白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

花すすき

2017-10-14 | 画廊の様子
花すすき~古代の人はこう呼びました。
なんて美しい名前でしょう。風の通り道に静かに揺れながら秋を招いています。

平安時代のある雨の夜に歌人たちの集まりがありました。
「ますほのすすき」というのはどんなすすきであろうかという話になりました。
一人の老人が難波にそのことを知っている上人がいるらしいと言いましたところ、
登蓮法師という人が宿の主人に蓑と笠を借りて旅支度をしました。
雨が止んでからお行きなさいと人々が止めようとしましたが~そんなことは
取るに足らないこと人の命は雨の晴れ間など待つものかと即出かけていきました

そうして、「まそほのすすき」は穂の長いすすき、「まそをのすすき」は
穂先が糸のように乱れたすすきで「ますうのすすき」は穂が深い蘇芳色であると
教えてもらいました。

ものを学ぶと言うことはこのようなことであろうと兼好さまも徒然草に記して
おられます。

すすきはまた、袖振り草(袖波草)とも。尾花はすすきの別名でその花穂が
きつねのしっぽに似ているのでそう呼ばれるといいます。

我がやどの尾花が上の白露を消たずて玉にぬくものにもが
                     大伴家持  白露の歌 一首
~尾花の上に置く露の美しさを深く称えた歌
            
今日の一枚の絵   「秋苑」 木版  鏑木清方 

花すすき  穂に小さな花がくるりとついていて何とも可愛らしい紅の色で
      秋の深まりとともに白くなって呆ゖて枯れすすきとなる。

 
    なにもかもが美味しい秋、かぼちゃのプリンを焼きました。 s・y