白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

春来むと人は言へども‥‥‥

2010-02-02 | つれづれ
節分の次の日は立春です。

旧暦は月の満ち欠けを基準としているので、その年によってはお正月を迎える前に先に立春が来ることがあるのです。
それを「年内立春」と言います。まさに今年2010年は「年内立春」。


  年の内に春は来にけり ひととせを去年(こぞ)とや云はむ
                     今年とは云はむ  在原元方
  
この和歌に詠まれているのは「年が明けてからの立春に比べると、年内立春は春らしさをあまり感じないなぁ」「立春と言われてもいまいちピンとこないなぁ」といったような気持ちが感じられます。


では他の平安時代の人々の春に対する想いはどうでしょうか。


   春来むと人は言へども鶯の
             鳴かぬ限りはあらじとぞ思ふ  壬生忠岑
   
「鶯の声を聞くまでは春だなんて思えない!!」といった少しやんちゃとも言える、春を待ちわびる積極的な心が詠まれている様に思います。


お正月、そして立春‥‥‥と順序立ててゆったりと季節を楽しむ優雅な心。
春告げる鶯の声によって季節を感じよう、待ってるぞという心意気。
どちらも春を待つ心であることに違いはありません。

もう如月です。
京都の梅は今が一番の見頃なのだと、学生時代に先生から教えて頂きました。
それからというもの毎年二月になると、梅の花を詠んだ和歌について先生とお話ししながら梅の開花のニュースを待つのが楽しみでした。
先生は忠岑のように「京都で梅が咲いたと聞かないうちは、春が来たとは思わない!!」そんな気持ちで梅の花を楽しみにしておられたようです。

わたしは先生に倣って、「梅はまだか」と少しやんちゃな心で春を待つことにしましょう。


 岩田 専太郎 『しら梅』     
                               Ruri





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