白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

カエデくんとモミジちゃん

2010-11-25 | 画廊の様子
お日さまがきらきら光って空が澄み渡った秋の日に、
カエデくんのはきいろいので、モミジちゃんのはまっかな
てぶくろをはめてお散歩に出かけました。

こんなお話が作りたくなるような暖かな公園の
ひと時を過ごしました。
間もなく冬がやって来るというのに晩秋の陽射しは
力強く体の芯を通り抜けて行きました。

地面をふんわり覆った落ち葉を踏みしめると足元から
シャリシャリと秋の音が響いて来ます。
「秋」は「あかる」とか「あかき」という言葉から
作られたようです。
古代から日本人はめぐり来る時の流れの中で
命を守り続ける自然の姿を心に留め、
どこの国よりも美しい言葉の数々を創り重ねて
きました。

カエデとモミジはどこが違うのでしょう。
カエデは黄色にモミジは赤く染まるといわれ、
葉の形からはカエデはかえるの手・・・カエルデと名づけられ、
モミジの名は色づくの意味である・・・もみつからきたとか。
「もみつ」は紅葉の字があてられたり黄葉があてられたりと
カエデとモミジの区別はとても曖昧なようです。

朽ち葉の波に漂うちいさな赤や黄色の秋の佇まいは
落葉してもなお美しく私達にその幽玄の世界を見せて
くれるのではないでしょうか。  s・y

さて、カエデくんとモミジちゃんは積もった落ち葉の山で
思いっきり跳んだり跳ねたり遊んだけれどてぶくろはどうしたの?

今日の一枚  「秋雲流れて」  竹久 夢二  リトグラフ




ROY-G-BIV

2010-11-10 | 画廊の様子
いたずらな時雨に追いかけられていました。
信号待ちのフロントガラスからふと見上げると
いつの間にか雨が止み空の向うに美しい
虹が架かっていました。
虹の七色の頭文字を数えていたら信号はGOのサインに変り
虹もどこかへ消えてしまいました。

bowは'弓'の意味で、どこかよその国では虹をrainbow,
sunbow,moonbowと名付けてそれを見た人には幸せが
きっと訪れるという言い伝えがあるそうです。

虹には世界中で古くからたくさんの言い伝えがあります。
そのどれもが幸せにつながるお話です。

ギリシャ神話にはIrisという虹の女神が登場します。
ゼウスの妻ヘラの侍女であったイリスは
ゼウスに言い寄られますがそれを頑なに拒んだことで
ヘラに褒美の七色のネックレスと天の酒を三滴与えられました。
イリスは俊足であったため天と地を結ぶメッセンジャーとして
それからは空を架けて天に仕えました。

Over The Rainbow・・・すてきな歌があります。
この曲がラストシーンに流れる映画’You've Got M@il'は
逢ったこともない、名前も知らない二人の毎日のメールのやりとりが
やがて恋の芽生えになっていくというロマンティック・コメデイです。
Somewhere over the rainbow  Way up high 
There's a land that I heard of  Once in a lullaby

秋が訪れて時雨が降ったり止んだりの煙った街に虹が現れると
繰り返し観たくなり、観る度に胸がいつまでもきゅんとなる
映画です。

              s・y
  
    今日の一枚   「しぐれ」 上村松園  シルクスクリーン