*(小さな港まで)
<blockquote>
あの突堤のところまで走つて行つておいで
そこに咲きつらなる希望の花がしほれる前に
</blockquote>
「咲きつらなる」の「つらなる」がおもしろい。孤立して咲いているのでもない。群れて咲いているのでもない。つらなっている。
この詩の最終行は「わが子よ」。
「つらなる」には、嵯峨から子への「つらなり」が託されている。
「花がしほれる前に」は、子から、さらに先の子への願いがこめられている。港の突堤のように、長くのびるもの。その長さが抱え込む美しさ。そういうことも想像させる。
*
詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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