白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

秋思い

2013-11-19 | 画廊の様子
あの華やかな秋の装いも次々に通り過ぎてゆく時雨に洗われて色あせ、
木々の葉は風に吹かれて地に舞い落ち、草花は実を残して横たわって
います。
少女はその柔らかな髪の毛の一筋ひとすじを掬い上げて行く風の中に
身を任せています。
風の言葉、風の匂い、風の色、風の想いに耳を澄ませて風を感じる…
風の中にいることが好きなのです。
憂いに満ちた少女の心に「風」は何をはこんできてくれるのでしょう。

去りゆく秋、木枯らしと時雨がいっそう寂しさを誘う移ろいの日々が
続きます。

今日の一枚の絵  「風ことば」   中島 潔  木版

秋の野山を吹き渡る風を「色なき風」といいます。
中国から伝わった五行説では秋の色は白です。

白露の色は一つをいかにして秋の木の葉を千々に染むらん
               藤原敏行    古今和歌集


風の画家、中島潔氏は2013年9月16日に福島県飯舘村で「生命の
無常と輝き」の作品展を開きました。新作「新しい風」について
「故郷という場所がある人はどんな困難をも克服して立ち直る。
故郷は必ず蘇ると言う思いで描きました。」と自ら語りました。
「新しい風」は福島の街々を勇ましく旋回しています。
                    s・y