え共通する狩猟採取民の世界観は、時間をも越えて縄文人にも通じているのかもしれません。

自然の中から食べ物を取る生活スタイルは、一方で人口増加には対応できません。
どの地域でも気候の変化などで食料の調達が難しいときは、躊躇無く間引きによる人口調節をするそうです。
豊かな狩猟採取という生活スタイルを捨て、農業を始めたのは人口増加に対応するためなのかもしれません。
労働時間が大幅に増える農業のためか、弥生時代の土器はシンプルなものに変わります。

安心と長い労働時間。
全て自分で判断しなければ生きてはいけない環境と充分な余暇時間。

現代もある難しい選択です。






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