白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

光にみちびかれて

2016-04-23 | 画廊の様子
このたびは九州熊本地方の大地震に遭われ被災された方々に
心からお見舞い申し上げます。

熊本は神秘と優美さに培われてきた歴史、奥深く多様な伝統文化、
その地から湧き出る清冽な水、緑豊かな街の佇まい、そして赤い炎の
山を持った力強い都です。そのスケールの大きさには圧倒されます。

今日の一枚は白珠の部屋の片隅でひっそりと柔らかな灯りを点している
小さな灯籠を撮りました。
心が落ち着く優しい光です。
熊本の北に位置する山鹿市の山鹿灯籠です。

約2千年の昔、景行天皇という方が山鹿に行幸された際に行く手を
深い霧に阻まれました。里の人々が灯火をかかげてご一行を無事に
案内しお迎えしました。その御在所を大宮神社として祀り、毎年灯火を
捧げました。室町時代には灯火は和紙の灯籠になりました。

山鹿灯籠は山鹿市の楮の和紙と少しの糊だけで作られていて中は空洞という
優れた技術が要求される伝統工芸品です。
灯籠師たちはその技術を磨いて精進を重ね、一人前になるには十数年もかかると
言われます。毎年八月の山鹿灯籠祭りのために四月になると灯籠師たちは
お祓いを頂き身を清めてから奉納する灯籠づくりを始めます。
千人の女性たちが頭に灯籠をのせて踊るお祭りでも有名です。
平成23年には市にある芝居小屋「八千代座」百年の記念公演で
坂東玉三郎さんは新作の踊りの中に山鹿灯籠祭りを組まれて
頭上に灯籠をのせて踊る美しい姿を披露しました。

暗闇の中に一筋の光、全てを隠してしまう深い霧の中の一点の
灯りはその先を導く命の杖となります。

日本中の人々がその一筋の光、一点の灯火になろうとしています。
今、闇の真っただ中にある方々のかけがえのない大切な命が守られますように
心からお祈りいたします。
私も灯火の一点になりたいです。さあ、何ができるか! s・y
          今日の一枚のphotoは山鹿灯籠の金灯籠 ~白珠所蔵~


くまモンはげんき、げんきだ!えい、えい、オー!