白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

巷に雨の降るごとく~

2014-09-24 | 画廊の様子
音もなく通り過ぎていき、ある時にはその雨脚で激しく家の屋根や
木々の葉を蹴りながら走り過ぎていく時雨、心も沈みがちになって
しまいます。
日本の九月は台風の通り道、初めの一日あたりは立春から数えて二百十日目、
そして二百二十日目ころにかけて頻繁に雨、風、雷、竜巻がやってきます。

作家幸田文さんが生まれたのは明治37年九月一日、随筆「二百十日」には
嵐の最中であったと再々言い聞かされたものだとその複雑な心中をつづって
いる。
台風の過ぎた後は爽快な気分もするが、災害が大きいときには後味の悪い
さみしさもあると。自然の神様は季節の移り行く姿をどのようにお考えかと
子供時代の記憶と共に父露伴氏の傑作、「五重塔」に触れて記している。

昨日はお彼岸のお中日、暦の事典には春のその日よりも夏の暑さの名残で
十度も気温が高いそう。時雨も遠慮してか気持ちの良い秋晴れでした。
お赤飯を炊きました。(おはぎは面倒!ちょっと苦手。)

楽しい雨の日を思い出しました。
幼稚園の帰り道のにわか雨、迎えに来た母と手をつないで帰った温かな傘の中、
雨が降るから傘を持っていきなさいと言われたのに邪魔!と置いて出た学校の
帰り道、やっぱり降られて制服のスカートのひだがぶかぶかになってしまい
泣く泣くアイロンがけをしたことなどなど。思い出は幸せにつながります。

雨の日は七色の傘の花が巷に咲き乱れます。
傘を持たない男子が好きな女の子の傘の中にちゃっかり入れてもらう登下校の
風景、花柄の美しい傘をさしたお年寄り、自転車に傘という生きの良いミニの
お嬢さん……どの姿も雨の日の心の涙を温めてくれます。
    
        今日の一枚の絵  上村松園 「しぐれ」  シルクスクリーン


 暖かなお彼岸の日、あかまんまのあふれる小道、おままごとの
 お赤飯……s・y

     あかのまんまの咲いているどろ路にふみ迷う秋の日
            西脇順三郎