白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

心より感謝申し上げます。

2009-10-31 | 画廊の様子
皆様 

   
   おかげさまで白珠画廊は今日、よちよち歩きながら一周年を迎えました。
   この間、たくさんのお励ましやお助けをいただきまして有難うございました。
   これからもスタッフ一同、皆様に喜んでいただけるよう一層学び努力して、
   この和の灯火を大切に育てて行きたいと思っております。
   これからもより一層のご指導とお励ましを頂きたくお願い申しあげます。
           
                    白珠画廊 スタッフ一同
                 

弁天小僧

2009-10-30 | 画廊の様子
   今日の一枚  志村 立美  「弁天小僧」 リトグラフ
                     美空ひばりの落款

   日本経済新聞の’SUNDAY NIKKEI アート探求’の
   コラムに作家 瀬戸内寂聴氏の「奇縁まんだら」が
   復活しました。
   今年は昭和を代表するエンタティナー美空ひばりさんの没後二十年で
   彼女を追悼してテレビや雑誌、その他の分野で様々な企画が組まれました。
   十月十一日(106)と十八日(107)の二回にわたって、このコラムに寂聴氏と
   美空ひばりさんの対談のエピソードが語られていました。
   (106)のタイトルは「美空ひばりの魂奪う流し目」、サブタイトルに
   寂聴語録として’歌の女王は焼酎がお好き’でした。
   (107)は「母思い弟守った歌の女王」で、語録には’フアンの神様に
   なったひばり’とありました。
   これらのタイトルと語録で十分にひばりさんの歌と人生が語られていると
   思います。
   「奇縁まんだら」の挿絵は横尾忠則氏の筆になるものですが、二枚の
   ポートレイトのうち(107)はひばりさん最後のライブの時のものと
   思われますが、彼女の華やかな表情と共に少しシャイな心のうちが伺われて
   とても素敵です。

   さて、今日の一枚の画家の 志村 立美
   ですが、昭和の挿絵画家また日本画家として一世を風靡しました。
   挿絵としての代表作は小島政二郎とのコンビで「人妻椿」です。
        
   私の好きなひばりさんの歌は”津軽のふるさと”です。
   きっと皆様も彼女の歌で何かの時にふうっと口づさむ一曲を
   お持ちなのではないでしょうか。
                                 S.Y          


           

俄か雨

2009-10-27 | 取り扱い作品のご紹介
今日の一枚     庄野 白雨  歌川広重   (1797~1858)

「保永堂版 東海道五拾三次」のうち
          天下一筑後窯 (株)日東セラミックス制作
          白磁版画

   東海道五拾三次は江戸時代の江戸日本橋から京都三条大橋に至る
   五十三の宿場を指します。
   広重は幕府火消し同心の子に生まれましたが家業を捨てて絵師を志し、
   歌川豊広の弟子になりました。役者絵、美人画、挿絵を描くうち北斎の
   富獄三十六景に触発されて風景画に情熱を注ぐようになりました。
   東都名所で風景画家としてデビューその他多くの名所の傑作を描きました。
   
   五拾三次は広重が上洛の折に数々の写生を試み、それを元に作った作品群です。
   季節の変化を巧みに取り入れた詩情豊かな傑作です。
   庄野は現在の三重県鈴鹿市の辺りです。副題の白雨はにわか雨のことで
   墨三色の濃淡で描き分けて、激しい雨に叩かれ揺れる竹藪と逃げ惑う人々を
   見事に表現しています。
   
                           
                   S.Y

ヒーローは誰?

2009-10-17 | 画廊の様子
一の谷合戦  木版  橋本禎造  (江戸凧 最後の職人)

一の谷の合戦は源平合戦における歴史上および物語の戦いの一つで様々なエピソードが語られています。平家の貴公子敦盛のひときわ憐れな最期と心ならずも坂東武者熊谷次郎直実がこの若武者を討たなければならなかった苦悩と後悔の名場面は読む者聞く者の涙を誘います。その中には滅びの美学といわれるものがあふれています。
平家物語は全編を通して盛者必衰と諸行無常の思想を表し、また源平合戦のドラマチックなエピソードや情趣豊かな貴族の社会を語ったものです。
兼好法師が徒然草で記しているように琵琶法師が語り継ぎ、また多くの語り部、
絵師や作家によって様々に異なる展開をしながら今日に残されて来ました。

沖の船へ駒を泳がせていた華麗な戦さ装束の若武者は扇をかざして呼び止めた坂東武者直実の声にさっと引き返して来た。

       そもそも、いかなる人か。名乗らせたまえ、お助けしよう。

       汝が為にはよい敵ぞ。名乗らずとも頸をとって人に問へ。

この平家の滅亡への惨状を描く場面は歴史の教科書には必ず登場します。

むずと掴んで押さえ込み、直実は頸を切らんとして面をのぞくと年のころは我が子と同じ十六、七の美少年であった。

        疾く、疾く、頸を取れ。

討ち取って後に錦の袋に収めた笛を腰に挿しているのを見つけた直実は人に聞けば
この若者こそ笛の名手、平家の公達敦盛であったことを知る。
身分高き人は戦の陣にも風流なものと感心したという。


武者絵について  伝説のヒーローのわくわくするような見せ場を色彩豊かに
          描いた絵で合戦の力強い描写と登場人物の心の風景を語る
          叙情的表現で描かれている。
                         s.y

秋の風

2009-10-09 | 画廊の様子
大きな空に浮かぶ白い雲、風に唸るポプラの力強い枝、そしてどこまでも何を追いかけているのでしょうか、牧草の波が走って行きます。

唐黍畑の向こうに大きく四角に囲われた畑がありました。
小さな看板に”亜麻”と書いてあります。

小さくて、まるくて硬い種子の実を付けて絡み合った茎が揺れています。
その中に小さな水色の五弁の花びらをたくさん見つけました。
可愛いお花です。少しづつ秋が深まって刈り取りも間もなくでしょうに一生懸命に咲いているのです。

亜麻は遠く聖書の時代から主にイスラエルで栽培されていました。
茎からは亜麻布を、種子からは亜麻仁油を絞って薬などをつくっていました。
日本では明治の頃に北海道の開拓使が栽培をしていたようですが今は殆どみられなくなりました。

亜麻糸の色は明るい灰黄色でflax color またはstraw colorと呼ばれます。
ドビッシーの”亜麻色の髪の乙女”はその可憐さを想像させてくれます。


 堀 辰雄       美しい村 より
        
     乳母車の中から
     亜麻色の毛髪をした
     女の児が私の顔を見て
     にっこりとした

              月寒にて   s.y

夢みる人形

2009-10-04 | 画廊の様子
桃割れの髪を傾げてまだあどけない横顔の少女がついうたた寝をしてしまいました。

その細い指先で一生懸命に折りあげた千代紙の花嫁人形が頬近くに一緒に眠っています。

少女の頃に誰もが夢見る金襴緞子の花嫁姿は日本女性の永遠の幸せのシンボルです。

あなたの幸せのシンボルは何ですか?

S・Y

蕗谷 虹児
 

うたたね
 
色紙  印刷